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転生支援株式会社!  作者: 黒梨恵夢
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第25話 平穏

僕はいつも、ピピッという電子音で目が覚める。

ベッドの横のナイトテーブルに置いてあるデジタル時計は6時を表示している。

起きるのは決まってこの時間だ。

家を出るのは七時半、それまでに洗濯物を干したりと家事をすませなければならない。


両親は二人とも他界して、今は妹のロナと二人で

暮らしている。二人で暮らすにしてはかなり

広いが、両親が残してくれたものなのでそのまま

暮らしている。

天使にしては短い一生だったけれど、僕達を育てるために沢山のことをしてくれた。


そんな両親から、兄だった僕は家事のやり方を教えてもらった。一応ロナも教えて貰っていたが、お皿洗いしか得意と言えるものが無かったのでそれ以外を僕がやっている。


まずは朝食。

二人ともパン派なので、耳を切った食パンを

トースターにセットする。その間に卵をフライパンで炒めスクランブルエッグにする。

少し冷ましてからケチャップを少々かけ

焼きあがった食パンに挟みたまごサンドのように

する。

それらをテーブルに並べた所でロナが起きてくる。


「おはようお兄ちゃん」


「おはようロナ。朝ごはんできてるから顔を洗っておいで」


「うん」と言って、脱衣所にある洗面器へと向かう。同じく脱衣所にある洗濯機を回すために、電気ケトルをセットしてからついて行く。


「いつもありがとう、ごめんね私がちょっとでも

手伝えれば良いんだけど」


「良いんだよ、ロナがいてくれるだけで元気が出るからね」


こんな他愛もない会話をして過ごす朝はなんの変化もない平凡なものだが、それが落ち着きを与えてくれる。


「あ、そうだ。最近朝に余裕がでてきたから

お弁当を作ろうと思うんだけど」


今までは早起きして家事をする生活に慣れずに弁当を作る余裕が無く、昼食は食堂の定食を買っていたが、そろそろ慣れてきたので食費を浮かせるためにも作ろうと思ったのだ。


「お昼もお兄ちゃんの料理を食べれるのは嬉しいけど、本当に大丈夫なの?」


「うん、朝ごはんのついでにおかずを作れば余裕さ!」


「そうなんだ。じゃあお願いします」


「うん。さて、朝ごはんを食べようか」


リビングに戻りケトルで沸かしておいたお湯で

インスタントスープを入れる。

それを机に運び、ロナと対面の席に座る。


「「いただきます」」


朝食を終えてからはまた少しバタバタするので

この時間にテレビのニュースを見る。

見るのは地上界の番組だ。


「お兄ちゃん、今日地上行く日だっけ?」


「あぁ、最近追加で点検の申請が来たからね」


話しているとテレビは天気予報を伝えていた。


「お、良かった。晴れるみたいだ」


「地上は寒さが増してるらしいから、暖かい格好していってね」


「ありがとう、そうするよ」


少しして朝食を食べ終えたら、回しておいた洗濯機から洗濯物を取りだしベランダに干す。

透明な屋根付きなので急な雨でも取り込む必要が

なく、重宝している。


それを終えたら出社のための準備をする。

着替えを済まし荷物の確認を終えたら、ロナの部屋へ行く。ノックして開けると、ロナもあと少しで

準備が終わるといった感じのところだった。


「お待たせお兄ちゃん」


「大丈夫だよ。行こうか」


家から会社までは電車で30分程だ。

車窓も変わることなく、今日も右から左へと流れていく。ロナをかばいながら今日も満員電車に揺られ、降りる頃には服のシワがところどころ目立つ。


「おはよう、みんな!」


今日も元気に挨拶をする。これをやるとやる気が

出て、一日頑張れる気がするからだ。


「あ、オルデさんおはようございます。ロナちゃんもおはよう」


「いい加減、ちゃん付けやめてください」


ロナはいつも僕といるせいか、部署内では子供扱いされている。本人は嫌がっているが

部署内ではすっかり定着してしまっている。


