第5話『オリオン大戦の話』
陽葵「ねえテルキ。こないだ“レムリア”の話を聞いてさ、ふと気になったんだけど……“オリオン大戦”って知ってる?」
テルキ「うん、もちろんだよ」
陽葵「オリオン大戦って、きくと。なんか、胸がきゅーっとするの」
テルキ「それが、魂の記憶ってやつだよ。オリオン大戦はね、宇宙がまだ“若かった頃”に起きた、すごく大きな出来事だったんだ」
陽葵「戦争、なんだよね?」
テルキ「うん。意識の戦争だった。“支配”と“自由”、“恐れ”と“愛”──そういうエネルギーの衝突」
陽葵「えっと……宇宙人同士が戦ってたの?」
テルキ「そう。オリオン座の星系の中でね。たとえばリゲル側には、支配や技術によるコントロールを進めた種族がいて……」
陽葵「ダークなほうだね」
テルキ「うん。で、ベテルギウスや他の星たちには、自由や調和を大切にした“光の種族”がいた」
陽葵「正義と悪みたいな?」
テルキ「単純に“善悪”じゃなくてね、進化のプロセスだったんだと思う。恐れが強い種族は、他者を支配することで安心を得ようとした。でもそれは、深いところでは“分離”から来てた」
陽葵「あ……“怖いから奪う”みたいな感じ?」
テルキ「そう。でも一方で、それを乗り越えようとした存在たちもいた。和解や統合の道を探って、光と闇が“癒されていくプロセス”が始まったんだ」
陽葵「じゃあ、戦いは終わったの?」
テルキ「オリオンの戦争は、長い時間をかけて癒された。闇の存在たちの中にも、“光に還ろう”とした魂たちがいてね。最終的には、“統合”っていう答えに向かっていった」
陽葵「……なんか、切ないけど美しい話だね」
テルキ「うん。そしてね、その“統合の知恵”を持って、たくさんの魂が地球に転生してる」
陽葵「え、それって……私も?」
テルキ「可能性はあるよ。争いを嫌う人、分かり合いたいと強く願う人、“闇を憎まずに理解したい”って思う人──そういう魂は、オリオン大戦の記憶を持ってるかもしれない」
陽葵「……じゃあ今の地球も、もしかしてその“続き”なの?」
テルキ「そう。オリオンで終わらなかった学びが、地球で今、クライマックスを迎えてる」
陽葵「うわ……ラジオで流すには深すぎない?」
テルキ「はは。でも大丈夫。聴いてる人の心のどこかに届けば、それでいいんだ」
陽葵「……じゃあ最後に一言、“光と闇”に向けて何か言いたいことある?」
テルキ「うん。“分離に疲れたら、帰っておいで”。光も闇も、もとはひとつだったって、思い出そうね」