第2話 あだ名!
アナウンスを聞きアメリ達は早速、営業部に
やってきた。
「いや〜、しかし配属先が一緒だっただけじゃなく
席が隣とはね〜。楽しくやっていけそう!」
「そうだね!ファインちゃんが隣でよかったよ〜 」
話しながらアメリはデスクの上に必要なものを置いていく。そしてカバンの中から財布がなくなっている
事に気がついた。
「ちゃんと全部拾ったと思ったんだけどな。
朝の場所にまだあるといいんだけど・・・・・・」
「て・ん・し、ちゃーん!!」
一人の女性がアメリに後ろから抱きついた。
「きゃあっ!」
振り返るとそこには、朝ぶつかった女性がアメリの
財布を持って立っていた。
「あっ、私のお財布!拾ってくださったんですね!
でもどうして私がここにいるって分かったん
ですか?」
「お財布に名前が書いてあってね?とても印象的な
名前だったから覚えてたのよ〜」
「覚えてた?」
「自己紹介が遅れちゃったわね。私はセニア、ランク
は大天使であなた達の指導役に選ばれたのよ!」
ここで、この世界におけるランクについて説明して
おこう。上から神・大天使・天使となっている。
たった3つしかなく、あっという間に神になれそうと思ったかもしれないがランクを上げるには
"多くの社会経験"を積み、尚且つ年に一度しか行われない難関テストに合格しなければならないのだ。
そのため多くの者は就職して5年以上勤務してから
テストを受け大天使へとランクアップする。
「それでね、事前に名簿を渡されたの。部下のこと
把握しとけって。最初に見た時は驚いたわ〜。」
「あっ、あの先輩。それ"あまつか"って読むんです。よく間違われるんですよ。」
「知ってるわよ?」
「え?」
「あだ名よ〜。ふたりと仲良くなりたいし、ね?」
「いいですねそれ!私も天使ちゃんって呼ぼーっと」
「えぇ・・・・」
困惑するアメリを他所に、ファインとセニアは互いに自己紹介をした。それが終わると、セニアは2人に明日からの予定を伝え、今日は解散となった。
「んっーー」
疲れを出すかのようにファインは腕を大きく伸ばす。
「ファインちゃん、外まで一緒に行かない?」
「もちろん!帰ろ帰ろ〜」
そう言って廊下に出ると朝と同じような叫び声が
聞こえてきた。
「おい!大変だ、また魔力切れで1人倒れた!」
「なんだと!?もうゼリーは無いぞ!」
どうやら魔力補給用の魔力飲ゼリーの在庫が切れたようだ。
「あ、あの〜。良かったらこれ使ってください。」
そう言うとアメリは入社記念で貰った物を渡した。
「いいのか!?ありがとう、助かる!あなたは神だ!!」
「いえ、天使です。」
歓喜したその社員は他のものにもその旨を伝えた。
すると、製造班の者がぞろぞろと集まり一斉に感謝を伝えた。
『神よっ!!!!ありがとうございます!!!!』
「だから、私は天使ですぅぅぅぅぅ!!」
今回は出社時にぶつかったセニア先輩とのお話です。(入社式の日を出社と言っていいのか分からない)。楽しんでいただけたのなら光栄です。
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