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第五十三話 小話:寧々子が調略現場にいた理由

お待たせしました!


今回は調略前の小話回。







 寧々子が半兵衛率いる隊所属の一兵・治ではなくおねねさまとして宇喜多直家の前に現れたのは、半兵衛と官兵衛が調略について話し合ったあのときにさかのぼる。


 これはそのときの小話。


 半兵衛にずっと付き添っていたことを官兵衛に不審がられ、宇喜多直家の元へ行く前に寧々子が男装して一兵士に扮していることを指摘したあの時。


 素直に、寧々子が秀吉の妻であることだけ、を告白した寧々子に官兵衛は面食らった。




「どういうことだ」




 その、どういうことだ、に含まれているのは秀吉の妻が戦場に出ていることだけではない。

 普段は夫の留守を預かり、城を守っているはずの奥方が、戦場においても並の兵士よりも実力があることも普通に考えておかしい。




「僕は仮にも主君の嫁が戦場で一人突っ走っているのを黙ってみていられなくて側において牽制しているというか、監視しているようなものです。そのついでに少しおつかいを頼むことがあるだけ!」

「そのおつかいが結構人使い荒い気がするんだけど気のせいかしら、半兵衛」

「でも大体無事だったでしょう?」

「無事に帰れるように協力してくれた人がいたの!」

「お笑い芸を見せられているのですかな」

「「お笑い芸じゃない」」

「………」




 息ピッタリな二人を淡々とした様子で見ている官兵衛はそこであることに思い至る。




「宇喜多直家の調略案、もしやあなたが?」

「私は長浜で得ていたわずかな情報を半兵衛に伝えただけです。兵を皆殺しにするのは確かに反乱の火種を消すことにはなるけど、上月城主は周辺の人達に慕われていたと聞きます。それでいて宇喜多直家は上月前城主と親しい? というか普通の利害だけであった人間関係ではないと聞き及んでいたので無闇に殺すのもどうかなぁと」

「利用できるところがあると考えたわけですか。 ……武将の奥方となる姫はある程度の教養は身についているものですが、あなたはどうやら普通の姫より聡いようだ」




 聡いというか、知っているだけなんですけどね。


 などとは無論言わない。




「ちなみに秀吉様は知っているのですか?」

「いいえ」




 一瞬頭を抱える動作を見せるが、すぐに何か考え込んでから意を決したように官兵衛は寧々子へ向き直った。




「おねねさま。宇喜多直家の調略に同行いただけませんか」

「え」

「ちょっとまった官兵衛殿。それはちょっと看過できないな、危険だ」

「保護者も大変だな。私が共にいるのだ、大丈夫だ」

「いや官兵衛殿も結構危ないからね」

「武力面でいうならば正直私よりおねねさまの方が高いだろう。戦略面では我らが優しているが、武力ならば圧倒的だろう。勘だが、くぐり抜けてきた戦場はおねねさまの方がすさまじそうだ」

「そういうのには敏感なんだね、官兵衛殿。僕はあまり推奨しませんけど、一応本人の意志を聞きますかね」




 二人のどうする? という問いの目を向けられたけど困るなぁ。


 でも官兵衛殿の命の危険があるなら、官兵衛殿は今後長く付き合っていくことになる人だし、関ヶ原の戦いのときにも生きていた人だからここで亡くすわけにもいかない。


 ここまで認められると女や姫としては微妙だけどどうやら武力面は私の方が強いらしいし。




「行きましょう」

「言うと思いました……」

「よろしくお願いします」




 その後、宇喜多直家の元へ行く前に半兵衛は一人で寧々子の元へやってくると、何かあったらワープを問答無用で活用しろとかもうねねさま本人を呼び出したりして窮地を脱してくれだのママかよってくらいにいろいろ注意と確認をされました。















 宇喜多直家のいる石山城へ向かう道中、官兵衛殿と馬を並んで歩いていると彼の方から話しかけられた。




「無理を申しましたか」

「まさかねねとして同行してほしいと言われるとは予想外でした。てっきり護衛かと」

「護衛はどちらかといえば私の方でしょう。 ……秀吉様は上月城にいた兵士を皆殺しにする命を下しました。しかしそれを間接的にあなたが止めた。私はそれをこのまま半兵衛の手柄にしておくのはもったいないと考えます」


「それはなぜ」


「あなたは秀吉様の家臣や兵士たちにも慕われていると聞いています。あの半兵衛にも一目どころではない信頼を置かれているのも感じます。その上、今回生かした情報収集能力と策の提示。ただの一武将の妻などという認識のままでいるのは長い目で見てもったいない。そして、その認識を広める上で宇喜多直家は都合がいい」


「そこまで評価されていたとは恐縮です。毛利元就や尼子経久に比べれば知名度に劣る気がしますが、それでも宇喜多直家なのですか?」

「宇喜多が今、目の前に転がっているので宇喜多にしただけです。その後どう広がるかは運。……私は、異なった意見を持つ夫の命令を間接的に変え、良き方向へと導いていけるあなた様のその可能性を女だから、妻だから、などという理由で潰してしまいたくない。才ある者はそれを遺憾なく発揮するだけの環境を作っていくべきです」




 結構な評価をいただけているようでそれは嬉しいけど、そんなに目立つつもりはないから若干複雑。

 しかしここで宇喜多直家に会うことでなにかしらの縁に恵まれる可能性もあるので素顔で会うことに損はないだろう。


 うまく、行くと言いな。





読了ありがとうございます。

ブクマ・ptよろしくお願いします!


今週三連休なので、定休日内にあと一話だけ更新する可能性があります。

できなかったら、火曜更新です!!

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