第三話...今、思い返せば良い思い出
風邪ひいてゲロ吐きい気分、昔みたいに茶番書けない
気が付くと、カーテンから日が差して眩しい。垂れた長髪を上に掻き上げて、布団を退けるとそこには隷歌の姿は無かった。この家から逃げられないことはないのは確信しているで、一階のリビングに向かう。
リビングには皆が料理を食べ、黒兎は仕事をしながら食パンを口に運んでいる。捜月と隷歌だけは何故かリビングにはいなかった。
「捜月と隷歌は?」
「隷歌ちゃんと捜にぃなら外で麻薬が入った袋を中庭に持っていった」
「高校生で麻薬かよ、犯罪にはならないからって」
「顕微鏡?的なヤツで調べたり、血で濡らしたりしてるよ」
「なんじゃそら」
「そうそう、今日の試合のルールブック的な奴はないのか?」
「あるよ、これなんだけど」
薄いパンフレット的なヤツを貰い、椅子に座り自分の朝ごはんのシュガートーストを口に入れながらパンフレットをめくる。
試合は一対一の決闘。デスマッチやルールは階級が高い護衛や執事、助っ人などの戦闘する者達がルールを設定する。
決められない場合は階級が高い主本人に決定権が存在し、戦場は校内全域。ABCDE棟が行動できる範囲であり、観戦場の校庭での戦闘はルールに従い、行動範囲に含める事が可能である。
トーナメント戦で優勝したチームには、他チームからメンバー1人を勧誘できる権利を与える。
「マジで言ってんの?あと......階級って何だよ!?」
「学校側に寄付しているお金で決められるよ」
「......歌檎の階級は?」
「私は寄付とかしてないよ。捜にぃに通わして貰ってるからね、でも捜にぃは寄付とかする性格じゃないし......でも軍人にも勝てるでしょ?捜にぃと黒にぃなら。でも9割が執事とかボーディーガードだよ」
「大量に人が死ぬのは覚悟していた方が良いな......これ」
「ん?」
時間は過ぎ、試合の時間の午後16時30分。俺達は歌檎が通うお嬢様学校の校庭に集まっていた。校庭は広く、小学校が十個はスッポリ入りそうな程広くて余った敷地に屋台などが並んでいる。
こんな無駄に敷地を使うなら、老人ホームとか保育園建てたら良いのに。そう思って口に出すと、ネットの誹謗中傷が怖いから発言しないけど、思う位は良いよな?
「さてと、隷歌に面白いデュエルを見せなきゃな」
「私達も応援してるよ捜月さん!」
「捜月頑張って!」
「お前大将じゃねえの!?」
おいおいお前が一番手とか、殺る気満々じゃねえか!広範囲な技とか使わないで欲しい。
いや、此奴も世界が誇る超天才、瞬殺してクールな姿を見せてくれるはずだ。
......多分、恐らく。
「俺達が戦うのは何回戦だ?」
「捜にぃ?私達はデモンストレーションみたいな感じで、私への嫌がらせでエリさんが選んだの」
「なるほど......」
「あら、学校に寄付金も出せない貧乏人の歌檎さんじゃないですか?そちらの趣味の悪い猫耳フードのお方は貴方の助っ人さん?」
突然話し掛けて来た金髪ショートのドレス姿の女性。護衛を二人連れ、扇子で自身の長い髪を扇ぎながなら登場は漫画やアニメでは良くあるパターン。
捜月のフード姿を馬鹿にするとは、家に居る時の年中パジャマ姿野郎にもっと言ってやってください本気で。言う奴何て極々少数派何です。
「顔をフードで隠すなんて、顔に自身が無いのかしらね。その人達を雇った金はどうしました?借金したんですか?それとも身体で払うんです?」
「お前このフードが分からないとは、目玉抉り出して洗って上げましょうか?今寄り綺麗な景色は見えると思うぞ?」
「下品な人......」
「ははっ!下品とな?ちょっとどこら辺が下品か聴いてあげようじゃないか。まさか一般ピーポーの私めの口から出た言葉が下品とか仰たのですか?ちょっとお聞かせ貰いたいですね。まぁ、貧相にかける身体と脳味噌等で直ぐにR18を想像するのは仕方ない事などでね、凄く優しい僕は許してあげますよ。優しいから」
無駄に早口で喋る捜月を見て、小さな隷歌は何と思うのか。論争する時は早口で喋ってずっと俺のターン!!の連中のうっとしさを加え、相手の芯を抉るのは最悪な人間だと思う。やっぱり、モテるのは顔か。
体を恥ずかしそうに手で隠すエリ、それを見下す捜月。この短期間で少し分かった気がする。捜月の方がクズ度が高いわ。
「セクハラ発言だよ、捜月」
「セクハラとはレディに対してのモノだよ黒兎君」
「なっ!」
「おっと、初歩的な事で自慢げに話してしまった。気をつけなければね」
「将来後ろから刺されるよ捜くん」
「刺せないね、必ずと言っても良い」
エリが一度咳払いし、暑くなって火照った顔をハンカチで拭く。遠くの空を向いて何やらボソボソと話してから深呼吸、俺達の方へと振り返り
「ルールは階級が高い私達が決めるわ、良いわよね?」
「どうぞ、これ勝ったら大切なモノを奪ってのはどう?」
「人の話し聞いてた!?貴方も人間なら日本語話しなさいよね!」
「日本語でしょうどう聞いても、ねぇ?」
「キャチボールの話しよ!」
「比喩表現は可能。個人的にはキャッチボールではなく、ドッチボールが好ましいですね」
客観的に見たら凄い光景だな。フードで顔が見えない男が眉間を指で指し、令嬢を煽り散らす。
ヒヤヒヤしながら見てる此方の身にもなれよ、半分人間野郎。人じゃない奴に、そもそも人の心を求めている俺がおかしいのか?
「ルールは私達は殺し有り、貴方達は殺しは無しで行ってもらうわ。私達は此処含めた全てのエリアを行動範囲とし、貴方達は開始直後の位置から一歩も移動してはならない。これがルールよ!」
「顔面ボコボコにして、生爪とか歯とか目玉とか、御前の目の前で剥ぎ取って四肢を全て引きちぎっても失格には成らないよな?殺してないから。ここまではルール上問題ないよな?あと今のルールだと客席にも攻撃も可能だが?そして観客席の御前自身への攻撃と相手自身が自害した場合は?流れ弾で死者が出た場合は俺は失格になるのかな?」
「あっ、えっ......と......」
「引いんじゃねぇか!」
ルールはその後、公平にデスマッチに決定した。捜月だけはルール上一歩も移動しては成らないを適用し、校庭にも行動範囲が広がった結果に成った。
これらのルールを考えたのは朝乃と七の二人。コレから俺達の闘いは......始まる。