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みんなの幸せな結末へ  作者: 汪海妹
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勘当されない程度のわがまま

本作品は第1作僕の幸せな結末までと第2作わたしの幸せな結末からに続く第3作ですが、連続性はそこまで高くありませんのでこちらからお読みいただいても問題ないと思います。

第一作、二作に比べて前半仕事の話が多いですが、後半は2人の話中心になりますので、最後まで飽きずに読んでいただけたら幸いです。

汪海妹


本作品の主な登場人物


メイン

 せいちゃん

 なっちゃん

サブ

 和田君(せいちゃんの部下)

 千夏ちゃん(娘27歳)

 中澤さん(せいちゃんの元同僚)














勘当されない程度のわがまま













清一













「何か物価高いよね」


ベトナムからシンガポールへ支社長になって移ったときに、なつが言った言葉。


「でも給料もあがったよ」

「ベトナムからシンガポールへの物価の上がり方に比べたら、ささやかだわね」

「……」


普通のご主人なら、こういうところで顔を赤くして怒ったりするんだろうか。内定伝えたときも、離れるから嫌だ で終わり。おめでとうやすごいはなかった。今回は物価かよ。今より物価の安いところにしてくださいなんて、会社に言えるか。


「どうかした?」

「いや、別に。なんでもないです」


こういうときにほめてくれないあなたには慣れていますから。


***


僕はいわゆる出世の鬼ではないので、自分としては定年間近に支社長くらいになって、花束もらっておめでとうみたいなコースかな?と思ってた。それも運がよかったら。それが50歳で任命された。描いていた未来予想図より…、大分早いな。


僕の生きがいはずっと仕事ではなく家族だった。仕事は手段であり、僕はいつもそれを無難にこなしてきた。しかし、そんな僕の生きがいである子供たちは、(太一にはとんでもないどたばたがあったが)それぞれ独立して、今、自分の力で飛んでいる。


嬉しかった。親になったばかりの頃は自分がちゃんとやっていけるのか心配だったけど、彼らは、今、親が思った以上に美しく飛んでいる。子供たちが手を離れたことは僕に充実感と達成感と、そして、だけど、喪失感を与えた。


そんな時にシンガポール支社長に任命された。


後から思えば、1つの生きがいを失ったあとに、神様は僕にきっともっと何か大きなものに向き合うことを求めたんだと思う。それは仕事だった。


僕の会社は大きい。1つの国のようだ。同じ会社にいても顔も名前も知らない人がごまんといる。支社長というポジションは、会社を1つの国として考えるならば、市長みたいなものだ。シンガポールは東南・南西アジアというエリアに属していて、このエリアはいわば県。県の中に12人市長がいる。3人ずつ一組になっていて、1人の市長がグループ長(地方統括)を兼任する。その上に県知事(統括部長)がいて、地方長(アジア部長)がいて、中央の本社の取締役の皆さまがいることになる。


こんだけ上にごろごろいるので、支社長というとかっこいいみたいだけど、中央からみるとたくさんいる人たちのうちの1人なんだ。取締役のみなさんに顔を覚えてもらうことすら難しい。大きい声で叫ぶとか、踊るとか変なことでもしなきゃ無理。それくらい全体が大きい。しかも会社は誰でも市民として受け入れるわけではないので、この国に属しているのはみんな一定水準を超えた優秀な人たちだ。優秀な人たちだけで構成された国の僕は市長になった。


***


「ベトナム支社から異動してきた中條です。よろしくお願いします」


同じ内容を英語で繰り返す。営業部門、日本人20、ローカルスタッフ40、管理部門ローカルスタッフ5。最近まで所属していたベトナムの約2倍。ここはこのエリアでも設立が早く重要な拠点だった。


ぶっちゃけ、初めての支社長でいきなりシンガポールはいやだった。なつじゃないけどもっと物価の安い端っこのほうに行きたかった。前任者の五十嵐さんが、体調不良で倒れてしまい、急遽代替を探したので、ちょうどいい人材がいなくて棚ぼた的に僕にお鉢が回ってきたと裏で言われているらしい。


全体での挨拶が終わった後に、駐在員で一番年長の田無さんが社員の紹介をしながらデスクを回ってくれる。何ということはないけれど、何かみんな暗い。僕を見る顔がなんかびくついているような……。回った後に支社長室に田無さんと入る。なんと、個室ができてしまった。これはちょっとうきうきしちゃうな。


