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社畜は異世界に召喚される
長いため息をついて会社を後にする。確認せずとも終電はとっくの昔にさよならバイバイだ。
そこそこの学校を出て就職した先がブラック企業でした…なんて珍しい事でもない。かと言って仕事を辞めて地元に戻った所でやりたい事がある訳でもない。
再び大きなため息をついて横断歩道で止まった瞬間、少し遠くでブレーキ音が響きフラッシュの様な光に包まれた。
「…仕事のしすぎか?」
軽く頭を抱えて眩んだ目をゆっくりと開けると謎の大広間…?私帰宅途中だったよね?もしかして道路で寝てしまった??それともついに過労死???
「やった!成功です!成功ですよ女王陛下!」
私を囲んでキャッキャと大騒ぎする者達は耳が三角だったり獣だったり翼や角が生えていたりと普通の人間でない事だけは理解できる。
「え。は、はるかちゃん?」
少しハスキーな女性の声に振り向く
「え?威月?」
私の名前は朝霧陽香。どうやら幼馴染の夜神威月と何やら面倒な事に巻き込まれたらしい。