始業時間になるとゲートを開いて地上界に向け

出発しビルの屋上に降り立つ。

今日のような晴れた日は、作業は楽だが人目に付きやすいので気づかれないように飛ぶのが大変だ。

天使君達と来た時に使った、人に気づかれなくなる付与魔法は、一部不備があったとかで使用中止になっている。


ビルからは歩いて点検をする建物へ向かう。

都会は高層建築物が多いので、それだけ点検箇所も多い。建物の管理人には架空の整備会社を名乗って入れてもらう。

エレベーターで行けるところまで上り、その先は

階段で屋上まで行く。

この時に屋上への行きやすさも把握し、どのくらいの頻度で屋上が使われているかを確認する。


屋上に出て点検することは、人の身長よりも高い

フェンスが設置されているか、柵の場合は老朽化が

進んでいないかだ。特に柵の場合老朽化が進むと

ちょっとした事で崩壊するので、大事故に繋がる

ことがある。


(よし!ここはこのくらいでいいかな)


全ての箇所の点検を終え、建物を後にする。


次の点検をするため街中を歩いていると

路地裏に入っていく怪しい男がいた。

普通の人なら気にも留めないだろうけど

僕にとっては、そうはいかない。

なぜならそいつから悪魔のオーラが出ていたから。


(最近、活動が激しすぎる。奴ら一体何を考えてるんだ)


そんなことを思いながら、僕は路地裏に入る。

そこではさっき見かけた悪魔ともう1体の悪魔とがなにやら話し合いをしていた。


「次はどいつと契約をしに行くのだ?」


そう言ってなにやらファイルをペラペラとめくっている。


(あそこに契約候補の人間の資料が載っているのか?)


「しかし、本当にこんな多くの魂を一度に奪って

しまっていいのか?上からの命令じゃそういう行為は控えろって」


「馬鹿野郎、魂がなきゃ俺らが死んじまうんだぞ。それに俺ら"レジスタンス"のトップは、誰も姿を

見たことがないって言うじゃねぇか。そんなやつの命令を聞けるかよ」


悪魔は人間の願いを叶える代わりに魂を奪い糧にする。もしあのファイルが予想通りのものなら、多くの人間の魂が短期間で奪われてしまう。それだけは防がなくてはならない。

気づけば僕は奴らの前に出ていた。

そしていつものスイッチが入る。


「なぁ悪魔達よ、そのトップとやらの命令は聞いといた方がいいぞ。そうすれば今は見逃してやる」


「なんだお前は!」


「俺たちを悪魔だと識別できるということは、天界の者か!」


悪魔たちは僕の登場に一瞬驚くが、すぐに戦闘態勢を取る。2対1では不利なので、さらに狭い路地へと逃げ込む。すると1体がこちらの意図も考えずに

突っ込んできた。

それを確認し、身を翻して悪魔を迎え撃つ。

臆することなく突っ込んできたので

その勢いを利用することにした。


「くたばれぇ」


そう言って悪魔は大きく振りかぶって殴りかかってくる。


「くたばるのはお前だよ」


悪魔が腕を振り下ろす前に懐に入り、顎に一突き。大した力は入れていないが悪魔が全力で走ってきたので、その分衝撃は大きくなりダメージも増える。直後、悪魔は地面で口から血を出して倒れていた。


「まだ生きているとは、悪魔のくせに運がいいんだな」


そう言ってトドメを刺そうとした瞬間、背後から

気配を感じ回避行動をとる。が、反応が少し遅かったのか左腕に僅かな痛みが走る。


どうやらもう一体の方の悪魔が背後から攻撃して

きたらしい。


「雑魚だと思っていたが、なかなかやるじゃないか」


「うるさい!俺の仲間をこんなにしやがって・・・・。今日は引くが、いずれ復讐してやる」


「引かせると思うか?」


もう一体の方に攻撃を仕掛けようとするが

先に倒した方の悪魔を連れて、テレポートで逃げられてしまった。


(1度天界に帰るか)


傷の手当をしなければと思い、近くの高層ビルから空へと飛び立ち、ゲートを開いて天界へ戻る。

ーーーーーーーーー

部署内が何やら騒がしかった。


「オルデさん!」


普段ならここにいない者の声に驚き声のした方へ

振り返る。

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