第10話 ショッピング! 2
店舗は入口から入って奥に広がっており
両側に化粧品や駄菓子などを販売している店が並んでいた。
「色んなお店がいっぱいありますね!
どこから行きますか?」
ファインが興奮しなが聞く。
「行きたいところの目星をつけながら反対側に移動してこっちに戻りながらお店に寄りましょうか」
3人は1階を見て歩き2、3階のお店は
パンフレットで確認しながら進んだ。
距離的には結構あったが話しながら進んでいたのであっという間に着いた。
「じゃあ、どこから行く?」
「はい!私ここのキャンプ道具店行きたいです」
ファインがまたまた、興奮しながら話した。
「じゃあそうしましょう」
「ファインちゃん、そろそろ落ち着きなよ。
ずっとそのテンションだと疲れるよ?」
「大丈夫だよ、私体力には自信あるからね」
と得意気に話しながら、店に入っていった。
ファインが最初に見ていたのはテントだった。目の前には家族用の大きなテントが展示されている。
「大きいねこのテント。何人入れるのかな」
アメリは素朴な疑問を漏らす。
「家族用って書いてあるし、50人くらいじゃない?」
ファインがとんでもない数字を出してきた。
「ファインや、お主の家族は50人もいるのかえ?」
アメリがおばぁちゃん口調でツッコむ。
「いや、さすがに嘘だよ。何言ってんの天使ちゃん」
「うん、知ってた。それとその急に素に戻るのやめよう?私がバカみたい」
2人が真顔で向き合っているとセニアが話しかけてきた。
「2人とも、そろそろ他のお店に行ってみようか」
「はーい」
返事をして店を後にする。
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次にセニアの希望でるるポートのちょうど真ん中にある洋服屋にやってきた。
「そろそろ夏だから涼しい格好ができる新しい服が欲しくってね」
「その新しい服で恋人と・・・・。羨ましいですね〜」
2人でニヤニヤ笑っていると
「ふっ、彼氏とは最近別れたのよ。なんで?って聞いたら別にだって。何よ別にって男ならはっきり言えってんだ」
などと暗い顔をしながら文句を呟いている。
二人の間にセニアに恋人のことを聞いてはいけないという暗黙の了解ができた瞬間であった。
「ま、まぁまぁ先輩今は忘れて
ショッピングを楽しみましょう?」
アメリがなだめる。
スキル「母親属性」を発動!!
セニアの心が癒された!
「そうね。でも、天使ちゃんにはちょいとお仕置が必要ね!」
セニアが「フッフッフ」と言いながら近づいてくる。
「ちょっと待ってなんで私だけなんですか!?」
そう言いながら後ずさりしようとすると
「ファインちゃん!」
「はい!」
シュタッとファインがアメリの後ろに周り
羽交い締めをして動きを封じた。
「裏切り者!」
「人は何かを犠牲にしなくては生きていけないのだよ・・・・」
「いい言葉なんだろうけど使うタイミングが最悪すぎるよ!」
必死に抵抗するが着実にセニアが近づいてくる。もうダメだと思った瞬間
「お客様、他のお客様のご迷惑となりますので店内ではお静かにお願いします」
店員が注意しに来た。
「すみません」
セニアが代表して謝る。
「さ、もう次のお店に行きましょう」
アメリが店を出ようとするが強い力で
肩を掴まれた。
「油断したわね天使ちゃん、いつ私が諦めたと言ったのかしら」
その後30分アメリは着せ替え人形のように扱われたのであった。
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「少し遅いけど1階にあるフードコートでお昼にしましょうか」
時刻は2時、昼食をとるには少し遅めだったが買い物に夢中だったので空腹感など感じていなかった。それに席も空いていたのでちょうど良かった。
3人は別のお店の物を購入し、おかずをシェアしながら昼食を終えた。
「私、ちょっと御手洗に行ってきますね」
そう言ってファインが席を外したのを見計らってかセニアがこんな質問をしてきた。
「ねぇ天使ちゃん、どうして急にお買い物に誘ってくれたの?」
予想外の質問に戸惑うが、誘った理由は明白であったので率直に答える。
「なんていうか、素の先輩を見てみたかったんです。仕事では真面目な先輩がプライベートだと、どんな感じなのかとか。でもやっぱり先輩は先輩ですね、今日だって回る順番とか色々と決めて先導してもらいましたし」
「あら、これでもちゃんとプライベートモードなのよ?おかげで楽しめたし、私の素性も少しは垣間見えたんじゃない?」
セニアが恋人とのことを言っていると思ったので謝罪しておく。
「その件はすみませんでした。でもこれからどんどん先輩の素顔を明かしていっちゃいますから覚悟してくださいね!」
「楽しみにしているわ」
そうこうしているうちにファインが戻ってきたのでショッピングを再開した。
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それから約2時間ほどの後、3人は朝の集合場所にまで帰ってきていた。
すると突如ファインが聞いてくる。
「よく考えたら天使ちゃん行きたいお店の要望言ってなくない?」
「あー、そういえばそうだね。でもいいよ、特に買いたいものとか無かったし」
アメリは本心を述べたのだが
ファインはそれを気遣いと捉えたのか
猛烈な勢いで話してきた。
「ダメだよ、見たら買いたくなるものだってあるじゃん!よし決めた、また今度3人で
お買い物に行こう」
「うん、楽しみにしてる」
ファインの優しさが嬉しかったので
素直に提案を受け入れる。
「じゃあ2人とも私はこっちだから。
気をつけて帰るのよ?」
『はい!』
駅前でセニアと別れ、近くのバス停で
ファインと別れた。
(今日は楽しかったな〜)
今日の出来事を振り返りながら朝と同じ鼻歌を
歌いながら帰るアメリであった。