先生は冒険者になりました。
冒険者ギルドの大きな扉を開けるとお約束通り半分が酒場でもう半分が受付になっていた。
俺が受付の近くに行くと美人の受付嬢が俺に声を掛けて来た。
「いらっしゃいませ、ご利用ですか?」
「冒険者の登録に来たんですけど。」
「ではコチラの紙にご記入ください。登録後、ギルドでは冒険者の死亡などの責任は一切取りませんのでご了承ください。ランクについては登録後はいかなる事情があっても一番下のランクFから始まります。何かご質問は御座いますでしょうか?」
「受けられる依頼はどのランクのクエストでも受けられるのか?」
「原則として冒険者はご自分のランクより一つ上のランクの依頼までしか受けられない決まりとなっております。パーティを組んでらっしゃる場合のみパーティ内で一番高いランクの方と同じランクまでの依頼を受ける事が可能となっております。例えるとランクFの方とランクDの方のパーティならランクDの依頼を受けられるようになります。」
一応寄生プレイが可能な訳か。
まぁランクの低い冒険者を連れて行くなんてリスクのあることをやる奴なんて添うそう居ないだろうけどな。
「わかりました。ありがとう御座います。他は特に無いです。」
「では、何か御座いましたら遠慮なくお申し付けください。」
俺は受付嬢にお礼を言うと紙に記入を始めた。
名前・・・トオル・カタセ
年齢・・・27歳
性別・・・男
書けるのはこの3つだ。
もう一つ項目があるがそれは出身地なので書くことが出来ない。
出身地は地球なんて書ける訳無いし、無難な所で良いだろう。
「記入はこれで良いですか?」
俺は記入した紙を受付嬢に渡した。
「はい、ではギルドカードの作成を致しますので少々お待ちください。」
カード作成に時間が掛かるようなので近くの椅子に座って待つことにした。
するとずいぶんと厳つい顔の男に話しかけられた。
「おう、そこのお前。見ない格好だが新入りか?」
「あぁ、今日から冒険者になる。お前は?」
「俺はCランクのザックだ。せっかく出会ったんだ何かあれば俺に聞きな。」
男はガハハと笑いながら歩いていった。
顔は新人冒険者に突っかかる素行の悪い冒険者風なのにすごい良い奴らしい。
「トオル様、ギルドカードが出来ましたので受付までお願いします。」
いつの間にかギルドカードが出来上がっていたらしい。
「それでは、ギルドカードの説明を致します。ギルドで受けた依頼の依頼料は全てギルドカードに入金されます。このギルドカードは各国にあるどのギルドに持って行っても入金されたお金を引き出したりする事が可能になります。無くした場合、再製作に銀貨5枚必要になりますのでお気をつけ下さい。」
「おっ出来たのかギルドカード。」
受付嬢からギルドカードを受け取ったタイミングで後ろから声を掛けられた。
てか、カイルだった。
「おかげ様で無事に冒険者登録が出来たよ。所で後ろに居る人は?」
カイルの後ろに先ほどのザックより厳つい顔の男が居た。
「紹介するぜこのギルドのギルドマスターをしている元Aランクのマルクだ。二つ名は『ミスリル筋』だ。どんな攻撃もミスリルのような硬度にした筋肉で防ぎ、ミスリル並みの硬度の拳で殴りつける事からその二つ名がついたんだ。」
「お前さんがカイルにフォレスト・ファングを売ったって言う奴か。冒険者でも無い一般人が4匹のフォレスト・ファングを倒したって言うのは眉唾ものだがカイルが言うなら間違いは無いだろう。強い奴は歓迎するぜ。よろしくな。」
「よっよろしく。」
背中を何回か叩かれながらもあいさつをするとザックと同じ様にガハハと笑いながらギルドの奥に消えていった。
「気に入られたみたいだな。ここでザックってCランクのザックって奴に会わなかったか?ギルドマスターとそいつはいとこ同士らしい。なんとなく似てただろ。」
確かに言われてみると似ていたような気がする。
外見はともかく立ち去り方は全く同じだったからな。
「カイル、次は宿屋に案内してくれないか?」
流石に疲れたので宿屋まで案内してもらう事にした。
ギルドマスターのランクをSからAに修正しました。




