第二章第八話...獄炎の龍王
獄炎の龍王、これは正に、厨二病の極意の名とも言えようぞ。
「幽霊粒子......地獄の炎!!」
赤い炎が地盤ごと吹き飛ばし、地面にクレーターを空けて見せる。前髪の中にある赤髪、これ程の火力を出せるのは僕が知ってる中で二人。
一人は桜満霊夏さんと熾焔紅爐の二人、この二人の炎は赤いが、天の炎と地の炎で色が違う。太陽の爆炎を使用できる霊夏さんの炎は明るい赤、地獄の炎を使用できる紅爐は深い赤。空けたのは深い赤、と言う事は
「紅爐か!?」
「元々俺を誘っておけば良かった」
炎を翼を生やした紅爐が空中を飛行し、ゆっくりと降りてくる。顔は膨れっ面、相当置いて行かれたのが嫌だったのだろう。
炎の羽、僕も真似使用かな。
軍服にも似た鬼城戦旗の制服をた靡かせ、一人一人のコードネーム同様に決められた色の赤色が目立ち、風圧に寄りバタバタと音を立てている。
この制服は鬼城戦旗として表立って戦う場合に身に着け、普段は身に付ける事は躊躇われる。
炎の龍の羽根にも似た翼が火花を散らし、羽ばたくと周囲に焼けるように熱い熱風を撒き散らす。
「どうやって来れたの?」
「幽霊粒子、身体を粒子にして移動できる。東京からすっ飛んできた」
「助かったよ」
「高校も受験しないし、玄人もだけど。なんで鬼城戦旗辞めるんだよ、まぁ理由は後で聞く」
「助かるよ」
「お前はあのガキ共を街から出してやれ、熱気で殺してしまう。吹き飛ばした程度で障壁を破壊する事しか出来なかった。加減って難し」
「分かってる、あの軍勢に勝てるの?いや、君は得意か」
「まぁ、早く行けよ」
蒼焔達が去るのを待つまで、炎を使わずに化け物達と戦闘する。俺をスルーし、氷壁を登ろうとする人間の頭蓋骨を掴み、指を食い込まして行く。
グチャリ!!と脳味噌が潰れる音が聞こえ、頭蓋骨を砕いた為か脳味噌が頭から垂れ始める。指から脳味噌と脳汁を振るい落とし、人間と化け物に向かって歩み寄って行く。
「無能共が雁首揃えて、無駄だって理解していない様だな」
人間頬を掴み、顎に勢い良く掌を当ててグルリと首を回してはずす。弾丸を回避しながら、化け物の背後に移動。肘で頭に穴を空け、引き抜いてから近くにいるの元へと地面を蹴って目の前まで即座に移動、直後に人間の首を指で斬り落とす。
人間じゃない身体だからこそ出来る、脳筋戦法。今更だが、人間を殺しても何も感じ無くなってきたな。これが人の心を無くした者の正常な思考なのか、それとも俺が元々何も感じない残酷なヤツなのか。
蒼焔が鬼城戦旗を辞めるのも、何となく理解出来てる。現在時刻午前7:24分、来るのが少し遅れたな。
「肉体戦闘なら、お前は彼奴寄り強いな。第十五戦旗、赤色の簒奪者」
「赫兵器で火力は負けるが、能力が十五個保有している俺の方が強い」
「馬鹿な......」
「お前、喋れるのか」
「喋るから何だと言うんだ」
「萎えるから、泣きじゃくりながら死んでくれるか?」
「消え......た?」
ゆっくりと化け物と人間二人の間に歩み寄って、手刀で二匹の首を切断。首から噴水の如く撒き散る血が周囲と俺の体を赤く染めると、化け物と人間はハッとした顔をして俺に訳も分からず襲い掛かる。
指先から炎の糸を生成、十本の炎糸で周囲の人間を五等分にし、化け物は人差し指の炎糸で首から上を斬り離す。
「コレが五等分の〇嫁って奴か?!」
「巫山戯た真似を!」
「まだか、殺し方も思い付かなくなって来たぞ」
「進め!殺せ!我々には神が付いてる!!」
「神......か、憑李の決台詞を借りるなら。祈れ、お前達に神がいるなら」
相手のナイフをステップで回避しながら距離を詰め、手首を掴んで止め、脚を胸部に固定して無理矢理引きちぎる。血の匂いが甘く、人間の様に鉄臭い訳ではないが、吐きそう。
人間の手首は握れるが、化け物の手首は太すぎて掴めないし、片手で持てないのがダメなんだよなぁ。
「うわぁああああああ!」
「剣ゲット!良いもん拾ったぜ」
「とんだゲス野郎じゃないか、鬼城戦旗!」
