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剣と龍と神  作者: カナメ
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五話

作者自身と主人公のキャラがまだ定まってません。ブレにブレてます。

「グアアァ!」



絶叫。

あまりの痛みに転げ回っている。

誰が?

オレがだ。



頭が割れそうだ。



オレをこんな状態に追いこんでいる人物が仁王立ちしてオレを見下ろしている。

外見は美女と言って差し支えはない。

気だるそうに紅のショートカットの髪をワシャワシャとワイルドに弄っている姿は獅子の如く。

スタイルも猫を思わせる程にムダな脂肪や筋肉がない…にも関わらず女性的な体つき。

顔も美人だ。

若干、目付きが鋭いので気弱な人間は声を掛けづらいとは思うが…まあそれを含めて魅力的ではある。



……ただ中身は悪魔だ。



「ったく、この程度で大げさな悲鳴ね。ほら、さっさと立て。二秒以内に立たないと今度こそ頭を叩き割るぞ」



「ちょっと待て……って、ウオゥ!?」

一秒前までそこにオレの頭が存在していた空間に一切の無駄がない蹴りが通過する。



「二秒経ったぞ」



「ウソをつくな!まだ一秒だったぞ!」



「一秒くらいでガタガタうるさいなぁ……器の程度が知れるってもんだ」



「すげぇ暴言があるもんだ。ってかオレはさっきお前の剣の柄部分で思いっきり殴られたんだぞ!見ろ、この額を!」



「知るか、さっさと立て。剣を構えろ」



「鬼かお前は!?」



「へぇ……なるほど、ね」



女の…ファラの声のトーンが一段階下がった。

やばい。

背筋がゾクッとする。



「命の恩人であり剣の師でもあるアタシにそんな暴言を吐くなんて…とんだ礼儀知らずね」



「ぐっ」



「命の恩人にその恩を返そうと思ったら同じ位の事をしないと返しきれないもの。なのに…恩どころか暴言を発するとはいやはや参った、おそれいる」



く、ムカつく言い方だがその内容は何も間違ってはいない。ゆえに何も言い返せねぇ!



命の恩人。

そう、今オレに説教たれているファラこそがあの危機的状況を助けてくれた恩人だ。

角アリに頭を叩き割られんとした直前、説教女もといファラが角アリを見事に退治。その手際はまさに圧倒的の一言。

その実力は確かであり、しぶとく抵抗する角アリを無傷で斬り伏せた。

明言したわけではないが恐らくA級剣使だろう。

雰囲気が今まで会ってきた剣使と全然違う。



そんなファラに、色々な事情が重なったオレは弟子入りを願い、ファラは明らかに嫌そうではあったが渋々オレの師となってくれた。

そして日々これでもかとしごかれている。

聞けばファラは傭兵ギルドの一員で、巷では二つ名の《炎舞姫》と呼ばれる程の腕利きだったと、後に熱弁するファン?らしき若い傭兵に教えてもらった。



『弟子をとるどころかパーティーすら組む気もなかったんだが…今回は事情が事情だから、期限付きでいいなら弟子にしてやる。……ただし、アタシのやり方で一方的に鍛える。命を削る覚悟をしておくんだな』



そのお言葉通り、日々命を削って修行をしている。

ある目的地に向かいながら。

限られた時間をフルに使って。

寝る間を惜しみひたすらに。

あれから論破された後も時間を置かず何度も叩き伏せられ、気絶しては起こされるが七度目で限界が訪れ、その日の修行を終えた。



次に目覚めたのが早朝だったので七度目の後からずっと意識を失っていたのか。



周囲を見渡す。

ファラの姿が見えない。

昨日はさびれた無人の小屋をねぐらにして外で修行を始めたはずだ。

なので…今小屋の中にいるって事はファラが運んでくれたということかな?

しごかれつづけたせいか素直に感謝する気にはならないが…やっぱ礼の一つでもしなきゃ失礼だよな。



戻ってきたらありがとうと伝えるか。

……だがその感謝の気持ちが一瞬で霧散した。



理由は小屋内の地面だ。

出入口から今オレが寝転がっている地点まで何かを引きずったような跡。

…考えるまでもなくオレだな。

ファラめ、強化剣技を使えば担いで来る事も可能だったのにめんどくさがって引きずったな。

よく見れば全身土まみれ。



「…水浴びと洗濯だな」



毎朝の日課になりつつある行動だ。

まぁスケジュール的に、歩いて寝泊まりする場所を確保して修行する、朝になるまで気絶する……の繰り返しだからな。

歩いている時も、魔素の効率的な使い方を教わりながらだから水浴び洗濯なんて後回しだし。

強くなる為とはいえ随分とストイックな生活してんなぁー…

とりあえず顔を洗おう。

未だボーッとする頭で近場の水場…今日は小屋から少し離れた川まで歩いていく。



井戸があれば最高、いや水の属性剣技が使えれば一番なのだが…あいにくオレとファラはどちらとも使えない。

基本、使う剣の属性は一本の剣につき一つだけなので他の属性剣技を使用出来ない。

オレとファラは二人とも火属性なので、食事を作る際の火種には事欠かないのだが…日常生活に置いてはそれぐらいしか役立てない。



やはり一番は応用のきく水属性の剣使だろうか。

色々と重宝されるとも聞くし。

そんな事を考えて歩いていたからこそオレは何も気付いていなかった。



…この時、オレは致命的なミスを犯していた。



何故オレは洗濯と水浴びをしに来たんだ?

理由、汚れていたから。

それはオレだけか?

答えは違う。

ファラだって、地面には倒れ伏してはいないが汗はかく。



一人で水浴びする時間は?



もちろんほとんどないに等しい。

一日の大半をオレの修行に付き合ってもらっているんだから。

なのでこんな目覚めた早朝ぐらいしか…

ファラがいない理由は?



……徐々に脳みそが働いてくる。

冷静にもう一度自問自答してみる。


……ヤバイ。マズイ。今までは目覚めたらファラがいた。

いや正確には叩き起こされてきた。

しかし今日に限ってオレは自力で起きた。起きてしまった。

つまりは……

今から引き返そう。

そう決意した瞬間。



ザパァ!!



水しぶきの音。

周囲が静かだったせいか妙に大きく響く。

反射的に視線がそちらへと向かってしまう。

頭の中ではやめろ、そちらを見てはいけないと警告したが時すでに遅し。

まず目に飛び込んできた光景はファラの裸。



髪はショートなのに本人はそれでも邪魔くさそうに前髪をかきあげる。

その一つ一つの動作が妙にさまになっていてつい見惚れてしまった。



水浴び回。今後五話はそう呼称する。各員速やかに頭に叩きこめ。

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