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先生は神に会いました。

「知らない天井だ。」


 まったくわからない場所で目が覚めたら思わず言ってしまうセリフだと思う。

 パッと見た感じではただただ真っ白なだけの部屋に居る。

 何と言うか真っ白な部屋としか言いようの無いほど家具等が何も無い。


「ほっほっほ。いきなりの事で戸惑っているようじゃの。」


 突然、背後から声がして驚きながらもゆっくりと後ろを振り向く。

 そこにはまるで女神のような美しい女性・・・ではなく上半身裸で筋骨隆々のたくましい老人が立っていた。


「誰?」


 俺はいきなりの事が多すぎてパニックを通り越して逆に冷静になっていた。


「誰と言われたらお答えしようかの、わしは神。それ以上でもそれ以下でも無いわい。」


 和紙は紙?何を当たり前の事を言っているのだろうか。

 俺は変な人を見るかの様な目で老人を見た。


「イントネーションが違うわい!紙じゃなくて神様じゃ。」


 さっきまで帰る途中の道路に居たのに突然、何も無い真っ白な部屋に居る時点で薄々は気付いていた。

 気付いていたというかあまりにテンプレな展開だったからもしかして?程度に期待していた。


「何かを期待しているようじゃの。」


「期待はしている。だからこそ一つ聞いてもいいか?」


 俺は聞かずにはいられなかった。

 もしかしたらと・・・


「ここに男二人、女二人の高校生くらいの四人が来なかったか?」


「その四人は男が赤井あかい けい黒川くろかわ 大吾だいご、女は青山あおやま みお木根きね さくらじゃった「知っているのか!」かの。最後まできちんと言わせてくれんか?」


 この爺さんは四人を知っている。その事だけで俺は我を失っていた。


「爺さん!その四人はどこに居るんだ!生きているのか!何故、俺以外は四人を覚えていないんだ!教えてくれ!」


「まぁまぁ落ち着かんか。」


「落ち着ける訳が無いだろう!目の前から消えたんだぞ!それに誰も覚えていなかったんだ!」


 俺は捲くし立てるように質問をした。


「順に説明してやるからまずは落ち着かんかまったく。」


 爺さんはまるで泣いている子供を相手するかのような表情で言って来る。

 俺は我に帰り、爺さんか説明を受ける。


「まずどこに居るかじゃが地球には居ない。エルニクスと言う別の世界に居る。」


「エルニクス・・・」


 やはり赤井達は異世界に行ったようだ。


「そしてその世界のマクリ王国と言う国で勇者として生きている。」


 俺は一先ず安堵した。

 異世界転移物では何人かで転移すると戦いに巻き込まれて死んでしまう話もあるからだった。


「生きていてくれたか良かった。」


「ほほ、安心したかの?では何故、皆の記憶から消えたのか・・・地球の意思が消えたと認識したせいじゃ。」


 地球の意思?地球にも意思というものがあるのか?


「地球の意思?だったら何故、俺は思いだしたんだ?」


「お前さんはあの時、彼らの一番近くに居た影響でなんやかんや忘れるだけで済んだんじゃ。」


 なんやかんやだと。馬鹿にしているのかこの爺さんは。


「おい、なんやかんやって何だよちゃんと説明しろよ。」


 爺さんは考えるようなしぐさをするとおもむろに口を開いた。


「何度聞かれてもこう答えるかの。なんやかんやはなんやかんやや!」


 爺さんはドヤ顔で言い切るため、少し冷静になろうとそれ以上聞かない事にした。

 機嫌を悪くされても俺が困るだけだからな。

 そんな風に思っていると爺さんが少し近づいて来た。


探偵系のドラマって結構好きなんですよね。

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