「あ、田無さん」

「はい」

「僕ってそんな怖い顔してます?今までそんなこと言われたことないですけど」

「いえ、まさかそんなことは」

「じゃあ、なんでみんなあんなに緊張してるんですかね」

「は、いや、それはやはり支社長に対して失礼がないようにと」


失礼?失礼がないように気を使われる?そんなに偉くなったのか?俺。


「あの、気持ちは嬉しいんですけど、僕、本当にめったなことなければ怒る人間じゃないんで、そこまで固くならないで大丈夫です」

「はぁ」

「例えば飼い犬をけしかけてわざとおしっこをひっかけさせるぐらいの嫌がらせをされたら、さすがに怒りますけど」


一瞬田無さんの目が点になって、その後笑いだしだ。


「あ、すみません」


そういえば、この拠点誰も笑わないな。こほん。ええと、もうそろそろ仕事しようかな。


「あの、一番最初に三年分決算書が見たいんです。今年のは直近でできているところまででいいので、財務スタッフに持ってこさせてもらえませんか?」


***


1週目はただひたすら支社のデータを見て過ごした。客先別の売り上げ推移や、取引先データを中心に、大まかなお金の流れを見ていく。週末も家にデータを持ち帰った。土曜の朝少し遅く起きると、家で不思議なことが起きていた。


「あ、おはよー」


なつが赤ちゃんを抱っこして、ソファーに座っていた。


「何?」


まだ、夢を見ているのか、俺は?


「あなた、パジャマ姿を見られるわけにはいかないから、着替えて顔洗って、寝癖直しといてよ」

「それ、誰の子?」

「えーっと」


ピンポーン


「あ、まずい来ちゃった。あなた隠れて」


だから、なに?寝室に隠れる。自分の家で俺、なにやってんだろう?リビングのほうでなつと女性が話している声が聞こえて、しばらくばたばたと物音がして、バタンと音がして、そして静かになった。おそるおそる覗くと、誰もいない。もう一度思う。俺、自分の家で何やってんだろう。そして今のは一体何だったんだ?着替えて、顔洗って、適当に遅い朝食を作って食べた。


