先生はゴブリンと女冒険者に出会いました。
森へ入った俺はまずゴブリン探しを始めた。
といってもこの広い森の中で簡単に見つかる訳が無いのだけれど。
「「「ギィギギ。ギギィギ。」」」
居た。しかも、3匹居た。
依頼はゴブリンのツノ20本だからあいつ等を倒してもあと17匹見つけないといけない・・・面倒だな。
あいつ等が仲間の所に戻るのを待つ方が良いか。
「「「ギギギギィ」」」
ゴブリン達が動き出したので俺も後を着けるために移動した。
「ハァッ!ヤァッ!フッ!」
「グルルルルルルル・・・ガァッ」
ゴブリン達が草むらに隠れて何を見ているのかと言うと若い女の冒険者とフォレスト・ファングが戦っているところだった。
何で隠れて見ているのか疑問に思っていたが直ぐに答えは分かった。
「くらえっ!!」
「ギャンッ」
女冒険者がフォレスト・ファングを切り殺すと同時に疲れたのか肩で息をしながら座り込んでしまった。
その瞬間、ゴブリン達が一斉に飛び出して女冒険者の頭を棍棒で殴り気絶させた。
ゴブリン達は気絶したのを確認すると3匹で女冒険者を持ち上げて連れ去ってしまった。
「まさか、ゴブリンの誘拐を目にするとは思わなかったなぁ。」
俺は呟きながらもゴブリン達の後を追った。
ゴブリン達を尾行していると大きな洞穴に着いた。
「ここが棲みかか・・・おっとさっきの人を助けないと。」
俺は洞穴に足を踏み入れた。
洞穴の中はじめっとしていて嫌な臭いがしている。
「「「ギギィギィ」」」
ゴブリン達は女冒険者を持ち上げたまま洞穴の奥に入っていった。
「「「ギギィ」」」
ゴブリン達は奥にある部屋のような所に女冒険者を入れると此方に歩いてきた。
「転移」
俺は落ちている石をゴブリン達それぞれの喉に転移させた。
「「「ギイイイイイイイッ・・・ギギィ・・・ギ・・・」」」
3匹同時に呼吸困難で倒れた。
俺は近くによって剣で止めを刺して、討伐部位のツノを取るとドタドタと複数の足音が聞こえてきた。
ゴブリン達を呼吸困難にしたときの叫び声で他のゴブリンがやって来た様だ。
俺は一気に依頼を達成するべく武器を持って警戒をした。
「「「「「「ギギィギギギギィ」」」」」」
俺は足元にある物を手当たり次第にゴブリン達へ転移させた。
「これで最後だ!転移!」
「ギ・・・ギギィ・・・」
追いかけてきた最後のゴブリンを倒してツノを取った。
手元には合計34本のゴブリンのツノが残った。
俺は忘れていた訳では無いが女冒険者を助ける為に奥の部屋のような所に向かった。
「起きろー。怪我無いかー。」
部屋のような所で女冒険者が横たわっていたので声を掛けながら起こした。
「うーん、誰?ここは?」
助けたのは良いが、襲われる所をゴブリンの棲みかを見つける為とはいえ黙って見ていたことは言わないように気をつけようと思いながら女冒険者に説明した。
「俺はトオル。ゴブリンの討伐依頼を受けてゴブリンを探していたら棲みかを見つけたからゴブリンを倒して奥に来たらお前が倒れていたんだ。何か覚えていないか?」
「確か・・・フォレスト・ファングを何とか倒して気が抜けた所をゴブリンに襲われたような・・・」
知っている。
だって草むらから見ていたからななんて言えない。
「そうか、でも取り合えず無事で良かったよ。」
「ありがとう。あんたが助けてくれていなければ今頃どうなっていたか。私の名前はトレイリ・スラーよ、よろしく。」
トレイリは赤い髪色で瞳の色が薄い青色をしたかなりの美人だった。
何で異世界って美人が多いんだろうな?男には嬉しい不思議の一つだな。
そんな事を俺はトレイリを見ながら思っていた。




