先生はトレイリに村を案内して貰います。
ゴソゴソッ
「ん?何だ?」
俺の隣で何かが動いてる?いや、誰か居る?
「ふふっ。結構可愛い寝顔。」
俺の横でトレイリがタバコの様なものを吹かす振りをしていた。
「事後かよ!てか何で此処に居るんだよ!鍵掛けてたのに何処から入ったんだ?」
何で俺は寝起きでツッコミをしてるんだ?
本当に何でトレイリが俺の部屋に居るんだ?
「約束したじゃない。村の中の案内と街の案内するって。依頼の後に行くはずだったのにトオルは依頼と魔法の練習で急がしそうにしてたし・・・」
あーやべぇ、すっかり忘れてた。
カイルとの依頼が終わって帰る寸前に思い出したのにグラーフさんに混合魔法を教わる事も思い出してトレイルとの約束がスッポリ抜けたんだ!
「ごっごめん!完全に忘れてた訳じゃ無いんだ!ただど忘れしてただけなんだ!信じてくれ!」
俺はまるで浮気現場を目撃された旦那のようにトレイリに向かってひたすら平謝りをしていた。
「良いわよ、別に。代わりに今日は全部トオルの奢りだからね。分かった?」
「イエス!任せてくれ。」
「じゃあ、私も準備しに一旦自分の部屋に戻るから、んっと待ち合わせ場所はギルドの前にしましょうか。時間は10時にね?遅れないでよ。またね!」
「あぁ、分かった。」
そう言ってトレイリは部屋から出て行った。
いや、本当に何で俺の部屋に居たんだ?てか、鍵を掛けてから寝たはず何だが・・・謎だ。
「そういや、今の時間は・・・何だ、まだ朝の5時か・・・早過ぎない?」
朝5時とか・・・ラジオ体操、有るまいし。
「早く起きたらまずは・・・二度寝をしよう。」
心にそう誓ってまた夢の世界に、旅立った。
・・・目覚まし時計をセットしてから二度寝をしたおかげか、待ち合わせの時間に遅れること無く準備を済ませてギルドの前でトレイリを待った。
「ごめん、待った?」
トレイリは少し申し訳なさそうに聞いてきた。
「いや、ついさっき来たばっかりだから。」
「嘘でしょ、本当は9時にはもう待ってたでしょ。」
ええ?何で知ってるんだ?
「何で知ってるんだ?って顔をしたわね。」
「何で知ってるんだ?」
まさか知られてるとは思って無かったので素直にトレイリに聞いた。
「何でってそりゃあ見てたから。9時からずっと私を待ってるトオルの姿を・・・」
「見てたって、何処で?」
トレイリが指を指す方向を見ると喫茶店が在った。
ギルドのほぼ向かい側に喫茶店でずっと見ていたらしい。
「いやいや、見てたなら声掛けろよ。俺が待ってた意味!」
何故か今日はツッコミをさせられる日だなぁ、そんな風に思いながらも無事に集合したのでトレイリと村の中を歩き回る事にした。




