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死にたがりの国

作者: まくお

目覚めると知らない場所だった。ここはどこだろう…

私はリコ覚えてる。しかし天国かな?しかし周りを見渡しても天国には思えない。

「私また死ねなかったのかなぁ」

確か私は薬を大量に飲んで死のうとしたはずだ。だが死ねなかった。

「しかしここはどこだろう?病院って感じでもないし…」

私が、眠ってたところは広い畳の部屋だ。そこに布団で寝かされている。病院ぽくない。刑務所の雑居房みたいだ。

そこに人が一人で入って来た。警察のような制服を着ている。

若い女性のようだった。

「起きたか!私はここの施設長エラだ!お前にはここ、死にたがりの国の中で生活してもらう!」

「死にたがりの国?ここどこですか?何県?」

私にはこの人の言っている事が理解出来ない…

施設長はさらに言う

「お前に求める事は、とにかく死ぬな!死ななければここに居る限り面倒見てやる!話しは以上だ!」

施設長はそう言って部屋から出て行った。扉を確認してみたが、鍵がかかっている。ここからは逃げれないようだ。この刑務所みたいなところで生活なんて出来ないよ。私どうしたらいいの?





次の日、施設長とは別の人がやって来てミシンで作業するように言われた。ミシンは扱った事がないことを説明すると丁寧に教えてもらえた。このミシンをがある部屋には制服を着た教える人と刑務服のような服を着てミシンで布を織ってる人がいる。

制服を着ている人は四人ほどで、その人達は施設員と言うらしい。刑務服を着ている人は十人ちょっといる。私も刑務服に着替えるように言われた。

「うう…」

二つ前の人が手を縫うってしまった。その時施設長が現れた。

「いっそ殺して…」

その人はかすれた声でそう言った。しかし施設長は

「簡単に殺してもらえると思うなよ!」

そう言って何処かへ連れて行った。あの人はどうなるのだろうか?






作業が終わった。私は施設長にこう言われた。

「今日から他の死にたがり達といっしょに生活してもらう!

精々仲良くするんだな!」

私は他の人達と同じ部屋に連れて行かれた。人数は私を入れて五人だ。

「ワッハッハこれおもしれー」

中年くらいの歳の人三人はテレビを見て大笑いしている。

同じ年くらいの人はいないのかな?っと思っていると、一人の人の同じ年ぐらいの人が話しかけてきた。

「うち、かすみっていうの、あなたなんでここに来たの?」

「私リコって言います。死にきれなくて、いつの間にかここに連れてこられました…」

「ふーんそうなんだ、何か死にたい理由なんてあるの?あと敬語使わなくてもいいよー」

「私、精神の病気なんだ…三日に一回くらい調子悪くなるんだよ…その時死にたくなるの。調子が悪くならなかったら平気なんだけどね…」

「そうなんだ。うちも似たようなものよ。たまに気分が落ち込んで死にたくなるの」

「いっしょだね!仲良くしようよ」

その日以来かすみちゃんと仲良くなった。調子が悪い日も、励ましてくれて何とか乗り越えた。





二週間くらい経った時、かすみちゃんが

「リコ!この施設から抜け出さない?ずっとここにいるのは嫌だよ!」

と、提案してきた。しかし…

「でも施設員の監視があるよ…どうやって脱走するの?」

「作業室と部屋の間の廊下に窓があるだろ。調べてみたけど、窓は人が出れるくらい開くんだよ!そこから脱走するんだ!」

「うまく脱走出来るかなぁ?」

「ここ一階しかないし、いけるって!やってみようよ!」

話し合った結果明日、実行する事にした。





そして実行の日がきた!私達は作業室から部屋に帰る時に窓を開けて、外に出た!施設の周りには特に塀はないようだ。

「うまく逃げ出せたね!近くの家とかに匿ってもらおうよ!」

「うん!」

かすみちゃんと近くの建物を探してみるが…全然、建物がない!

