これが僕の下僕ですね。
「...ん、.......?」
どうやら俺はどこかのベッドで寝ているらしかった。
だが何故、と疑問に思った時に気付く。
誰かが真っ黒な瞳で俺を覗き込んでいるではないか。
真っ白な髭を長くのばしたジジイである。
「無事意識が戻ったようですね。加害者への報復行為はいかが致しましょうか、今夜にでも?」
「加害者?報復行為?」
「一昨日やられたでしょ、ほら...ボコボコにされたの...」
「あ!」
そうだったそうだった。確か俺は霧の中で誰かにぶつかって、
そいつが俺を殴った。...で、空飛んでるわ俺、と思ってたら意識を失って...
「貴方を殴った人、準天界軍警察に捕まったんですよ。
頭が半分グチャグチャになってしまった貴方にトドメをさそうとしたところで。流石に危なかった。これでは魂が....ねぇ。」
「...魂がなんだって?」
「喰われるんですよ。待っているんですから、足元でね。」
「何が?」
「貴方ここに来たばかりですよね、準天界に。それじゃあ教えられませんよ、権限が与えられていないんですから。」
「.....あ、そうでしたか。じゃあしょうがないですね。」
何か意味深な事をこのジジイが言った気がするが、こういうのはあまり深く掘り下げようとしてはいけない。面倒な事にはなりたくないし、そもそも興味ない。
「それで........いつにするんです、報復は。あまり早くない方がよろしいと思いますが。」
「それなんだが.....報復ってなんだ?」
「あ、まさかハンムラビ法典をご存知ない.....ぷっ」
おーい、ジジイが笑ってるぞーバカにした顔でなー
「目には目を歯には歯をですよ。聞いた事ないんですか?」
「ない。」
「え、、、、ぷぷぷっ」
なんかウザイなこのジジイ。いちいち横目で口押さえながら笑うな。悪かったな、知らなくて。
「つまりですね、貴方を傷つけたその男に、同じ思いをさせましょうって企画なんです。」
「なんで?」
「そりゃあ罪を犯した者には、被害者の気持ちを分かってもらわないと。ま、準天界の法律で決まっているんですよ。次は貴方があの憎らしい男にパンチを食らわせる番です。」
「えー、」
俺がそんな化け物級のパンチが出来ると思っているのか?このジジイ。無理無理。
「そんなパンチ打てません。」
「え、あの程度のパンチが?.....ぷぷぷぷっぷぷ....。」
「いや無理だろあれ。」
「監視キメラが6つの目でしっかり見てましたけど、ありゃあ幼児レベルのスキルですよ、ホント大丈夫ですか?」
幼児?あれが?あと監視キメラってなんだキメラって。
物騒だなおい。
「ホント無理、だから報復できねぇや。」
「仕方ないですね、じゃあ奴隷にします?あの男。準天界時間で3週間だけ。」
奴隷?
「あ、うん、そうする。」