第十五話...黒き刺客
皆を能力で創った結晶の人形に護衛を命じ、先程僕の頭を飛ばそうとしたスナイパーの元へと向かう。
___捜月が自爆をしないのは衣明達を護る為と、零人との合わせ技に使用するからだろうね。
下の階でも戦闘が起きてる、英時さん達か。
赤いジュータンを進むとウィンチェスターライフルを抱えた水色の髪を持つ、髪の長い少女。威圧的に舌を出し、溜め息を零す。
「流石だな、黒砂糖」
「テロリストに褒められても嬉しくないな」
「俺が褒めるのは数少ない、勿体ないな」
「そうかな?あの程度で褒める何て、ビッチ的な感じ何じゃない?アレなら仲間の全員が防ぎきる事が出来てしまう」
「そろそろ、鬼を狩るか」
「狩って見てよ。ミル=シャーシス」
背後から缶を二つ、指に挟んで中に投げるのを視認するとホルスターからデザートイーグルを取り出し、銃口を向ける。
同時に星の文様がデザインされた缶は宙で弾け、エネルギーと成って僕の方へと向かい来る。
「そんなチンケな武器で俺の能力とタイマン張れると思うなよ!」
「僕に、程度が知れる4初級魔術を使われてもね。程度が知れるんだよ!」
桜満黒兎の能力の創造主の力は紅井捜月の能力と一見酷似するが、両者は全く別物の能力と捉えている。でも、本質は似たり寄ったりだ。
捜月の緋色の自傷血漿は血液を媒体とし、ナニカを創る能力なのに関して、桜満黒兎のクリエートは自身の能力で生み出す武器、クリエーターと言う大剣を媒体、使用時にのみ現象として万象を生み出す事が出来る。
例えば捜月が人間を武器にする場合、自身の血液を《他人の体を自身の血に変える血液》を創る。次に相手の体に付着させ、武器に変化に変化させる。この肯定を黒兎はクリエーターで他者に触れるだけで相手の身体を武器に出来る。
三工程掛かるのを黒兎は二工程で済ませられるのと、コレは相手の《心》に関している場合、相手の能力を使用し、ストックが可能な点がある。
息を吸い込み、使用する能力を選んで重い口を開ける。
「_"動"_"く"_"な"_!!」
迸る世界からの命令。舌に浮かび上がる悪魔の文様から強烈な衝撃波が発生し、宙を飛行するエネルギーがその場で完全に停止、同時に黒兎の拳が右顎と左腹部に命中。
ゲロ吐き数歩下がるミル=シャーシスに対して、黒兎の舌から悪魔の文様が崩れ落ち、手に青いオーラが纏い付く。
二中級魔術で拳を覆ったけど、タフいね。 クリエーターを使うしかないかな?ストックしている能力で倒し切りたい。
ボタボタと口から血を垂れ流すミル=シャーシスは自身の口を拭い、ナイフを二本構える。
「直に叩くつもりか?」
「違う!」
黒兎の能力でストックした能力は一度しか使用出来ない。これは能力にある制約の一つであるが、能力を無制限に使用可能な方法はある、けれどクリエーターを出さなければならない。
ここまで渋るのは能力を使用すると精神の疲労が多いからだ。ミル=シャーシス達も七家の能力に無計画で戦闘しようとした訳では無く、確実に殺せると踏み、ちゃんとした対策しながらこの戦いに参加した。
黒兎の能力は周囲の状況を把握しなければならず、船内の見渡しの悪い通路。この状況で大剣を振り回さば、無関係の人間に当たる可能性がある。
左足を踏み込み、投擲されるナイフを弾き落とそうとし、デザートイーグルを発砲する。
本来ならぶつかり合い、壁へと軌道を変えるナイフだったが、ナイフは突如加速し、弾丸を切り裂て黒兎の頬を深く切り裂く。
現状把握に遅れ、頬に伝う鮮血を拭って歩を進める。
「ははっ......驚いたな」
「さあって!見せよう魅せよう!!魔法の領域の壁を打ち破る、加速する世界の壁を!!!」
「まさかっ?!」
「異能結界・加速する神の舞台!!」
「迷っている場合じゃない!来い、クリエーター!!」
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「決着、俺の能力を悟り、それでも俺の前に立つその覚悟。異常者だな」
「何とでも言え」
零人の瞳のハイライトの光は、先程までの光の《輝き》ではなく《燃える》熱へと硝華し恐怖心を煽り、半壊した壁から見える奴の背後にブールムーンが合わさり鳥肌が立って足を震わせる。
青い熱の炎は俺の眼には、涙の後に見え、青の瞳の中からまるでウユニ塩湖にも似た景色が映し出された美しい瞳が、眼球の目も眩む眼球の光の輝きは蒼炎に火花を散らせながら激しく燃え上がる。
ナイフを地面に突き立て、足でナイフの持ち手を踏むと電子コードの様なエネルギーが部屋を瞬き寄り速く包み込むと異能結界を発動する際に見える記憶の残照は俺の心に後味の悪いモノを刻み付けた。
