第9話 食堂!
金曜日
時計の長針と短針が12の数字の上で重なろうとしている時セニアがアメリ、ファインに話しかけてきた。
「明日のこと色々と決めたいしお昼一緒に食べない?」
『はい!』
2人は食事を持ってきているがセニアは
食堂を利用しているということなので、食堂に移動して話すことになった。
食堂には多くの社員が昼食を取っており混雑していたが先に行ったセニアが席を取っておいてくれていた。
「こっちこっち〜」
「あっ、ありがとうございます。それにしても混んでますね」
「そうでしょ?だけど優しい人が多くて、みんな食べ
終わったらすぐに席を立ったり、譲り合っているから喧嘩も起きないし意外と待たずに席を取れるのよ」
「そうなんですね」
確かに人は多いものの席はいくつか空いている。
そうして辺りを見回している間にも何人かの社員が席を立っていた。
「さて、それじゃあ食べながら色々と決めましょうか」
そういうと、セニアは食事をとり始める。
セニアが頼んだのは、Aセットという白米、白身魚、味噌汁、漬物が配膳されている和風の定食だ。
一方でアメリは手作りのお弁当を持ってきており
ファインは菓子パンを持ってきていた。
「おぉ、すごいね天使ちゃん」
ファインがお弁当を覗き込んできた。
「まぁ、これくらいなら簡単に作れるからね。
それよりもファインちゃんお昼それだけ?」
「うん、私はいつもこれだけだよ?」
「ダメだよ、ちゃんと食べなきゃ。栄養も偏ってるし」
アメリがまるでファインのお母さんかのように優しく諭す。この面倒見の良さはアメリの長所のひとつと言っても過言ではないだろう。
「うぅ〜、わかったよ明日からちゃんと考えて
お昼を決める」
ファインが観念したように呟く。
「2人は本当に仲がいいわね。羨ましいわ」
セニアが微笑みながら暖かい視線を送ってくるので
2人は少し照れてしまった。
「先輩、そろそろ本題に入りましょう!」
ファインが誤魔化すように早口で言う。
「そうね。まず場所だけど・・・・」
そう言ってセニアはなにやらカバンの中をガサゴソと探っている。「あった」と言って取り出したのは1枚のチラシだった。
「ここ、最近できた新しいショッピングモールなんだけど色々なお店が入っているらしいのよ。ここから二駅分くらいの所なんだけどどうかしら?」
「いいですね!ここにしましょう!」
二つ返事でアメリが承諾する。
「ありがとう。それじゃあ次は集合場所と時間ね」
「あの〜私朝苦手なんで出来るだけ遅めがいいんですけど」
ファインが申し訳なさそうに言う。
「そうね、じゃあ11時くらいはどうかしら?」
「あっ、それなら大丈夫でーす」
安心したように伸びた返事をする。
「ファインちゃん、遅れたら荷物持ちしてもらうからね!」
「天使ちゃん、意外とドSだな。しかもそれを曇りのない笑顔で言ってるのが尚更怖い」
ファインが少し引き気味になっていたが
アメリはそれを気にもせずセニアとの会話に戻る。
「集合場所はどうしましょうか?」
「最初は現地でもいいかなと思ってたんだけど、初めて行くところだからね。迷ったら大変だし駅に集合しましょうか」
「それがいいですね」
そう言ってアメリは今まで決まったことをメモする。
「さて大体のことは決まったし、早く食べて私達も席をあけましょう」
セニアの一言で3人が食事を再開する。
30分後、社内に放送される鐘の音が昼休みの終了を
告げた。
「さて、あと半日頑張りますか!」
優しめに頬を叩きアメリは午後の仕事に取り掛かる。