先生は護衛の依頼を受けました。
俺の巧みな説得により山賊行為などはもうやらないと言った山賊達を縄で縛った。
「な、なぁこの縄を解いてくれよ、もう何もしないからさ!」
「はっはっはっは!」
山賊の一人が面白い事を言うので思わず笑ってしまった。
「俺は犯罪行為は止めろと言ったが、今回の件を許すとは一言も言ってないんだ。そもそもお前達の言葉は一切信じられないしな。」
もし、俺に力が無くて冒険者達もやられてたら多分、馬車の中に居た人達は大変な目に遭ってたかも知れないだろう。
って事はトレイリにあんな事やこんな事をしてたかも知れない奴を許す訳が無い。
「こいつ等は俺がジャミル大国の王都まで連れて行きましょう。衛兵に引き渡した方が良いですし。」
護衛に就いていた冒険者の一人がそう言い出した。
「そうですね。このまま犯罪者をここに置いて行く訳にはいきませんから。」
「一人で大丈夫ですか?」
一人で20人ほどを見てるのは大変だろうと思い声をかけた。
すると、別の冒険者が声を上げた。
「なら、俺も付き添います。」
先程の山賊との戦いで負傷したのだろう、腕を包帯をしてる冒険者が付き添いを希望した。
「俺がこのまま護衛に居ても、この怪我じゃあ満足に戦闘出来ないからだったら俺もジャミル大国の王都に付いて行くよ。ついでに怪我の具合を見て貰いにな。」
「そうですか、しっかり怪我を治して下さい。しかし、どうしょうか護衛の人数が2人も減ってしまいましたね。」
御者の人がどうしようか悩んでるようだ。
まぁ、安全に乗客を運ばないといけないのに護衛の冒険者が二人も減ったとなると頭を抱えたくなるのも分かる。
「なら、俺を新しく雇いますか?」
俺がそう提案すると嬉しそうに御者の人が詰め寄って来た。
「宜しいのですか?此方としては願っても無い提案なのですが。」
「えぇ、良いですよ。俺も雇って頂けるなら幸いですから。」
ジャミル大国では予想外の出費だったからな。
稼げる時に稼いでおかないといけないから・・・。
「では、片道の護衛を依頼させて頂きます。依頼料は先程のご活躍を含めて金貨1枚で如何でしょうか?」
片道の護衛だけで金貨1枚って大丈夫なのか?
「俺のランクはEでハジス村までしか護衛出来ないが、金貨1枚も良いのか?」
「ランクと距離は関係有りません。貴方が此処にいる誰よりも御強いと言う事を知っておりますので。この金額は正当な報酬だと思っていて下さい。」
「では、遠慮なく。今から護衛に参加させて頂きます。」
「宜しくお願い致します。」
おっと、トレイリに護衛に参加したって伝えないとな。
「連れに依頼を受けた事を伝えてきます。」
俺はそう言って馬車の中に入った。
「トレイリ、ちょっといいかな?」
「何かしら?」
「さっきの戦闘で山賊をジャミル大国に連れて行くので護衛の冒険者が二人減ったから代わりに俺が護衛の依頼を受ける事にしたのを伝えようと思って。」
「そうなんだ。じゃあ見張りの交代まで一緒に居てね。」
何だかトレイリが積極的何だけど・・・嬉しいから良いけど。
「分かった。そうする。」
その後は見張りの交代までトレイリと一緒に居たが、何事も無く依頼は終了した。
依頼は口頭だったので報酬は馬車から下りた時に支払われた。
後日、ギルドへ依頼内容と依頼完了についての連絡が行くらしい。
そんな訳で俺達は無事にハジス村まで着く事が出来た。