「何で、何で俺が生き残ったら怒られるの!?指を刺されて、俺が死ねば良かった何て言われなきゃならないだよ!」
「何だよ、勝っても負けても結局何も変わらないのかよ!可笑しい可笑しい可笑しい!」
「殺されたくない、幸せになりたいのに......なのに、なん......で、何で、殺されかけるの......」
世界が変わる瞬間、青い薔薇が視界を覆い、目を開けるとビルが四方八方から連なり、何か小さな白い粒が向かい風に寄って飛ばされている。
薄暗い空間の先には小さな光が輝き、その光に奴は手を伸ばして何かを掴み取る。
握られたモノからは青い花弁が風に舞、小さな光に向かって行く。
「俺は、膝を抱えて諦めるのは辞めたんだ。あの人たちは英雄じゃない、悪役だった。でも、俺の中じゃ英雄だ。俺は昔に約束した誓いを果たす為、俺の囁かな小さな願いの為に、俺は人殺しになる!」
人の夢を背負って闘い、歓声に包まれるのが競馬。人の夢を背負って戦い、自身の罵倒を背負うのが七家。この言葉は小学生が一番最初に読む桃太郎と同じ位、有名な絵本の最後に出てくる言葉。
この言葉を昔から聞くから七家を信じる者がいるのだろう。でも、こいつは何だ?鬼か、悪魔か、それとも邪神か?人間じゃない、まるで火を噴く別の生き物の見たいだ。
「心に宿りし青い鬼神」
無数にビルが乱雑する結界内。縦横斜め、無数の角度に伸びるビルに寂れた鎖が巻かれ、高層ビル群の先には何も見えないが、俺たちの空には青い地球が存在している。
ビルに落ちるまで常に対空、ノックバックには注意。
だが、あの地球は何だ?異能は心の鏡、だから異能で作られた空間は術者の心象風景のはず。
「「我のは、貴様らと違い、過ぎたものでは無い。ヒーローと言う物」」
異能の到達点の一つ、それは魔術を司る悪魔達が扱う奥義である。灰神零人の能力の基本は"吸収"であり、この心に宿りし青い鬼神では"吸収"の"延長線"を使用出来る様に成っている。
だが"延長線"を駆使した場合は"桜満黒兎"や"紅井捜月"の2人に対して、本気の殺し合いの場合は灰神零人の心に宿りし青い鬼神が性能では上回り、結界同士の押し合いでは、ありとあらゆる結界術や権能にも心に宿りし青い鬼神は決して負けず、絶対無明と言われ、異能に対して絶対的な効果を発揮する。
この異能結界の習得時期は施設内、自身の「ただ瞬きの光に近ずきたい」と言う思いから自身の異能の完全に把握し、自身の思いの「ただ瞬きの光に近ずきたい」と言う思いが、思い上がった願いだとし、自身の思念がビルへと置き換わり、ヒーローの夢が自身と"あの子"の"運命"を楔付け、無意味な死が告げられる事を表すのがビルとビルを繋ぐ鎖である。
ビルとビルが鎖に巻かれているのは本来の零人の異能結界ではなく、様々な原因があっての心に宿りし青い鬼神であり、本来の異能結界は消滅し、残り二つの異能結界が使用可能となる。
これら十三つは零人の様々な"呪力"_"神聖"_"魔力"_"霊力"_"???"_"邪名_"概念"_天機力_"旗悪人力"_"番妖精力"_"空想式器"_"命"に宿っている。
この異能結界の数は世界が記述する"異能の書"の異能結界を多く持つ物として異能保有権数破棄物として記され、書き殴られた異例物。
「また、この世界」
「またとか言うなよ。俺の中でバランス型で、使い勝手が良いんだぜ?使用する力が一番低いから使ってるんだけど」
「へぇ?コレで、俺に勝つつもりかよ!異能結界・堕ちた英心」
「この心に宿りし青い鬼神は対異能に関して、最強の防御力を誇り、結界術の押し合いで負ける事はこの世界の裏側、妖精達の世界ですら届き得ず、宇宙の構築さへ吸収できる」
本来ならぶつかり合い、世界ルールで制約された押し合いを省き、俺の能力の"吸収"が先を行き、本来ぶつかり合うと言うルールが後者となって"吸収"が先を取り、異能結界でさへ受け入れ"吸収"する。
この心に宿りし青い鬼神の"延長線"で一度使用した能力は遠くなければ自身の領域外でも使用可能で、ぶっちゃけ脳の信号のエネルギーを"吸収"することで領域内の生き物全ての思考を停止させ、無限のエネルギーで脳を焼き切ることが出来てしまう。
これら全て"灰神零人"は理解しておらず、完全把握しているのは"吸収"のみであり、"異能結界"全ての能力把握は本来不可能に近い。
「な、何故......」
「さぁ?俺は知らん。コレで終わり......だ」
観測者が書き殴ったのは、世界の情報を明確に書き記す必要があるから何ですねぇ。
「は?何でこんなに多いいんだ!ぶち殺して、観測不可能にしてやる!」(観)
「いや、抑止力に殺されると思うけど...」(サ)