第六十六話 ソウルメイト
そういえば、寧々子も三吉も性別そのままで転生しているから、
小早川隆景の例、初ですね('ω')
小早川隆景が実は転生者であると知った寧々子。
本名を聞こうとするが、あちらも考えることは同じだったようでハモってしまい戸惑う二人。
「ごめんなさい。お先にどうぞ。ずっと探していたんですよね、私みたいな転生者」
「お気遣いありがとうございます~。それではお先に。ボクの本名は隆子と申します~事故で亡くなったときは高校生でした~」
「これは具体的にありがとうございます。私の本名は寧々子。集団通り魔に襲われて亡くなった、ぴちぴちのJK(女子高生)でした」
またまた一拍の間が訪れる。
「――あなた、ねねチャンでしょ」
「――あなたこそ、たかちゃんよね?」
「「おお、友よ!!」」
ものの数秒の間で互いが知る仲であることを直感で悟って熱い抱擁を交わす。
どうやら二人は前世で知り合いだった様子。
「まさか死後にまたあなたに会えるなんて、まさにボクたちは真のソウルメイトであることを証明してしまったようだね~!」
「私も驚いているよ。まさかたかちゃんが転生しているなんて。しかも小早川隆景とか、あなたの推し武将じゃない!!」
寧々子と親し気に語るこの小早川隆景の中身は、寧々子の前世での親友・隆子。
少し前に寧々子が前世に思いを馳せていた時に、若干の未練となっていた同い年の女子高生で、彼女もまたオタクであり、寧々子同様歴史が好きである。
先程寧々子が言っていたとおり、推しは小早川隆景。
つまり、推しへと転生したのである。
「あなたは秀吉の奥さんてことはおねねさまよね? 名前変わらないわね~」
「三吉と同じこと言わないでよ」
「むむ? 弟君も転生しているのかい~?」
「あ、説明するわね」
そこで寧々子はかくかくしかじかと自分たちが転生した理由、果たすべき目的を隆景改め隆子に話した。
「――事情は承知した。でもその話で行くとなぜボクまでこんなことになっているのか、皆目見当がつかないね」
「ねねさまみたいに何か目的があって同じような手段でほかの未来人を呼んでいる人がいるってことかもしれないわね……」
「だとすると、今世ではボクたちは友ではなく敵となりうる可能性があるわけか~」
隆子の言う通り、その可能性は否定できない。
しかし心当たりが全くない。
というか、未来人を呼べるだけの能力持ちなんてねねさま以外に知らないのだ。
――いや。
「もしかして……家康様?」
「家康って徳川家康?」
「そう。この時代、というかもう世界が異なるのかな。私達の世界と異なる点として能力者という存在がいるの。能力者は私達の知る武将のうち何名かが持っている能力で、全員が持っているわけではない力なの」
「なるほど~。異なる部分があるとはいえ、起きている事件、存在する武将が同じだとするならパラレルワールド路線もあり得るわけだね~」
「パラレルワールド! その発想もあったわね」
「ボクは話聞いてすぐそう考えたよ~。過去をやり直しするっていうところがまさに。石田三成が生き延びる世界線を探しているようなものじゃない~? そして転生者の力添えが必要だと分かるくらいにねねさまはやり直し続けてきた可能性もあるよ~」
そんな話は聞いていないのだけど、そうなのだろうか。
隆子の意見に少々首をひねる部分もあるが、寧々子はそれほどたくさんねね様と話しているわけではない。
それにワープの件以降、ほぼ会話なしだ。
これは一度二人で会話する機会を設けてもいいのかもしれない。
寧々子が思考に耽って黙り込んでいると、遠くから複数の駆け足音が聞こえてくる。
聞き慣れた足音だとすぐに分かった寧々子は半兵衛たちが自分を探していることに気付いて、現状を思い出す。
「あ、そういえば私達追いかけっこしてたんだ」
「そうでしたね~。うーん、どう対応していきましょうか~」
「私にいい案があるわ」
「ほほう~」
キリっとした表情でそう告げる寧々子に、隆子もつられてキリっとする。
スパアン! と派手な音と共に襖が開く。
「治! ここですか!? ……はぁっ!?」
「どうしたの軍師どおおおおおおおおおおお!?」
「………これはどういう」
部屋の襖を勢いよく開けて現れた三人が見た光景。
紳士的なオジサマにのしかかるように、上から覆いかぶさっている戦乙女。
小早川隆景を押し倒し、顎に指を添えて情熱を秘めているような瞳で見つめ、あふれ出る元が姫とは思えぬイケメンオーラを放っている寧々子がそこにいた。
「和睦、しませんか、隆景」
「――ボ、ボクの一存では……」
「大丈夫。あなたならできます」
「……おねねさま」
「何を見せられてるんだ!!!!!!!!!!!」
紫色の世界が広がっている部屋に竹中半兵衛のツッコミが響き渡った。
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