第21話 地上整備部、再び!
2日後、アメリたちが地上整備部のヘルプに入る日になった。
前回同様アメリは営業部ではなく地上整備部に直接
出勤した。そこではオルデとロナが談笑しており
ファインも既に出勤していた。
「オルデさん、ロナちゃんお久しぶりです」
「久しぶりだね、天使君!」
「お久しぶりです」
オルデは元気ハツラツに返事をし、ロナは控えめな
返事をした。
「元気にしていたかい?」
「はい、セニア先輩やファインちゃんと楽しくやっています」
「うん、それはいい事だ!」
そう言ってオルデは力強く首を縦に降る。
「しかしすまないね、急なお願いをしてしまって」
「いえ、私今昇格試験の勉強をしているので、他の部署に関われて良かったです」
「おぉ、あれを受けるのか。僕もあの時だけは辛いと思ったよ。だからこそ受かった時はとても嬉しかった。天使君も頑張ってな!」
アメリの肩を優しく叩き応援する。
するとファインがオルデにとある質問をする。
「ところで、どうして人手が足りてないんですか?
風邪が流行っているのかと思ったけどそうでも無いようですし」
その質問にオルデは、苦笑いで少し困った顔をするが、何かを決心し口を開く。
「実はうちの部の職員がいっせいに有給休暇を取ってね。その理由がちょっと・・・・」
「どんな理由なんですか?」
再度ファインが質問する。オルデもまた、渋い顔を
したが教えてくれた。
「新発売のスマホを買う列に並ぶためなんだ。何とか出社してくれないか頼んだんだけど、乗るしかないですよこのビッグウェーブに、とかなんとか言ってみんな有給取っちゃったんだ。うちの部、機械好きがやけに多くてね」
想定外の答えに2人は「あぁ・・・・」としか反応できなかった。
微妙な空気を変えるためにオルデが仕事の話に話題を変える。
「今日は他部署研修の時と同じことをする予定だから、気楽に行こう!」
「はい」
「分かりました」
2人が返事をすると「そうそう・・・・」と何かを思い出したような仕草を見せる。
「それと最近やっと製造部の方に魔法を付与してもらえてね、この魔法があるから今回は地上界の空を飛んでいても気づかれることは無いよ」
「凄いですね」
「地上界飛ぶの楽しみだな〜」
やがて始業時間になり、オルデが地上界へのゲートを開く。3人はゲートに入り、高層ビルの屋上に降り立った。
ーーーーーーーーーーーーー
「この地域は少し寒いですね」
ファインが作業の合間に手と手を擦り合わせながら言う。
「ここは日本の、東北地方と呼ばれる地域だよ。
今年は寒くなるのが少し早いようだね」
オルデが簡単に説明してくれる。
それを聞いて辺りを見渡すと確かに緑の葉は少なく
黄色の葉が多かった。
中には紅葉のような葉も見える。
「さて、そろそろ作業は終わったかな?」
オルデが2人に確認する。
2人ともあと少しで終わるという所だったので、その
旨を伝えた。オルデの手伝いも入り、そこでの作業はその後五分ほどで終わった。
次の場所へ移動するために飛行している途中
ファインが何かをみつけた。
「天使ちゃん見てみてあそこの山!紅葉が綺麗だよ」
ファインの指さす方を見ると、山の斜面が赤一色で
染められていた。
「綺麗だね」
「本当だ、とても綺麗だね」
しばらくその風景を見ていると、ファインが
ニヤリと笑った。そして自慢げな顔で
「天使ちゃん、今度紅葉見に行こうよう」
「面白い!いいダジャレだね、ファイン君!」
オルデがいち早く反応する。
その後アメリがダジャレの話題が出たことをきっかけに
「ファインちゃん、実は私クイズ考えてきたんだけど挑戦する?」
と、ファインを少し挑発するように言う。
「もちろん。出す側では勝てないかもしれないけど
解く側でなら勝ってみせるよ!」
アメリの挑戦に乗ったのを確認した後、オルデにも
勧める。
「オルデさんも考えてみてくださいね」
「うん、当ててみせるぞ!」
「では問題です。ある人と別れなくちゃいけないところってどーこだ」
「シンキングタイムスタート」とアメリが言うと2人は自分の世界に入り、深く考え込む。
答えの検討がつかないのかファインが
「う〜ん」と唸り声を出している。
一方オルデは何かしらの答えが出たようだった。
「オルデさん、分かりましたか?」
「合っているかは分からないけれどね。ファイン君
言ってもいいかな?」
「ちょっとまってください」と言って再度考え込むが、やはり導き出せないようで「お願いします」と
解答権を譲る。
「答えはバイキングじゃないかな?王様と別れなくてはいけなくてbye king」
「正解です!」
「当たってよかった!自信がなかったからね」
オルデが喜ぶ傍らでファインが絶望していた。
「解く側でも負けるなんて・・・・」
「フォッフォッ、お主もまだまだよのぉ」
仙人チックに言う。
そんな会話をしているうちに次の目的地に着いた。
そこからも紅葉が見えたので、その景色を楽しみながら作業をした。
その後も何箇所か周り全ての作業を終え天界に戻った。
ーーーーーーーーーーーー
「ただいま、ロナちゃん」
地上整備部に戻ったあとファインが疲れを癒すためか、ロナに抱きついた。ロナは嫌そうな顔をしながら
「離れてください。業務妨害で訴えますよ?」と冷たい声で言う。
「あの、ごめんなさい。それだけは勘弁してください。って、ロナちゃんがこんな反応するわけが無い!まさかロナちゃんの顔をした天使ちゃんなのでは?」
「私はここだよ?というか今のはどういうことかな?」
いつも通りの満面の笑顔でファインに尋ねる。
「あの、記憶から消していただけるとありがたいです」
そう言ってファインは逃げるように次の仕事に取り
掛かった。
その仕事は前回もやったレポートの作成に加え、書類作成といったデスクワークだ。
地上整備部の書類は営業部のものより複雑で、なれない作業をやっている間に、終業時間になった。
「2人とも、今日は本当に助かったよ」
「お役に立てたなら良かったです」
「また何かあったらお願いするよ」
「任せてください!今度は私がクイズ考えてきますよ」
「楽しみにしているよ」
オルデと別れ2人は退社する。
ファインと別れる時、ファインが
「天使ちゃん、明日話があるから楽しみにしててね」
と、何かを企んでいる顔で言ってきた。
「話ってなんだろ」
ファインの事だから深刻な話ではないだろうと思いながら帰宅した。




