第18話 夏期休暇! 5
「さすが、旅館のお風呂は広いですね!
私の家の何倍だろ」
脱衣場から大浴場への扉を開けた先に広がる光景を
見て、ファインが言う。
入って右側にはシャワーが奥まで設置されており
左側に大きな浴槽があった。その浴槽の奥にガラスの扉があり、そこから露天風呂に行けるようになっていた。
「早く体を洗って露天風呂に行きましょうか」
3人はシャワーの前に行き各自頭を洗い始める。
すると、セニアの隣で髪を洗っていたファインが
セニアがリンスを自前していることに気づく。
「先輩それ高そうですけど、いつもそれ使ってるんですか?」
ファインが聞く。
「えぇ、そうよ。高そうなデザインしているけど平均的な値段よ?それなのに効果はすごくてね、愛用しているの」
「前から先輩の髪の毛サラサラだなと思ってたんですよ。そういうわけだったんですね」
セニアの話を聞いてアメリが納得する。
「2人とも使ってみる?貸してあげるわよ」
「いいんですか!ありがとうございます」
ファインが手のひらを出しその上にセニアが適量
出す。ファインは早速、薄く伸ばし使い始めた。
そして今度はアメリがセニアに出してもらい
「ありがとうございます」とお礼を言って
使い始める。
「いい匂いですね」
アメリがリンスを流したあとに髪の毛の匂いをそっと嗅いでみた。
「そうでしょう、桃の香りのものを選んだの」
「桃ですか!いいなぁ、私も欲しくなっちゃいました。どこで買ったんですか?」
体を洗うネットを泡立てながらセニアに聞く。
「最初はショッピングモールで見つけて試しに買ってみたの。そしたら気に入っちゃってね。」
「そうなんですか。じゃあそこに行けば買えますかね?」
「えぇ、問題ないと思うけれど、通販もあるから
そっちの方が楽ね。私も最近は通販で買っているわ」
「確かに、時間なくてもすぐに買えますからね。後で調べてみます、ありがとうございます」
3人は体を洗い終え露天風呂へ向かった。
「海めっちゃきれい!」
露天風呂からはさっきまでいた浜辺が見え水平線に沈む太陽がよく見えた。
夏という事もあり太陽の位置はさほど変わっていなかったが、海は、なお一層橙色を帯びている気がした。
3人以外に入浴している人がいなかったので
より開放感を感じられた。
3人は夕日を眺めながら肩までしっかりと浸かった。
しばらくすると、年配の3人組がやってきた。
「あら、お若い方たち3人で旅行かしら?
良いわね〜」
「こんにちは。そうなんです、夏休み頂いたので」
代表してセニアが挨拶する。
「そう。良いわね〜若いのは」
「お姉さん方もまだまだお若いですよ」
アメリが会話に参加する。
「まぁ、聞きました?トメさんフクさん
私たち若いんですって」
「えぇ聞こえましたよ、よしこさん。嬉しいわね〜」
「最近の若い子は目がいいのね〜」
「オホホホ」と3人で笑う。
「御三方はご友人なんですか?」
「そうよ。もう50年以上の仲になるかしらね。私たち3人ともこのアタウミで育ったのよ」
その話を聞いてセニアたちは興味を引かれた。
「凄いですね。どうしたらそんなに長く付き合えるんですか?」
「本当に仲がいいのなら、気が付かないうちにそうなっているものよ。そうね、強いて言うなら正直になることかしらね」
そう言ってよしこさんという方たちは話を聞かせてくれた。
3人の出会いから、途中で起きたちょっとした事件などたくさんの思い出話も聞かせてくれた。
アメリたちはそれを目を閉じ光景を思い浮かべながら聞いていた。よしこさん達の話を聞いているうちに時間はあっという間にすぎていった。
「ごめんなさいね、年寄りの長話に付き合わせちゃって」
「いえ、とても楽しかったです」
セニアがお礼を言うと、よしこさんはもう一度長く付き合う秘訣を言ってくれた。
「まぁ、もちろんプライベートのことは話さなくていいけれど、言いたいことは言うようにするといいわね」
そう言って優しく微笑んでくれた。
「まぁ、トメさんは昔から正直に言いすぎるところがあったけれどね」
「あら、フクさんだってそうじゃありませんか」
「いえいえトメさんの方が・・・・」
二人の会話にトゲはなく長年の友達同士の冗談だということはアメリ達にもよくわかった。
「まぁ、こんな感じかしらね」
そう言ってよしこさんはまた「オホホ」と笑った。
「私達もそんな関係になりたいです」
「あなた達ならきっとなれるわ。若い頃の私達にそっくりだもの」
よしこさんの言葉に嬉しくなったアメリたちはお互いの顔を見て微笑み合った。
「そうだ、私たち明日ここの近くでお買い物しようともさ思っているんですけどおすすめの場所ありませんか?」
ファインがよしこさんに尋ねる。
すると少しだけ悩んで、ポンッと手のひらを叩いた。
「少し遠いけど、地元の人には有名な商店街があるわ。魚介類がたくさん売っているし、お土産屋さんもあるからきっと満足するはずよ」
「本当ですか!ありがとうございます」
それからよしこさんはトメさんとフクさんを連れて先にあがった。
「面白い話がたくさん聞けましたね」
「明日の予定も決まりましたし」
「そうね。さて、そろそろ私たちも部屋に戻りましょう。もう少しで夕食が運ばれてくるはずだから」
3人は浴衣に着替え部屋へと戻った。
夕日は完全に沈み、窓から見えていた海も闇の中へと溶け込んでいた。
来週はもしかしたらお休みになるかもしれません。
不確定で申し訳ないです。
ちなみに、アメリとセニアはセミロング。ファインはショートヘアです。




