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第六十七話 同じ頃、姫路城にて

久しぶりにやって参りました三吉ターン!












 時は少し遡る。

 上月城救援のため、信長より援軍として派遣された摂津国の武将・荒木村重と共に出陣するはすだったが、背後の城を預かる別所長治が裏切り、上月城目前には毛利軍本隊が迫っていたことから姫路城へ一度撤退を図った羽柴秀吉。


 己が一番信頼する軍師・竹中半兵衛と小寺官兵衛を殿しんがりにおいて陣を脱して無事姫路城へ味方共々撤退が完了した。


 姫路城では秀吉たちが撤退してくることが分かっていたかのような出迎えをされて一瞬戸惑うもきっと半兵衛たちの計らいであろうとすぐに察して秀吉は胸中がざわつく。


 何もかも自分の知らぬ間に準備をしてくれて、挙句の果てに殿まで。

 無事であることを願うことしか今の自分にはできない。





「秀吉様!」

「よくぞご無事で!」

「佐吉。平馬。この出迎えと準備具合はあの二人の指示か」


「左様にございます。竹中様と小寺様より、のちに秀吉様と荒木村重様がお戻りになるので出迎えとすぐに次の戦に取り掛かれるよう準備せよと諸々の指示を受けておりまする」


「それから織田本隊から伝令が届いております。毛利軍の水軍が、別所長治の離反に呼応して本願寺顕如へ兵糧を届けるために動いたとのこと。現在、織田水軍と毛利水軍との間で海戦が行われている模様。信長様より、秀吉様には早々に別所長治に対処してほしいとのことです」


「毛利水軍を管轄している小早川隆景は現在毛利本隊に合流しているはず。隆景不在で動き出したと言うことはあらかじめこの状況を仕組んでいたと言うことかー! してやられたわ!」




 悔しがるように頭をワシワシッとかき出す秀吉に、それまで後ろに控えて話を聞いていた荒木村重が歩み出る。




「織田は海戦があまり得意ではない。元々水軍を持たぬ地理に国があった故に。今回の毛利水軍がただの兵糧運びのみなら止めることはたやすいだろう。しかし次に本格的な海戦が起こればそうもいかぬ。削れる戦力は一つでも多く削るべき。別所長治を討つぞ」


「村重殿の言う通りじゃな。半兵衛たちもそう考えてわしを撤退させたのじゃしな。別所軍の状況について誰か!」


「それについては僕がすでに取りまとめています」


「おお、さすが佐吉! 先程の伝令内容を簡潔に述べたことといい、準備事においてはお主の右に出る者はおらぬな」




 久しぶりの登場となる寧々子の実弟・三吉こと石田佐吉は、別所長治がこもる三木城周辺を記した地図を広げると、地図周辺を秀吉、村重、平馬が囲む。




「別所氏は現在、自身に呼応した国人衆やその家族たちと信長様が嫌う仏教徒四千程度の者たちと共に三木城へ籠っています。周辺に陣がなく、部隊を配置していないことから完全城籠りであると思われます」

「――四千人の人間を抱えて籠城……周辺に部隊配置もなし。兵糧が城に大量に保管されているのか?」

「調べられる限りの範囲の報告で受けた見立てだと、一か月、くらいでしょうか。全く補給を受けないで籠城徹底抗戦は難しいと思うので補給線はあるものかと」

「補給線予想は、三木城周辺にある支城……とくに大きな補給拠点となるのは海沿いに構える高砂城と魚住城の二点でしょう」




 三吉が詳細の説明を述べ、平馬が補填するように戦略地を述べていく。

 互いの得意分野で補いあっている様子が良き関係を築けている証拠だ。


 三吉と平馬の情報と意見を聞き終えると、それまで黙って聞いていた秀吉が一つ頷く。




「兵糧攻め、じゃな」

「味方への犠牲がない方法か。しかし時間がかかる」


「それはわしらの行動次第じゃ。幸いにも宇喜多直家がこちらについている故、支城以外の補給線になりうる毛利本国との直接路線が現状で妨害できている。これに関しては早々に宇喜多を調略した官兵衛に感謝せねばならんな」


「秀吉様の言う通り。宇喜多がこちらへついていなければ、三木城への補給線はもっと広がっていました。さらに今、半兵衛殿が駆け回ったかいあって、離反者は当初予想されていた人数より三千ほど減らせているそうです。これだけ好条件が重なっているのはまさに二人の軍師のおかげ。これを生かさぬ手はありません」


「僕たちがやるべきことは二人のおかげで大分楽になっているということですか?」


「そうじゃぞ、佐吉。あとで二人にはたんと褒美をとらせねば。殿も引き受けてくれたしな!」




 そこで秀吉は地図の上から頭を起こして皆に向き直る。

 皆もまたそれに習って秀吉と向かい合う。




「半兵衛と官兵衛の努力を無駄にしてはならん。我らで片をつけようぞ!」

「「はっ」」

「承知」




 かくして、秀吉が史実において中国攻めにて行った「三木の干殺し」が開始されることとなる。





読了ありがとうございます。

ブクマ・ptよろしくお願いします!


次回、明日更新!

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