先生は魔法の開発をします。
昨日、ジャミル大国から帰ってきた俺は朝起きて直ぐにグラーフさんを尋ねていた。
「グラーフさん、ちょっと良いですか?」
「おう、聞いたぞ。トレイリとジャミル大国の王都でデートして来たんだってな。やるじゃねぇか!」
何故、話して無いのに知ってるんだ?
「なっ何故それを・・・」
「ん?トレイリ本人から聞いたぞ?王都で男の甲斐性を見せ付けて、帰りに出くわした盗賊集団をあっという間に倒したとか多分もう村中の人が知ってるんじゃないか?」
マジか・・・。
昨日帰って来て俺は疲れて寝てしまったがその間に村中の人に話したって事かよ。
トレイリ・・・恐ろしい子!
「トレイリは結構人気あるから頑張れよ。それとも俺が上さんを射止めた話でも聞いてトレイリを落とす参考にでもするか?」
グラーフさんと奥さんの馴れ初め・・・気になる。
どうやってあんな美人をこんな野獣みたいな人が射止めたのか。
待て待て、俺。
用件は他にあるだろ、危うくグラーフさんに聞きたい事を忘れる所だった。
「いや、俺は魔法に付いて聞きたくて来たんですよ。」
「何だ?上級のアイデアでも浮かんで来たか?」
「もしかしたら上級足りえる可能性があるんですけど・・・。」
「へぇ、どんな魔法なんだ?」
「いや、まだ思いついただけなので実際可能んか試すまでは何とも・・・。」
この魔法が一体どれほどの威力なのかはこの時はまだ知らなかった。
何て風に言うとまるで後で何か重大な出来事が起こりそうな気がする。
「ちょっとあの場所で練習して来るので、魔法が完成したら報告します。」
「あぁ、頼んだぞ。お前さんには期待してるからな。」
てな訳で俺は今、森にある魔法練習ポイントに来ている。
この魔法を思いついた切っ掛けはジャミル大国で迷子になった時に偶然、ガラス工房を見かけたからだ。
一度、溶かして形を変えて冷やす事で固めるのがまるでマグマの様だと思い、更に火山ガラスと言う言葉を思い出した事で土と火の魔法でガラスレンズを作り、太陽光を集めて攻撃が出来るのでは無いかと考えたからだ。
「まず、クリエイトマッドでかなりの高さの土で出来た柱を作って。先端をケイシャ、ソーダー灰、石灰石のみ(ガラスの材料)にしてクリエイトファイヤーで先端部分に火を点けて温度を1500度?位だったかになるまで上げて、溶けたやつの形を整えればレンズが出来るはず。多分、きっと・・・」
何か自信無くなって来たな。
本当に旨くいくのかな?
俺は溢れ出る不安を胸に魔法の練習を始めた。




