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先生はゴブリンの皇帝と戦います。

  扉を開けるとそこには異常な程大きな玉座のような椅子とそこに座る大きな人影があった。


「人間ヨ・・・何故我等ノ棲家ヲ荒ラス。」


 しゃ・・・喋ったぁ!!

 っは!驚きすぎて某幸せの一式みたいにはしゃいでしまった。


「おい!カイル、ゴブリンって喋るのか?」


「いや、そんな話聞いた事が無い。」


 どうやらカイルも知らない魔物らしい。

 もしかしてボブゴブリンより上の存在・・・


「もしかしてゴブリンロードか?」


 ゴブリンロードは”ゴブリンの王”だ。

 ゴブリンと言えどランクはBまで跳ね上がる魔物だ。

 元はただのゴブリンだが、長く生き延び、ゴブリンからボブゴブリンへ。

 ボブゴブリンからゴブリンロードへ進化を遂げた固体だ。

 まぁボブゴブリンばっかりだったからもしかしたらとは思ってたけど。


「あぁ、多分あれはゴブリンロードで間違い無いだろ。」


 カイルも同じ意見だったらしい。

 しかし、俺達の考えは思いがけない者によって覆る事になった。


「ゴブリンロード?違ウナ。我ハ、ゴブリンノ頂点、王ヲ越エシ者。ゴブリンエンペラーゾ。」


 ゴブリンエンペラー・・・強そう。

 てか今、ゴブリンの王を越えし者とか言わなかったか?ゴブリンロードですら俺達の格上の存在なのにその上だとランクはA近くは成るんじゃないか?


「ゴブリンエンペラー何て固体聞いた事が無いぞ。」


 カイルが知らないって事は余計に俺は知らない訳で・・・ヤバイな本格的に詰んで無いか?この状況?俺とカイルだけでどうにか成るのか?

 いや、どうにかするしか生き延びる方法は無い。


「カイル、まずは俺が魔法で牽制するからお前は隙を突いて足の腱辺りを狙って攻撃してくれ。」


「魔法で牽制するって魔法を唱えてる間に殺られちまうぞ。」


 カイルには教えておいてもいいか・・・


「大丈夫だ、だって俺は無詠唱で魔法が使えるからな。」


 そう言いながら心の中でマッドランスと6回唱えて俺の周りにまるでファンネルの様にマッドランスを発現させた。


「準備は良いか?」


「あぁ、こっちは問題ない。」


「行くぞ!GO!」


 こうして俺とカイル、ゴブリンエンペラーの戦いが始まった。

 取り合えず発現させていたマッドランスを全方向からゴブリンエンペラー目掛けて発射した。

 いくらゴブリンエンペラーと言っても無詠唱の魔法は予測出来なかった様で6本中3本が左肩、右脇、左太腿に命中した。


「行け!カイル!」


 その隙にカイルが右の腱を、切った。


「ギャァァァア!クッ小賢シイマネヲスル。ダガ、マダマダダナ人間ヨ。」


 そう言うとゴブリンエンペラーは何事も無かったかの様に立ち上がる。


「嘘だろ、怪我が治ってやがる!」

 

 くそっ思っていたよりずっと厄介だな。

 怪我の回復をどうにかしないと倒せないぞ。


「コッチカラ行クゾ。」


ドンッと音がしたと思ったらいつの間にかゴブリンエンペラーが目の前に来ていた。


「マズハ厄介ナ貴様カラダ。アノ世デ魔法ヲ使ッタ事ヲ後悔シロ。」


 ゴブリンエンペラーが手に持っていた豪華な装飾をした斧を振り回して来た。

 あれをくらったらヤバイ、本能でそう感じた。


「転移。」


「ン?何処ニ行ッタ?」


「此処だ。」


 間一髪で転移が間に合った。

 俺はこいつを倒すべくまず、少し離れてしまったカイルと合流して作戦を立てる事にした。

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