「これは、どうしよう…このままじゃまた捕まちゃうよ…」

私達が途方に暮れていると…一人の中年くらい女性の人が近づいてきた。

「あなた達死にたがりの国から逃げてきたのね!」

「はい…そうです…あなたは?」

「私『夢の国』の者なの!死にたがりの国から逃げてきた人に仕事を斡旋しているの!」

「私簡単な作業しか出来ないのです…実は…」

私は自分の事を話した。しかし夢の国の人は

「大丈夫よ!あなた達は何もしなくていいの!ただ寝てるだけでいいの!」

この人なんか怪しい…その時

「死にたがりの国の住民に手を出すなよ!!!」

施設長が私達を捕まえにきた…いや助けにきてくれたのかもしれない。

「ちっ!めんどくさいやつがきた!」

夢の国の人は走って去っていった。

「施設長!ここは一体どこなんですか?」

私は施設長に疑問をぶつけた。

「おまえ達には話しておくか…」

施設長は疑問に答えてくれた。

ここは、元々日本の無人島で「死にたがりの国」の施設は、「夢の国」から死にたがりの女性を守るために作られたらしい「夢の国」はそういう女性を集めて商売している事を教えてくれた。

「おまえ達はまだ若いから死にたがりではなくなったらこの島から出してやるからな!施設に戻ってこい!!!」

私達は施設に戻る事にした。






それから半年くらいが経った。私とかすみちゃんは真面目に作業に取り組んだ。私は調子が悪くなった時もなんとか過ごせるようになり、死にたい気持ちも収まってきた。

かすみちゃんも気分が落ち込む時が少なくなってきた。かすみちゃんも死にたい気持ちはだいぶ収まってきたようだ。

そんな時だった。私達は施設長から

「おまえら調子良くなってきたようじゃないか!そろそろこの島から出してやる!!!」

と言われた。しかし…

「島から出たら私達どうすればいいのですか?私、頼れる親族もいないのです…」

「そんな事は分かっている!東京に『死にたがりの国』の支部があるから、そこへおまえ達を連れて行く!」

そうなんだ。良かった。しかし施設長はこう続けた

「この島から出るのは大変だ!『夢の国』の連中が妨害してくる!それでも出たいか!?」

私達の答えは決まっている!二人揃ってこう言った。

「「出たいです!」」

私達の言葉に施設長はニヤリと笑った。





私達は施設長と外に出る準備をしていた。施設長は日本刀を持ち出して身につけた。

「施設長、そんな物も必要なんですか?」

「ああ…『夢の国』のやつらには、暴力的なやつもいるからな一応、刀を持っていくんだ!」

施設長はさらに続ける

「いいか…やつらに何言われても無視しろよ!手を出されても逃げる事に徹しろよ!」

「はい!わかりました…」

そして私達は施設から出た!とりあえず施設の周りには人はいないようだ。

「ここからボートがあるところまで一時間くらい歩くぞ!」

「わかりました。歩きます。」

30分くらい歩くと、人が何人かやってきた!

「あなた達いいとこ行かない?」

「死にたがりの国にいるよりいいよ!」

多分「夢の国」の人達だ!私達は何も応えずに歩き続ける。

すると

「何で何も言わないの?」

私は腕を掴まれた!しかし私は振り払う。

そしてボートが見えてきた。思ってたより小さなボートだ。

しかし三人乗るには十分だ。

でもボート前には「夢の国」の人がいる。それを見た施設長は

「『夢の国』のやつら!!!邪魔をするなら叩っ斬るぞ!!!」

それを聞いた人達は去って行った。私達はボートに乗り込んだ。

「おまえらちゃんと掴まっていろよ!」

いよいよこの島ともお別れだ。





何時間船に乗っていただろうか。ついに東京に着いた。

そこには「死にたがりの国」の人が待っていた。

「エラちゃん頑張ったね!」

施設長はそう言われて照れていた。施設長も照れたりするんだ!

そして私達はこれからどうなるのか説明された。自立出来るようになるまでは面倒を見てくれるみたいだ。

「じゃ私は島に戻る!」

施設長は戻るみたいだ。ちゃんとお礼言わないと!

「「施設長今までありがとうございました!」」

私達は二人そろってお礼を言った。施設長は少し嬉しそうに

「おまえら死なない程度に生きろよ!」

と優しい口調で言ってくれた。私達は

「「はい!」」

と返した。死なない程度に生きてればいいんだ!


この物語はフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。

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