「へぇ......お前も羨ましいのか!」
腕を剣の様に振るい、人間の頭を砕き飛ばす。剣(腕)は頭を潰すと壊れ、肉の部分が飛びって骨が露出し、二振り目には骨が地面を滑る。化け物をデコピンで飛ばそうと放つも予想とは違い、頭を抉ってしまう。
「頑張れ頑張れ、神が泣くぞ?」
「悪魔が!」
「まぁ、似たようなもんだな」
人間達数人が発砲、弾丸は回避か炎を放出して溶かす。地面を蹴ってすれ違う一瞬に化け物の左半顔を抉りつつ、移動した先で化け物二体の顔面を掴み上げ、能力を発動する。
「変形しろ」
頭が膨れ上がり、脳と脳汁を撒き散らし爆破。幽霊粒子でまたまた移動して、炎を周囲に浴びせて殺す。
時計を確認し、周囲の化け物の数を予測する。
「そろそろ、か。数は......全然減ってないな」
「な、何がだ」
「"跪け!"......生き地獄の味を噛み締めろ!」
俺の一言で周囲の生物が跪き、皆が皆の表情が苦痛に染まっている。一番嫌だった瞬間が無限に続く、無い場合は無限の殺し方で殺され続ける。
俺の支配を受けている状態に安らぎ何て味わえない、生き地獄、そう表現できる世界で自分が過ごして来た人生寄り、遥かに長い時間を過ごす事になる。慣れてきたら、存在しない記憶を植え付け、心の内側から壊して行く。
この概念能力は制御できず、唯一俺が制御出来たのは、支配と言う単語の発動条件を跪けやら従え何て台詞で発動できる様になった事だけだ。
「ふぅ......ヤッパリ植え付けらた能力は、馴染まないな。そして、半端なく疲れる」
施設前まで移動、ドアは炎をぶつけて派手に破壊。階段を降りると、近未来的な白い通路が存在していた。
何やら、変な所に来ちまったな。
「やる事は一つ、殺す事だ」
掌を地面に向けると、大きなサイレンが通路内に響く。無機質の声で告げられる時刻、午前7:28分。そして「エネルギーの放出準備が完了、残り一分で開始するので避難して下さい」
......月の位置が変わるのは絶対に止めなければ、重力やら暴風やら厄介な事が増える。
天井を炎で破壊し跳躍、目の前にはとどう見てもレザーが放てそうな大砲の様な物。炎で破壊を試みるが、防壁で届かない。
能力で破壊しようと防壁を触れようとするも、バチンっと稲妻に弾かれ、触れる事が出来ない。
「もう駄目かも知らんね」
方法は二つ、光の様に速いモノなら詰み、極太レーザーなら幽霊粒子で弾道に移動して、最高火力をぶつけて相殺するのが一番。この作戦の欠点は分からない事、そして俺の身体がワンチャン......グチャグチャに吹き飛ぶ可能性。
二つ目、矛盾分身で分身してから防壁を破壊。前者にも使用可能だが、体力は温存しとかないとな。
......前者かな〜やっぱ。ふざけるのも最後かも、な。彼奴に会えるのか、俺が殺した奴らに。いや、これ終わったら渋谷の百足を殲滅しなくちゃな。
目を閉じ、一分を数える。放出音と共に目を開け、レーザーを確認。とる行動は前者、幽霊粒子で弾道に移動。
掌に力を集中、そして放つ。
「はぁぁああ!烱焉・焜爛!!」
炎とレーザーが重なり、轟音が鼓膜を揺らした瞬間、俺の意識は途切れた。朦朧とする意識の中、麗衣炙の事や仲間の事を思い出す。楽しかった記憶や辛かった記憶達、人間の中の致命傷。
肉がゆっくりと編まれて行くのを見て、まだ死ねない事を悟る。この地獄で、この蠱毒の中で俺達は、生者は死者に意味を産まなければならない。
「ぅぅ......」
青空を見ると、何時も思う。自分は何て、小さいんだろうと。感情一つコントロールも出来ない、異能の強さが秀でてるだけだ。
子供達はどう......なった?無事か。奴らに、何か埋め込まれてなければいいが。
まずい、ストックが切れそうだぞ!ガッツ星人のような分身能力を手に入れなければ。
「ぐぬぬぬ、書けぬ......」(誘)
「この巫山戯た茶番みたいに書けば?」(紅)
「いや、書いてるやつ、戦闘シーンだから......」(誘)
「じゃあねぇなあ。書かないと殺す!」(紅)
「あっ......頑張ります」(誘)