第四十二話 半兵衛と官兵衛
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両兵衛の出会い!!
織田信長から中国攻めの命は下ったものの、羽柴秀吉は年内に数回立て続けに戦をしていたこともあり兵が疲弊していた。
準備も追いつくことができず、すぐに始めることができなかった。
そのため命令が下ってから約一年後にようやく中国攻めの一歩である播磨に入った。
播磨に入ってまず先に向かったのは小寺家に仕えている当時は家老であった黒田官兵衛、現時点では小寺官兵衛の居城である姫路城だった。
「遠路はるばるようこそ参られた、羽柴秀吉ご一行」
姫路城では出迎えの準備を整えていたらしい小寺官兵衛が待ち構えていた。
物腰柔らかで柔和な雰囲気のある半兵衛とは対照的に、思わず背筋を正してしまうようなピリピリした鋭い雰囲気を纏い、背が高いせいもあって見下されているような気持ちにもなる。
かつて会った本多忠勝も背が高く、筋骨隆々で大きい体をしていたので必然的に見下ろされ、見下されているような心地であったが、官兵衛は精神的にそう思わせる雰囲気のある人だった。
表情も無表情で淡々としているようだった。
何を考えているか、よく分からないというか、読ませる気がないのか。
「おお、お主が城主の小寺官兵衛殿か! 出迎えご苦労様。儂が羽柴秀吉じゃ。此度の戦ではとても世話になる。よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお頼み申す」
そこで秀吉と官兵衛は握手を交わした。
それを少し離れた距離から見守っていた治に変装している寧々子と半兵衛。
「――あれが黒田官兵衛。半兵衛とは対照的な感じがするわね」
「確かに雰囲気は僕と違ってとげとげしいし表情もなくて無愛想ですけど、切れ者な匂いはプンプンしますね。これは確かに友達になってもいいかな」
「結構ズバッと評価したわね」
城内へと進む秀吉に続いて二人や続く羽柴軍も中へと入っていった。
その日は移動の疲れを癒すため、そのまま休む流れとなった。
自由行動となったので半兵衛は寧々子と共に姫路城を散策していた。
半兵衛は大人しく部屋で休むつもりだったのだが、一人ウキウキとテンション高めに軍団から離れていく寧々子を見かけて後を追ってきたのだ。
「戦前だというのにとても楽しそうですね、寧々子殿は」
「いやぁ、私の時代にも姫路城って残っていたんだけど今とどれだけ同じなのかなぁと。海の向こうの外国と戦争があった時代から奇跡が重なって天守が焼けこげにならずに残ったすごい城なのよ」
「そういえば寧々子殿は今から何年後くらいの時代から来たのですか?」
「そうねぇ……約四百五十年後かしら?」
「四百……四百年あれば時代の移り変わりはすごいのでしょうね。今でさえ数年経つだけでも情勢が打って変わりますしね」
半兵衛は四百年の時を遥か遠い未来のように語るが、寧々子は逆に四百年しか経っていないのだなと思った。
ならば四百年の間、人類はとてもせわしなく行動していたものだ。
そのうちの半分くらいは江戸幕府がこの国を牛耳っていたのだからそんな幕府を開いた始祖である徳川家康、結構すごいな。
三十路手前で自分が神です、なんていうし、歳のわりにポヤポヤしてかわいいけど家臣に対してため口だったりするところを見ると領主なんだなと思うし、改めて自分はすごい環境下にいることを実感する。
「お客人。いかがされた」
雑談を交わしながら城内をうろついていると、横の廊下から現れた官兵衛が声をかけてきた。
雰囲気は怖いという先入観があって寧々子が一瞬「ひゃっ」と声をあげる。
しかし今の寧々子は一兵士。
大の男であるはずの兵士から女性らしい叫び声が漏れたことに官兵衛が眉をぴくりと動かす。
それに気づいた半兵衛が寧々子の前に進み出て官兵衛の視線を自分へと向けさせる。
「散策をしておりました。城はそれぞれ個性があるので新しいところへ来るとつい」
「――あなたは」
「申し遅れました。秀吉様に仕え、軍師をしております。竹中重治と申します」
半兵衛の名乗りを聞いてまたもや眉をピクリと動かす官兵衛。
「あなたが竹中重治殿」
「はい。親しい者には半兵衛とも呼ばれています。えっと、小寺殿?」
「小寺孝高だ。官兵衛でもかまわない。お好きな方を」
「では半兵衛と官兵衛と、兵衛仲間ということで官兵衛殿とお呼びしますね」
兵衛仲間とは。
内心で寧々子が突っ込むが、言い出した本人は天才的発案とでもいうかのようなドヤ顔で官兵衛に向き合っている。
そんなことで友達になろうだなんて無理に決まっているだろう、と頭を抱えそうになったが。
「――――兵衛、仲間」
えっ。
官兵衛殿の周りにあったとげとげしい雰囲気がなくなった!?
心なしか瞳がキラキラして優しいものになっているような。
「では、私も半兵衛、と」
「はい。よろしくお願いしますね、官兵衛殿」
えええええええええええええええええええええ。
頬がほんのり赤く染まっているような!?
なんかよく分からないけど同士でも見つけたかのような反応じゃん、官兵衛殿。
てか、めちゃくちゃ嬉しそう。
これが竹中半兵衛と黒田官兵衛の出会いであった。
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