第15話
「最後がわしじゃな。
宗像 宗衛門、みなからは長老と呼ばれておる。
腰が痛むでな、ちょっと座らせてもらうとしようかの」
長老と名乗った老人は、ここでは唯一の老齢だ。
だからというわけではないのだが、皆から年長者として敬われている。
ゆったりとした動作で、近くの椅子に腰かける。
そして白いあご髭をなでつつ、おもむろに話し始めた。
「わしは前の2人のように、そこまで派手なスキルがあるわけでもない。
わしの職業は鑑定士という、定年まで働いていた職業でもあるのじゃがな。
スキルもシンプルにひとつしかなく、鑑定だけじゃ。
このスキルは、人や物の情報を詳しく調べることができる能力なのじゃが、
望まない者もおるでな、勝手に調べたりはしておらぬ。
さて、おぬしが望むのであればスキル内容を鑑定によって説明することができるがどうするかね?」
スキルの情報こそが生命線だからなるべく隠すべき情報だという小説もあったが、こんな世の中で、
しかも半年ともに過ごした家族のような人たちに、スキルがバレて何を困ることがあるだろうか?
長老にぜひにとお願いして、ひとつだけ意味の分からないスキルがあったので、それを調べて
もらうことにした。
紙に書き出すか口頭で説明するかを聞かれたが、迷わず口頭で説明してもらう。
「この【管理人室】というスキルじゃが、これは職業が管理人であるお主専用の部屋という
ことになる。つまり他の者は、それが人であれモンスターであれ、お主が言っておった
スキルで作成した部屋には入れないということじゃな」
その説明を受けて、すとんとパズルのピースが合わさる様に理解した。
それと同時に、自らがそう望んで得た能力とはいえ、自分のスキルが皆の役には立たないことが
分かり、ガッカリもする。
藤次はどうにかいまの状況を変えられないかと一般スキルを見ていて、今後これが無いと話に
ならないスキルを見つけるも、利き手ではない左手にバットを持ち、力を入れて振ってみるが、
まったく力が乗らなかった。
これで敵に勝てるかというと、正直微妙なところであった。
それを誰かに話したわけではないが、新規で入ってきた仲間のうち、まだレベルが0で職業にも
目覚めていない者たちの中からレベルアップ希望者を募り、パワーレベリングに行く話が
持ち上がる。
渡りに船ではないし、藤次はレベルも0ではないが、無理言ってそれに参加させてもらうことにした
のだった。
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