コーヒーを飲みながら、パソコンで資料を見始めた。しばらく集中した後にふと時計を見ると、いつの間にか昼をまわっていた。ばたんと音がして、やっとなつが帰ってきた。


「どこ行ってたの?ていうか、あの子何だったの?」

「ああ、ほら引っ越しのときに手伝いに来てくれた奥様、何人かいたでしょ?」

「うん」


独身の社員と若手の奥さんが何人か来てくれた。


「そのうちの1人に中田さんっていたじゃない。今朝パン買いにいった帰りにばったり会ったら、赤ちゃんベビーカーで連れながらすごいつらそうで」


中田君はたしか今週出張でどっか行っていた。


「聞いたら、熱が出たから病院へ行くって言うじゃない?赤ちゃん連れて病院なんてよしなさいって言って、行ってる間預かっててあげたのよ」

「なるほど」

「で、家に送った後、お家の中簡単に片づけて、お粥作っといてあげたのよ。ご主人いなくて、具合悪くて、でも、赤ちゃんの世話しなきゃいけないし、本当大変よね」

「うん」


海外だと、周りに頼れる親や友達がいないからな。


「いつ帰ってくるの?ご主人」

「週明けじゃないかな?」


なつはため息をついた。


「後で果物買ってまた様子見に行ってみる」


***


それから何日か経った平日の夜、仕事から帰ったばかりのところに中田君が奥さんと赤ちゃんを連れて謝りに来た。


「すみません。ご迷惑をおかけしてしまって」


リビングに通すと、開口一番にそう言って頭を下げ微動だにしない。奥さんが横に赤ちゃん抱っこしながら青い顔して座ってる。


「君さ、たしか今日出張先から戻ったんだよね。その足で来たの?」


中田君が顔をあげて僕の顔を見る。やっぱりおどおどしている。


「明日、会社でひとこと言ってくれればそれで済むのに」


なつがテーブルにお茶を並べる。並べ終わると、奥さんの横に座って赤ちゃんの顔を覗きこんだ。


「かわいいわねぇ、やっぱり。子供はこのときが一番。お母さんの風邪、うつらなくてよかったわねぇ」


なつがにこにこしながら、僕にてまねきをする。


「ねえ、あなたもいらっしゃいよ」


僕は近寄って覗き込んだ。ほんとうに小さい。じっとこちらを見ている。


「千夏も太一もこんな頃がいちばんかわいかったよね」

「うん。そうだね」


視界の端で、中田君の肩から力が抜けたのが見えた。


「今、何か月って言ってたっけ?」

「6か月です」


奥さんとなつがあれやこれやと話し出す。


「支社長、お子様は日本ですか?」

「ああ、1人日本で、1人アメリカにいるんだ」

「ついでに言うと、わたしたちもう孫がいるんです」


なつが言う。中田君も奥さんも驚いている。


「そういうことはしばらく黙っていたっていいだろう?小出しって言葉を知らないのかよ」


自分たちが結婚が早かった上に、太一が学生結婚をしてしまったので、たしかに僕たちにはもう孫がいる。


「いいじゃん、別に。いきなり全部知るのと、ゆっくり知るのと何か違いある?」

「支社長、失礼ですけどおいくつですか?」

「50です」


2人は顔を見合わせて、ただ驚いている。


「あのね、うち、二世代ででき婚なの」

「おい、なつ!」


せめて、さずかり婚って言えよ、こいつは。なつは嬉しそうにふふふと笑う。


「あのさ、まだここに来たばっかりで、俺たちのことよく知らない人たちに次から次とびっくりするようなこと言うなよ」

「たしかにわたしおばあさんなんですっていうと、結構驚かれるわ」


なつは初対面でそれを明かすことをいつも楽しんでいる。


「君はいいけどさ、俺はみんなと仕事で付き合うの。最初っからそういうの暴露されるとやりにくいんだよ」

「はいはい」


僕は正面に座っている夫婦のほうを見た。


「ねえ、中田君。このことしばらく周りの人に黙っていてよ」

「そっちが黙っても、こっちが黙らないと元の木阿弥よ」

「……」


この人は年を取ってから、こういう遊びが面白くてたまらないらしい。奥さんがこらえきれずにふきだしてしまい、中田君も笑い出した。


***


「田無さん」

「はい」


田無さんはまじめな顔で控えている。僕よりちょっと年上。温厚ないい人だ。優しいぬりかべみたいな印象。背後の人や物を守るために立ちはだかってくれそうな人。


「すみません。今期の売上なんですが、今まで前倒し気味で計上してきていますよね」


田無さんはちらりと僕の顔を見て、ちょっと考えて、それからあきらめたようにはいと言った。


「前倒し計上なんてやりかたはどこの拠点でもありますけど、シンガポールはちょっとやりすぎじゃないですか?金額が大きすぎる。最初はときどきだったけど、徐々に件数が増えて、今年にいたっては一部の顧客を中心に日常化してしまっている」


田無さんは下を向いた。


「しかも、うちは最長60日のサイトが基本ですよね。でも、今年は60日以上でまだ支払いされていない売掛が急に増えている。これは、こちらの都合で前倒ししてもらっているからみで、90日での支払いを暗に認めているんじゃないですか?」


田無さんは答えられない。彼が悪くないってのは僕もわかってるんだけど。


「やりすぎですよね。お客さんにも迷惑をかけている」

「……。五十嵐支社長はとにかく、ノルマ達成を重視されてましたので」


ノルマか……


「この前半前倒しした分を、僕の着任に合わせて本来の状態にリセットしてください」


田無さんは慌てた。


「そんなことすると、ノルマ未達成になりますが……」

「どのぐらいになりそうですか?」

「7割です」


そりゃまた、驚いた。


「そんなに前倒ししてたんですか?」

「7割という数字はシンガポールからはずっと出たことないので、そんなことしたら上もびっくりすると思いますが」


僕は答えられなかった。いろいろな思考が同時に頭の中で進行する。


「道理でみなさんの顔が暗いわけですね。コアな売り先の売り上げをそこまで前倒ししないと月のノルマを達成できないってことは、終盤は前倒しした分補てんの売りが必要で、年間でのノルマ達成は……」


ああ、なんか大変なときに来ちゃったんだ、俺。


「夢のまた夢ですね」


しばし、頭を抱える。ま、いっか。しょうがない。どうせこの人事は棚ぼた。なんか裏あると思ってたし。


「本来の状態にリセットしましょう。9月のノルマは未達成でかまいません」

「でも、そうされると支社長はお困りにならないんですか?」

「田無さん」


僕は彼の目を見た。


「僕はね、棚ぼたで昇進したって裏で言われているんですよ。僕が支社長なったとたん、売上落ちて7割なんていったら、手をたたいて喜ぶ人がいっぱいいる。彼らも嬉しいんだし、いいじゃないですか」


田無さんは唖然としている。


「でも、それではご自身の評価が……」


僕は笑った。


「僕にこれ以上、上に行きたいなんて気持ちは全然ないんですよ」

「いろいろ叱責を受けることになりませんか?」

「反省しているような顔して下向いていれば、じき終わります。それにね……」


僕は支社長の椅子をくるっとまわして窓から外を眺めた。24階。シンガポールの街並みが一望できる。眺めもいいな。この部屋。でも、そのうち僕の部屋じゃなくなりそうだ。


「例えば責任取って辞めろって言われたら……」

「言われたら?」

「喜んでやめますよ。子育てが終わったんでね。僕を会社へ縛り付ける人質がもういないんですよ。夫婦2人退職金もらってのんびりします。それに清水さんがわざわざ僕を指名したってのは、五十嵐さんが急に倒れちゃって人材不足だったんじゃないですか?だから、僕がやめちゃったら、上も困るわけだ」


