第0話
通学路
「でさー。
部活の先輩のシゴキがキツくてさ~。」
「そうなの?
運動部は大変なんだね。」
「そうなんだよ。
毎日毎日、練習だけならまだいいけど、
先輩達のご機嫌取りなんてやんなきゃなんねーんだよ。
私達もやってきたからやるのは当たり前とか、そんな腐った習慣は無くせってーんだよ。」
「あははっ。
でもムッちゃんはイキイキしてんじゃん。」
「まぁーな。
女バスのエースに早くなりてーからよ。
今日朝練禁止されてなかったら、
朝練に行きたかったところだぜ。」
「睦美ちゃんは昨日の夜も練習やってたんでしょ?
体を休めることだって上達するには必要だよ?」
「それもそうだな。」
私こと大橋志穂は10日前に高校生になりました。
彼女達は女バスに入った女の子が前田睦美ちゃんで、隣の女の子が宮本沙耶香ちゃん。
二人とも中学からの友達なんだ。
まさか、地元じゃない学校に三人とも志望が同じだったなんて、凄い偶然だよね。
「あ、そうだ。
シホちー。」
「何、沙耶香ちゃん。」
「今日のラッキーな行動は靴紐だよ。
アンラッキーも靴紐だから気を付けてねb」
「あのな、それおかしいだろ?
(つうか、何がグッジョブなんだ?)」
「靴紐?
(あ、緩んでる。
これを注意してくれたのかな?)」
二人は私に気付かないようで先に進んでいく。
「ん?
あれ志穂なにやって…。
おい!
危ない!!」
「え?」
私の右後ろからトラックが追突してきました。
私は避けることができず…。
〈ガッシャーンッ!!〉(作者の表現力の無さすぎて申し訳ない。)
「……あれ、痛くない?」
「大丈夫か?」
「え、ええっ?
だ、大丈夫です。」
気が付くと男子が私を抱き締めていました。
どうやら、私はこの人に助けられたようです。
「あ、ありがとうございます。」
「どういたしまして。
怪我はないか?」
「はい。
お陰様で…、怪我は1つもありません。」
「そうか、すまんな。
見ず知らずの男に抱き付かれるなんて嫌だったよな。
友達が来たみたいだし、彼女達に慰めて貰えよ。」
そういって彼は去って行きました。
「お、おい!
大丈夫か!」
「…ムッちゃんこれダメみたいだよ。」
「何っ!?
志穂、どこか体調でも悪いのか?」
「これは重症だね。
怪我は負って無いみたいだけど、先程の男子に病をうつされたみたい。」
「何だと!?
あの男子だな!
私が制裁を喰らわしてやる!」
「ま、待って!」
「志穂!
どうして止める!?」
「あのね。
彼は何も悪くないから、私は大丈夫だよ。」
「そ、そうか。
なら良かった。」
「二人とも、良かったら後で相談に乗って貰っていいかな?」
「ああ、勿論構わないぞ。」
「私も大丈夫だよ。」
「なら、昼休みに話すね。
事情聴取って、遅刻扱いにならないよね?」
昼休み
教室
やっとお昼やす「志穂、相談とはなんだ!」
睦美ちゃん頼もしいけど、人の心情の途中でセリフ入れないで欲しいな。
「うん。
実は今日の放課後に、告白しようと思うの。」
「へぇ~。
告白ねー。
告白……ふぁっ!?」
「ムッちゃん驚きすぎだよ。」
「だ、だって沙耶香。
志穂が、だぞ。
恥ずかしがり屋だったあの志穂が告白なんて…。」
「睦美ちゃん!
いつの話をしてるの!?」
「全く、朝の出来事見てたらこれぐらい予想出来てたことでしょ?」
「朝?
志穂がトラックにひかれそうになったことか?
それと告白なんて全く関係ないだろ。」
「…はぁ~。
ムッちゃん。
シホちーが朝誰に助けられたか覚えてない?」
「朝…。
あの男か!」
「そうそうあの「ならば制裁してくれる」え?」
「私の可愛い志穂を洗脳したのだろうが、そうはいかないぞ!
この私の目の黒いうちはぁ、イタッ!」
「全くムッちゃん。
どうしてそんな発想になるのさ。」
「朝沙耶香があの男に志穂が病に侵されたと言っていただろう。」
「それは言葉の綾だよ!
シホちーは彼のことが好きになったんだって!
ほら、恋の病っていうでしょ。」
「そ、そうだったな。
む、無論、知っていたぞ。」
「沙耶香ちゃん、私がいう前にいわないでよ。」
「あー、ごめんごめん。
でも、誰でも分かってたことだよね。」
「も、勿論。
私だって分かってたさ。」
「それでね。
告白しようと思うんだけど。
どこのクラスかな?
うちの制服着てたし、生徒だと思うんだけど…。」
「おいおい。
知らないのかよ。」
「だって、今日身体測定とか歓迎会とかで忙しくて…。」
「シホちー、せいヤンのこと知りたいの?」
「沙耶香ちゃん知ってるの!?」
「知ってるも何も。
この学校の名物の内の1つだしね。
せいヤン…進藤聖矢っていうんだけど、彼は面白い先輩で観察対象としては最高なんだよね。」
「おい、沙耶香。
観察対象って、なんだよ。」
「ムッちゃんもあの先輩を見ていれば分かるよ。
本当に面白いからね。」
「おいおい。
そんなやつに志穂をやるのかよ。」
「…。
大丈夫だよ!
シホちーのやりたいようにやりなよ。」
「うん!
いってくるね!」
「…いってしまったな」
「シホちー、どこのクラスか知らないのにね。」
「お、おい。
それ大丈夫じゃないだろ!」
「大丈夫、大丈夫。
せいヤンなら問題ないと思うよ。」
「そうなのか?」
「だって、彼は主人公の渾名を持っているしね。」
廊下
「そういえば、聖也先輩の教室どこだろ?
というか、思わず出ちゃったけど、昼休みより放課後の方がムードあるよね。
放課後にすればよか〈ドン〉す、すいません。」
私はトイレから出てきた男子にぶつかってしまったみたい。
「ああ、気にしないで…。
あれ、さっきぶりだね。」
あれ、この声どこかで聞いたような…。
って!
「せ、聖也先輩!
こ、こん、こんにひは。」
ヤバイよ。
噛んじゃったよ…。
「こんにちは。
朝は大丈夫だった?」
「せ、しぇんぱい…先輩が庇ってくれたお陰で傷1つありません!
聖也先輩、本当にありがとうございました!」
「いいよ、別に。
俺は君が怪我が無いかそれが心配だったからさ。」
「あ、あの〈キンコン、カンコーン。〉」
「呼鈴なっちゃったね。
それじゃ、授業遅れないよう…、どうかした?」
私は思わず、先輩の腕の裾を握ってしまいました。
どうしよう、何も考えてなかった。
だ、だけどここを逃したら先輩に会えなくなりそうで…。
「先輩。
放課後、屋上に来てくれませんか?」
「?
屋上だな。
分かったよ。
それじゃ、また放課後に会おうぜ。」
「は、はい。」
そういって、先輩は去って行きました。
教室
えへへ~。
「ムッちゃん、ムッちゃん。
シホちーが気持ち悪い顔してるよ。」
「え?
そうか?
こんなに緩みきった志穂は可愛いだろ?」
「ええ…。」
早く放課後にならないかな。
はじめましてユウです
次は告白シーンが入る予定です。
ブックマークしてくれると嬉しいかな。
よろしくお願いしますね。