先生は武器について考えます。
カイルが涙を流しながら歓喜してる横で俺とカドトスさんは武器の相談をしていた。
「トオルよぉ、おめぇの武器を作っだっで言ったがよその前におめぇここにあるの振っでみろ。」
カドトスがそう言って5本の鉄で出来た剣を会計カウンターに乗せてきた。
「ぱっと見は同じだが何か違うのか?」
俺は鉄の剣を見たそのままの感想をカドトスさんに伝える。実際、並べられた5本の剣は見た目が全く一緒なのだ。
これを振るのに何の意味があるのだろうか?
「この剣は全部、素振り用に作られでる剣だ。それぞれ、重さが違げぇだよ。いいがら振っでみろ。」
俺は成る程と思いながら、左から右の順番で剣を持って振った。一番左のやつが一番重く、一番右のやつが一番軽かった。
どれが良いかと聞かれるとやはり一番軽い剣が良いと思った。よく考えてみろ、ついこの間まで剣に全く馴染みの無い日本で暮らしてた一般人が重さのある剣を自在に操れる訳が無い。
「この一番右のやつが良いな。」
俺がそう答えるとだろうなと言う様な表情をしていた。何かイラッとするなその表情。
「最初に見だ時にコイヅは本当に冒険者か?ってくらいヒョロッチイど思っだがらな。やっぱり子供用の重さで良かっだみてぇだな。」
「まてまて、さっきのは嘘だ。この真ん中にある剣と同じ重さにして貰おうか。」
俺は子供用の重さと言われて少し見栄を張った。一応、振れなくは無い重さだからな。一応。
俺がそう言うとカイルが俺の肩を掴んで来た。
「トオル、悪い事は言わないから子供用の重さにしておけ。実際、機動重視の剣士だとそれくらいの重さを選ぶ大人だって居るからな。第一トオルだとこの重さはそう何回も振れないし、持って歩くのもツラいだろ?」
言われて俺は確かにと思ってしまった。そもそも、俺は遠距離から魔法やら転移やらで戦うのだからそんなに剣を使う場面は無いだろう。
しかし、実際に使うかは別として持ち歩く必要が…ん?別に持つ必要は無いか。
「カドトスさん、やっぱりこの店で一番重い剣にしてくれ。」
俺がそう言うとカイルとカドトスさんは何言ってんたコイツみたいな顔で俺を見てきた。
「トオル、さっきの話聞いてたか?お前の筋力じゃこの一番左にある剣すら振れないのにこの店で一番重いのだと?」
「オラは振れねぇ剣を作る気はねぇ。重い剣でどうするづもりだ?」
俺はカドトスさんにニヤリと笑みを浮かべながら答える。
「いや、俺は確かに振れないよ。けど、武器にする事は出来る。」
「なら、こっちでそれを証明しでみろ。」
俺達はカドトスさんに連れられて裏にある少し広く、真ん中に丸太が直立で立っている空き地の様な…多分、練習場みたいな所に連れてこられた。