僕は再び椅子をくるりと回して、田無さんを見た。


「だから70点取ったって、そこまで厳しく叱れませんよ」


田無さんから返事がない。


「どうかしました?」

「いえ。あまりに前の支社長とされ方が違うので」


僕はため息をついた。


「毎回、100点取るのってすごい大変ですよね」


このシンガポールはここ何年か、月のノルマ未達成は年にあっても1、2回。年間ノルマはずっと落とさずに来ている。そのせいで、毎年中央からいただく年間ノルマの金額も上がり続けていた。


「でも、人間って勝手なものでね。ほっておいても常にいい結果を取るものに対しては、信頼はするけれど関心は薄れます。そして、徐々に感謝の気持ちも薄れてく。それで、簡単にこんな達成に血反吐を吐きそうな厳しい目標を、次のもっと出来損ないの支社のこと考えながら、よそ見しながらほおってよこすんですよ。現実的な数字かどうか見直しもせずにね。どんなにがんばっても、褒められることもない、報われないレースです」


田無さんは静かに聞いている。


「だからいくら上が言ったからって、黙って大人しく聞く必要なんてないんですよ。勘当されない程度にわがまま言えばいいんです。できない子が最後に追い抜かして1位になるほうがドラマになるし、上ももっと関心をもって心をこめた拍手をしてくれますよ」


***


「ねぇ、何か考えてよ」

「え~。わたしあなたの会社から給料もらってないけど……」


ほんと、かわいくないなこういう言い方。


「俺が給料もらってその給料で暮らしているんだから、もらってるようなもんだろ?」

「つまり、わたしはあなたが雇ったバイトみたいなもの?」


ややこしい話なってきたな、こいつバイト代請求する気だ。生活費渡してるのに。


「普通さ、それぞれの支社で何か家族で集まるとか言ったらさ、支社長の奥さんが中心になるんだよ」

「ええ~。そんなんだったら支社長なんてならなくてもよかったのに」

「……」

「ごめんごめん、冗談冗談。で?」


冗談だったのかよ。さすがにグーで殴ってやろうかと思ったよ。


「今の状況だとそれぞれの人の人となりがいまいちつかめないんだよ。それがわからないと前に進めないの」

「この前歓迎会してもらって、みんなで話したじゃん」

「ああ、あれさー」


僕はちょっと前に行われた歓迎会を思い出す。


「なんか、お通夜みたいだったよね」

「うん。盛り上がらなかったわね」

「なんか、みんな暗いよね。シンガポールって」

「ベトナムはもっと和気あいあいだったよね」


なつは結構ベトナムが気に入っていた。料理がおいしいといって。


「でも、またどこかレストランで食事会なんて言ったら、今度は初七日みたいな雰囲気になるんじゃない?」

「どうすればいいんだろう?」


なつはしばらく考えていた。


「バーベキューとかにして、こう、だらだらやればいいんじゃない?天気のいい日に」

「準備大変じゃん」

「そうだけど、準備いろいろとするときに、いろいろ話さざるをえないじゃない。それで、人となりが分かるんじゃない?」


僕はしばらく考える。


「ねえ、新しく来た2人がさ、2人だけなんか元気で浮いててさ」

「うん」

「それでめんどくさいバーベキューしようとか言い出して、みんなにいろいろ準備とかさせたあげく」

「させたあげく?」

「初七日みたいな雰囲気のバーベキューになったらどうしよう?」


なつが大笑いした。


「初七日みたいなバーベキューって想像つかないわよ。なに?言葉少なに肉焼くわけ?」


しばらく笑い続けて話ができない。


「まあ、でも、わたしたちが浮いてるっていうのは認めるわ」

「なんなんだろうね?」

「ま、いろいろ悩んだってしょうがないじゃない。誰か相談して意見聞いてみたら?やりたいけどどうかなって」


やっぱり田無さんかな。相談するなら。


「OKだったら、いろいろ段取りしてくれる?」

「いいけど、1人じゃね。わたしここら辺のことまだよくわからないし」

「うん。奥さんたちの中で手伝ってくれそうな人いないか、聞いてみるよ」

「もちろん、会社のお金でやるんでしょ?」

「……」

「え?まさか、あなたの持ち出しじゃないでしょうね。何人いると思ってるの?」


売上は目標未達で、その月に福利経費をあげたくない。でも、バーベキューは先延ばしにしたくない。


「なあ、なつ、男には家を出ると外に7人の敵がいるわけ」

「何?急に、何の話?」

「それで、俺が棚ぼたで支社長なったから、何か弱みを見つけて足ひっぱってやろうって虎視眈々と狙っている人が大勢いるんだよ、今。そんな時に会社の金使ってバーベキューなんてやったら、それこそ、あることないこと言われるよ」

「じゃあ、一番安い肉でいいの?」

「……」

「シンガポールは物価が高いのよ」


また、その話か。


「……わかったよ。じゃあ、経費の件も相談するから」


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