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先生は解体を教わりました。

「トレイリ、一つ言って置きたい事があるんだ・・・」


 俺は真剣な眼差しでトレイリに言った。


「なっ何よ。そんな真剣に・・・」


「実は・・・」


「実は?」


 真っ直ぐにトレイリを見つめて、ゴクリと喉を鳴らす。


「実は俺、解体出来ないんだ!」


「えっ?」


 トレイリは拍子抜けしたような声を出す。


「わっ私はてっきり・・・えっと、待って。解体できないって事はこれ全部、私一人で解体するの?」


 悪いとは思うが解体に関してはこれっぽっちも戦力にならないのが俺こと片瀬徹だ。


「残念ながら俺は見ている事しか出来ないんだ。すまん。」


「解体用のナイフは?」


「一応あるが?」


 俺がそう言うとトレイリはニヤリと微笑んだ。

 嫌な予感しか無い。


「冒険者なら解体出来ないと困るわよね?」


「あぁ、そうだな。いつか俺も学ばないとなぁ・・・」


「いつか?違うわよ。今よ。まずはフォレスト・ファングからね。」


 こうして俺は着ている服を真っ赤に染めながら魔物の解体の仕方をトレイリから教わった。


「さぁ、ハジス村に戻るわよ。」


「おっおう・・・」


 トレイリは意気揚々と歩き出すが人生で初めて魔物の解体をした俺は例えるなら友人に騙されてグロ系映画を見せられた後のような気分だった。


「いつまで辛気臭い顔してんのよ。どうせ、今後も解体しないといけないんだからさ。」


 俺の背中を叩きながらトレイリが話しかけて来る。

 そうだよな、強くなるには魔物を倒さないといけないし倒したらキチンと解体して売ったり食べたりしないと。

 それが生きるって事なんだよな・・・


「ありがとう、トレイリ。何か悟りを開けた気がする。」


 トレイリの後ろを歩いていた俺は、お礼を言うとトレイリに追いついて隣を歩き出した。


「トレイルは何で冒険者になったの?」


 何となく不思議に思ったので聞いてみることにした。


「手っ取り早くお金を稼げるからよ。」


 普通に考えたら当たり前のことだ。

 冒険者も立派な職業なのだからお金の為に冒険者に成るのも珍しい事ではない。


「じゃあ、トオルは何で冒険者になったの?やっぱりお金の為?」


「それも在るけど、俺は・・・もう二度と失うことの無い様にかな?」


 顔を空を見上げながら言うとトレイリは申し訳なさそうに言った。


「ごめん、そんなつもりじゃ・・・」


「いや、良いよ。別に死に別れた訳とかじゃないし。」


 ・・・何だか気まずい空気が流れる。

 何か言わないといけない気がする。でも、どんな話題を・・・


「とっトレイリって普段は何をしてるんだ?」


「何って武器の手入れしたり、街に出かけたりよ。」


「街が在るのか?村から近いのか?」


 俺は街があると聞いて思わず興奮してしまった。


「トオルは街に行ったことが無いの?」


 街に行くも何も村にだって来たのは昨日だからな。


「あぁ、一度も無い。というか村に来たのも昨日だからまだ村の中ですら言ったことの無い所ばかりだ。」


「なら、この依頼が終わったら村の中の案内と街の案内をしてあげようか?」


 まさか、トレイリから願っても無い提案をして貰えるとは。

 カイルに村の事を教えて貰おうかと思ったが男に案内されるより女性に案内して貰える方が数百倍嬉しいからな。


「是非、お願いするよ。」


「分かったわ。じゃあさっさと村へ帰りましょう。」


 俺はトレイリと村に戻ったら村と街を案内して貰える約束をして村への道を急いだ。


ガサガサッ


 何処からとも無く音が聞こえる・・・


おかしいな予定ではもう村に着いてた筈なんですけど・・・まだ続きます。

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