第七十八話 俺は知りたい
圧倒的平馬回が続いております。
三吉のおまけっぷり半端ないが、友のために縁の下で駆け回る様子をご覧ください(笑)
「平馬――――!! どこだ――――!!」
「何をそんなに慌ただしくしているんだ、三吉。一応今は戦の最中なんだぞ?」
寧々子や半兵衛たちのいる部屋を出てきた三吉は真っ先に友・大谷平馬を探し始めた。
大声で名を呼びながら城内を駆け回ったために、人伝に噂が広まって平馬の耳にまで入った。
探されていた側である平馬は、自分の名が大声で叫ばれていることを聞いて恥ずかしくなって急いで三吉の元へとやってきた。
「許可を得たんだ!」
「なんの?」
「荒木様の説得さ! 平馬、気になっていたでしょう? あの人の事」
三吉から思わぬ発言を受けてキョトンとしてしまう平馬。
「姉さんたちはもう裏切ると結論づけて、裏切った後味方への被害ができるだけ減らせるように対策を練るつもりらしいけど」
「それなら俺たちはそれに従うまでじゃないか。なんでそんな無理に説得案を通したんだ?」
「上の言うことに素直に従うだけが大事じゃないよ! 秀吉様だっていろいろやって信長様に認められているじゃないか!」
「そういうところ、秀吉様に似てきたな、君。しかしそれでいいときと悪い時があるのは秀吉様を見ていて分かるだろう? 見極めが必要なんだ」
あくまで上司の意向第一とする友人を不満そうに見つめながら頬を膨らませる。
平馬は本当に、主君や道先を決める軍師が決定したことに異を唱えるつもりはなく、それを受けて自分にできることを模索していくつもりだった。
だが、荒木村重を全く気にしていなかったかと言われるとそんなことはない。
彼は、自分の可能性の一つだ。
小姓としてこのまま主に仕え、功績を上げ、一目置かれる武将となり、領地を与えられ、ある程度ゆとりある生活を送れるようになった時。
きっと、ふと考える時が訪れるのだ。
――このままこの人についていっていいのだろうか、と。
荒木村重は尊敬する主君・織田信長が、自分の親しい人間に牙を剥き、常識として存在していたそれまでの世間の風習を壊し始めた。
それをきっかけにいろいろ信長様を見る目が変わってしまったのだろう。
信長様の所業を見てなお彼のことを心から尊敬できる人間は本当に希少といっていい。
自分もあまり彼のことは好ましくない。
だから小姓として志願するなら平民出身であり、民への理解が深そうな秀吉様を選んだのだ。
しかし選んだ後になって後悔するようなことになれば……。
「―――三吉。やはり先程の申し出、受けよう」
「てことは説得にいく?」
「ああ。俺は知りたいことがあるんだ」
二人は頷き合うとそのままの勢いで荒木村重の元へ向かおうと駆け出した。
―――しかし荒木村重を探し始めて数刻ほど経っても城内で彼を見つけることができなかった。
「一体どこに行ってしまったんだろう」
「少し前まで姿を見た者は何人かいたが、言われた場所へ行ってもすでに去った後だった」
「もしかして、もう……?」
「可能性はある……けれど、姿を見た者たちの証言を聞くに、ここを発ったとしてもまだ遠くには行っていないはずだ。探そう!」
二人はそれまで城内のみを探していたので、今度は城外を探し始める。
といっても、このタイミングでこっそり姫路城を抜けて行く先など、相手が裏切りを予想されている人間ならばその行動予測はたやすい。
二人が城外捜査で真っ先に向かったのは摂津国へと繋がる道。
睨んだ通り、その道の先に荒木村重は、いた。
「荒木様!」
平馬が呼びかけると前方の荒木村重は足を止めた。
しかしこちらを振り向く様子はない。
その行動がもうすでに物語っていた。
―――彼の決意を。
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果たして小姓君たちは荒木村重を止められるのか!?
次回、金曜更新!




