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転生王女は毒母に立ち向かう①  作者: ミルクランド
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転生王女は毒母に立ち向かう!⑤

教育係りをつけることは、親元から離れ専属の教育係りやメイド達と教育棟で生活をする事になる。


親子とはいえなかなか簡単には会えない。これが正しい正しくないかは分からないけれど、私にとってはとても最高な環境だ。



というのも前世の私は女という理由だけで色々な事をさせてもらえなかった。

独学で他国の言語を身に付けても『いずれ降嫁する立場だから』という理由で海外に行く事は許されなかった。


幼い頃にピアノを習っていたが私の方が母より遥かに演奏が上手く、日に日に上達する事が母の逆鱗に触れた為にある日を境に楽器禁止令が出た。 


『オリナーシャ、これら全て税金です。清貧でありましょう』


私が許されたのは窓から鳥を見て、それらを絵に描く事と本を読む事くらいだった。そのせいか毎日が長く遅く感じた。



けれど、今は違う。たくさんの方々と出会い言葉を交わし私にあらゆる作法や礼儀や知識や教養や経験などを授けてくれる。

これは本当に胸が踊る。とは言えまだ子どもだからできる事は少ないけど、母から離された事が何よりも大きい。

全て吸収し、身に付けよう。それこそ、大切な税金だ! 絶対に無駄にしない!



母が私の教育係りの件について諦めたか分からないが私は母がここに来るたびに火が付いたように泣き叫び本気で嫌がった。


そして代わりに、祖父母や王弟陛下と王弟妃、ヴィルトゥスお兄様、何だったら側に控えているメイドに手を伸ばした。彼らが抱き上げると私はピタッと泣き止み笑顔を見せた。

この場に居合わせた人間達は、非常に気まずそうな表情を浮かべヒソヒソと耳打ちをした。


『オリナーシャ王女は母であるピアット王太子妃に懐いてない。むしろ、嫌がっている。それも異常な程嫌がっている。何故だろう?』



この場に居るものはそう思っただろう。これくらい感情をはっきりさせれば鈍い母もいい加減気付くだろう。


私に拒まれて立ち尽くす母は不敵な笑みを浮かべていた。



『まさかのスクープ!? オリナーシャ・コミノア王女はピアット王太子妃の子どもではなく王太子がメイドに産ませた子!?』



翌日、王家には相応しくないゴシップ記事が国民の間に駆け巡った。


記事には有りもしない事がまるで事実だと思わせる内容でいっぱいだった。



つまり、私が母に懐かないのは父の不義で産まれた子どもであって、母親が違うから懐かない。


けど、心優しいピアット王太子妃は上の王子達と同じ王太子の大切な血を受け継ぐから同じ我が子として育てたいと王太子の過ちと不義の子どもを受け止める器の大きさ。

今は懐かず苦戦されてるが血を超えた絆が生まれる事を信じて愛情を注ぎたい。そんな美談風に仕立てあげた記事が事実のように報道された。


その一方で、この記事は王太子である父への配慮が全くない。

だって、父は不義をしてない。これは父と私に対する誹謗中傷だ。


けど、母は自分の夫の評価が下がろうが娘の私がどういう目で見られようが全く気にせず自身のイメージだけを優先したのだ。


『実の娘から異常な程嫌われてる母親』から『他の女が産んだ血の繋がらない娘を息子達と同じ様に別け隔てなく育てたいと受け止めれる慈愛の聖女様ピアット様♡』という演出に切り替えたのだ。




恐ろしい。こんなしたたかな女が実母である事も前世では、慈愛の聖女だと崇められていた事も恐ろしい。


前世では、化けの皮がはがれていても上手く逃げ切った。


国民の疑惑や不満に答える事なく華麗にスルーし、安楽死制度を上手く利用して夫である父と同じ日に眠る様に死んだ。一切苦しむ事なく安らかに死んだのだ。


この安楽死制度にも様々な物議が飛び交った。まず我が国にはない制度と薬だったので他国から莫大な金額で購入した。その費用を税金で払った事。


そして、豪華絢爛な国葬まで執り行い、賢王と名高い祖父サヴァン陛下より大きな墓地まで作り、その費用ももちろん税金で支払った。


そして、死後自身の衣服やアクセサリーを展示した施設を税金で作ろうとしていた事。


そして、ペイシガットの秘密がバレ、長兄ヴィルトゥス陛下アンジェリカ王后陛下暗殺未遂事件が勃発。


ここに来て、ようやく国民が立ち上がったのだ。



前世でも過ちは絶対に起こさせない!!私が立ち向かう!あんな毒の塊の女の好きな様にはもうさせない!



私の名前はオリナーシャ・コミノア・クプ・カムイ・エテルネル!


この国の王女!







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