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お父様が御在宅でございました。

作者: コロン
掲載日:2022/11/30


よろしくお願いします

その日、私は買い物に行くため運転していた。

道幅は広いが交通量はさほど多くない道。

並行している歩道と車道の間には植え込みがあり、ガードレールの役割を果たしている。


その、植え込みの上に乗る、倒れた状態の自転車が見えた。


ん?

んん〜?


その自転車のすぐそばで、歩道にしゃがみ込み泣く女の子と、見るからに戸惑いながら、困りながらそばにいる若いサラリーマンがいた。




ああ…見ちゃった。

また?また何か関わるの?知らん顔で通り過ぎちゃう?

でも…見ちゃったら仕方ないよね。あれはどう見ても「助けが必要な人」だ。



私は車を停め、窓を開けて聞く。

「大丈夫ですか?」

若いサラリーマンがはっとしてこちらを向き答える

「この子、目の前で転んじゃって…」

あー、その縋るような目…わかったからやめて。

「今そちらに行きます」

私はエンジンを止めて女の子のそばに行く。

植え込みに乗る自転車を見て考える。

どんな転び方をしたんだろう…


女の子は膝を擦りむいていて血が出ていて、若いサラリーマンは、自分のハンカチでその子の血を拭いてあげていた。

優しい〜ね!

「目の前で転んじゃって、そのままに出来ずに…でも、どうしたらいいか…と…」

そうだよね。

今のご時世、人助けだって躊躇するよね。



「そこの小学校?」私が聞くと女の子はこくりと頷く。

転んで膝は打ったけど、他は痛くないと言う。


サラリーマンに言う。

「じゃあ…この後は私が引き受けます。学校に行くか、お家に行くかします。ハンカチありがとうございました。」

「いえ、ありがとうございます、よろしくお願いします」

去っていく若いサラリーマン。優しいね、ありがとう。



「さて、どうする?お家まで送る?」

「うん…」

「お家にお母さんか誰かいる?」

「お父さんがいる」

「お父さん?」

「お父さん…」


お父さんか。

お父さんが在宅で良かった


「じゃあ、自転車は後でお父さんに取りに来てもらおう。家まで送るね」


私はその子を助手席に乗せ、その子の案内で家まで車を走らせた。


……


ピンポーン。チャイムを押す。…出ない。

「お父さん、いる?」

「一回じゃ出ないから…」

そう?じゃあもう一回。ピンポーン。






「………はい」




明らかに不機嫌な低いドスの聞いた声だった。

寝てたかな?


「すみません、近所の者ですが、お宅のお嬢さんが自転車で転んで膝を擦りむいていたので」

「えっ!ちょっと待って下さい!すぐ出ます!」


バタバタと音がして、ガチャリと玄関のドアが開いた。


上半身裸で出てきたお父さん…


おおぅ…


ええっと…


見事な桜と鬼の模様の皮膚ですね…




「どおおしたのぉ〜〇〇ちゃん!大丈夫〜?」

お父さんの優しい声に安心してまた泣きだす女の子

「え〜ん!おと〜さ〜ん!」

「わぁ…っ可哀想に〜!」


お父さんの背中の神様がキリリとこちらを向く。


……


「あの…膝以外も怪我してるといけないのでよく見てあげて下さい。あと、自転車を置いてきてあるので取りに行って下さい」

「あっ!すみません!ありがとうございますっ!」



この後、名前と住むところを聞かれて、怪しくない身分を告げてその場を去った。



……

お父さんの皮膚とギャップの激しい甘い声が記憶に残った。


お父さん…娘ちゃんに優しいんだろうな…


……


翌日の夜、夫婦で菓子折りを持って来て下さいました。

病院にも行ったそうで、特に問題なかったと教えてくれました。良かった。



サラリーマンのお兄さん、ごめんね、私だけお菓子もらっちゃって。

サラリーマンに心でお礼をした。










拙い文章、最後までお読み下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
リーマン兄ちゃんの危機管理能力の高さよ…………。 彼がもし女の子を送っていったら、周囲の認識も然る事ながら、このお父さんがどんな反応を見せたのか…………。 コロンさまは女の子とリーマン兄ちゃんのふたり…
[良い点] お父さん(笑) 優しい人たちで、ほっこりしました! お父さんのインパクトすごいですが、娘さん大事にされてるのでしょうね。 とっても良いことなさったと思います。 お疲れ様でした!
[一言] 良いことされましたねえ。本当に女の子には助けになったでしょう。 女性の方だと思うのですが、男だとなかなかこの行動(車に乗せて連れていく)には出られないんですよね。今の世の中。お兄さんはそれで…
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