先生は依頼を完了させました。
さて、仲間が増えた訳だけど・・・村に連れて行って大丈夫なのか?
「うーん、どうかしらね。私は可愛いからいいと思うけど。」
トレイリはそれで良いかもしれないが、問題は村の人達が許可を出すかどうかだ。
「取り合えず、拾ったぬいぐるみって設定で押し通せば良いんじゃない?」
トレイリの発想を聞いたとき、まるで体中に電気が走ったかの様な衝撃を受けた。
「トレイリ・・・お前・・・」
「いや、うん。冗談・・・「天才か!」えっ?」
天才かよ。
そうだよ、こんなに可愛いぬいぐるみが魔物の訳無いんだから。
「そうと決まったら村に急ぐぞ!」
「むー!」
「流石に冗談なんだけど・・・」
2時間後、俺達は森を抜け、村に到着した。
「まずは依頼を完了した事をギルドに伝えないとな。」
「むー。」
「ぬいぐるみが喋ったら駄目でしょ。もう。」
そうだった、ピースに喋らないように言わないと。
「ピース、良いか?これから先は喋ったら駄目だぞ。分かったな?」
「むー。ビシッ」
ピースは敬礼するように片手を頭の前に持ってきてキメ顔をした。
「くっうちのピース可愛すぎ。」
「確かに、これはどんな人もデレるわね。」
「むー?」
ピースは訳も分からず小首を傾げる。
いかん、早くギルドに行こう。
バンッ
俺は思い切りギルドのドアを開けた。
「いらっしゃいませ。」
受付嬢が笑顔で対応してくれる。
「依頼完了しました。」
「私も依頼完了しました。」
「はい、トオル様とトレイリ様ですね?では此方に依頼完了を証明する討伐確認部位を出して下さい。」
俺とトレイリはそれぞれ、討伐確認部位を出した。
「確認致します。トオル様はゴブリンのツノ34本、トレイリ様はフォレスト・ファングの牙8本、以上ですね。」
「「はい。」」
「ゴブリン討伐の確認ツノ数は20本、トオル様のお持ちしたツノの数は34本ですので超過分ギルドで買取いたしますがどうしますか?」
「お願いします。」
ギルドで超過分を買い取ってくれるなら手間が省けて楽だ。
「では超過分を加味して依頼成功報酬は銀板1枚、銀貨3枚、銅板6枚です。内訳は依頼報酬で銀貨8枚、超過したツノが1本銅板4枚で計銀貨5枚、銅板6枚。合わせて銀板1枚、銀貨3枚、銅板6枚と成ります。」
そんなものか。
そんな顔をしていると・・・
「何であんたってあんなに強いのにゴブリン討伐なんて最初の方の依頼を受けてるの?」
トレイリが聞いてきた。
「何でって冒険者登録して初めての依頼だからだよ。」
「はぁ!?って事はあんたってまだランクFなの?」
当たり前だ。なんせついこの間ギルドカードを作ったばっかりだからな。
「ランクFの強さじゃないでしょそれ。」
「では次にトレイリ様のフォレスト・ファング討伐の確認牙数は6本、トレイリ様のお持ちした牙の数は8本ですので超過分ギルドで買取いたします。」
「よろしく。」
「それでは超過分を加味して依頼成功報酬は銀板8枚です。内訳は依頼報酬で銀板6枚、超過した牙が1本銀板1枚で計銀板2枚。合わせて銀板8枚と成ります。」
「結構な額になったわね。」
俺も早くトレイリと同じランクの依頼を受けれる様になりたい。
心の底からそう思った。




