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第一話 力をもらったようですね

心地よい風に顔を撫でられ、気持ちよく目を覚ました。

…覚ましたけど。


「…っはああああああああ!?」


この状況に理解できなかった。

見渡す限り色とりどりの花が咲き乱れ、

空には点々と見たこともないものが浮かぶ。

そして何より、太陽が2つ。

おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい。


「ありえねーっ!!!!!」


いや、とりあえず落ち着け。こんな時こそ冷静に整理していかないと。

名前は? 一瀬航大いちせこうだい

年齢は? 18歳。

職業は? 高校三年生。受験期真っただ中。

自分のことは忘れてないな。よし。

なんでこうなった?


―覚えてないだろうな―


突然頭の中に響いた声に驚き後ろを振り向くと、

そこには真っ白な羽の生えた巨体があった。

背中には繊細な模様のある大きな羽。

体表はびっしりと大きな白い鱗でおおわれている。

手は爪が異様に発達し鎌のようで、足はその巨体を支えるべく、とても太く短い。

顔は大きな宝石のような赤い目に、少し大きな鼻、

そして明らかに力を示す尖った歯を見せつけるように開かれた大きな口。

そうこれは、明らかに…


「ドラゴンっ!!!!!?????」


―気を失うのは早いぞ、青年―


「いやー驚くなっていう方がおかしいよね?」


言われた通り気を失いそうになっていた意識を何とか保とうとした。


―とりあえず、私の話を聞け、青年よ。

こうなった経緯はすべて知っておる。

すべてはこの世界に来る前のお主に起こった悲劇と奇跡から始まったのだ―



―――――



「あーあ。今日もひまだなあ。」


とりあえず机の上に広げてみた参考書をみて解く気が失せた航大は、

何をしようか考えていた。

ふと目をやった時計は8月13日の午後2時43分を示している。

夏休みに入る前に親に内緒で買ったRPGのビデオゲームも

昨日クリアしてしまったために、本当にやることがなくなってしまった。


「なんか、こう、おもしろいことないのかなあ。」


元から勉強には興味はなく、ある程度は出来ていた。

家にいてもやることがないので、ひとまず外に出てみる。

行く当てもなく炎天下の町中を30分ほど歩いたところで、

何も面白いことはなく、涼みにコンビニへと入っていった。

アイスの棚をみて、「新作かー。」などと独り言を言いながら

どのアイスにしようか悩んでいた時だった。

爆発音がしたかと思うと、目の前が炎に包まれた。



―――――



「つまりその爆発で俺は死んだんだな?それでここは天国ってわけだ。」


―うむ。少し違うな―


「ん?」


―これは奇跡としか言いようがないのだ―


「はあ?よくわかんない。」


―お主とこの世界、『エルジュ』と波長があったのだ―


「あー!!!もう意味わかんないよ!!!」


そんなことをしても意味がないことはわかっているが、

気持ちを抑えるため暴れてしまう。


―一つずつ話してやるから、落ち着け、青年よ。

お主の生きていた世界『リックメタ』という世界と

この世界『エルジュ』はつながった共存世界なのだ。

簡単に言えば、片方が危険にさらされたときの保険のように、

お互いの世界が支え合って保たれているのだ―


「んん…。」


―例えばエルジュでもし大規模な災害が起きたとしよう。

そうするとリックメタにも同じような災害が起きる。

そうすることで、災害の傷をリックメタが少し請け負うことで

エルジュの修復を速めているのだ―


「…ん?」


―だがその世界の関係をよしとしない者たちがいるのだ。

ほかの世界の影響でこの世界で不幸が起こることに

納得がいかなかったのであろうな。

どうにかしてリックメタとのつながりを消そうとしたのだ。

そしてついに見つけたのだ、世界のエネルギーが世界を行き来するための道を―


「それで?」


―その者たちは爆破することに成功した。

だがその爆破はお互いの世界に不幸をもたらしたのだ―


「それって…もしかして俺が巻き込まれた…」


―その通りだ。普通なら爆破で生きることなどできないはずなのだが、

お主は生きながらにしてこちらの世界にしかない力を手に入れ、

さらにはこちらに引き込まれてしまったのだよ―


「こっちの世界にしかない力…?」


―そう。エルジュにはリックメタのような科学技術がない代わりに、

魔法があるのだ。

お主はその力を手に入れた―


「まったく信じられないな。」


―まあ信じられないのも無理はないか。

まるでゲームのような世界に感じられるであろうしな。

試しに魔法を使ってみよ。お主が手に入れた力も確認せねばならんしな―


「ほんと、ゲームじゃん…で、どうすれば出せるんだ?」


―何、簡単だ。なんとなくお主にもどのような魔法が使えるかわかるであろう。

それを使いたいと思えばいいのだ―


その時、一つの言葉が頭の中に浮かんだ。それをそのまま口にする。


「…『絶海ぜっかい』。」


そうつぶやくと半径10mほどの半球の空間が薄い青色で包まれた。


―成程な、なぜ爆発に生き残れたか理解できた、青年よ。

お主自身の強さも、役職も、素晴らしいものだ―


どちらの世界のものにもあり得ない能力を目の当たりにし、

白きドラゴンは喜びを隠せない。



【イチセコウダイ】

役職:支援戦士

能力値:1029

称号:転移者

スキル1:絶海ぜっかい ★★★★★☆☆

     大いなる水神の力。

     一定範囲内の自身を含む味方に、

     自己回復能力強化(絶大)

     耐久力強化(大)

     を付与する。

マスタースキル:愛されし者 ★★★★★★★★★★

        すべてに愛されし者。

        常時自身に

        運強化(満)

        を付与する。

        このスキルは魔力を消費しない。


書くことになれば絶対登場させたかったドラゴンをしょっぱなに(笑)

いろいろと登場人物はいるので、できるだけわかりやすく区別できるような表現に気をつけたいと思います。

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