表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/83

第三十七話 手がかりを探せ!

続けてラッキータイム(個人的に)


病、難しい。







 自暴自棄なりかけの半兵衛の全体重を受けて潰されそうな寧々子はその圧迫感に苦しみと半分喜びを感じながらもどうにか半兵衛に生きる意志を取り戻させねばと思考はフル回転させる。




「は、半兵衛っ、私が、私がなんとか、病を治す方法を探すからっ、そんなに自暴自棄にならないでっ」




 寧々子がようやく発した言葉に、半兵衛はそれまで扉の方へ向けていた顔をくるりとゆっくり動かして寧々子側へと向ける。

 すると、寧々子の耳元に半兵衛の口元が当たる。




「ひゃあぅ!」

「……耳、弱いんですか」

「こら! しゃべらない変な事言わない! そんな元気があるならどく!」




 早口で抗議の言葉を口に出す寧々子に、半兵衛は「くくくっ」と肩を震わせて笑う。


 なにもおかしいこと言ってないはずなのになんで笑われているのかな!?




「人妻なのになんでそんな初心な反応しているのですか、くくくっ。いやぁからかいたくなって困りますよ」

「元気じゃないか!! ほら、どきなさい!!」




 半兵衛の体を起こすべく、半兵衛の両脇下に手をセットして「ふん」と声を出しながら上半身を持ち上げる。

 我ながら女子力の欠片もない声を出してしまったな。

 というか、わりと仮にも大の男を軽々と起こせてしまったこれは。




「私、筋肉またついた……!?」

「ぷっ、ははははは! それ姫が言うことじゃないハハハハハ。ああむりなんかハマったアハッアハハハハハハゴホゴホッ」




 体を起こした半兵衛はそのまま笑い転げ、笑いすぎて咳まで出てしまった。

 それを横目に一人で力こぶを出して確認してみると、記憶にある硬さよりも硬くなっている気がした。




「仕方ないとはいえ、このまま筋肉つくとさすがに旦那様にも怪しまれるんじゃ」

「適当に政務関連で駆け回ったらついたとでも言えばいいのでは? それなら少しは秀吉様も罪悪感でサボりが減るんじゃないですかね」

「なるほど妙案ね」




 すっかりいつもの調子を取り戻したらしい半兵衛の様子に、寧々子は優しい笑みを浮かべる。




「……ありがとうございます。みっともないところを見られてしまいましたね」

「ううん。半兵衛の寿命を削ってしまった原因全てにかは分からないけど、でも一端に必ず金ヶ崎でのこと関係あると思うから、私、病の治し方探すよ」


「寧々子殿……ありがとうございます。ちなみに僕の死因となった病はなんなのでしょうか」

「私の時代では結核と呼ばれるものだった。風邪によく似ているけど、長引いているとそれに該当するかな」


「風邪に類似する……なるほど確かに。でもちゃんと寝ていればそんなにひどくもならないので」

「今の体調ってどう?」


「だるいのと咳が時々ぐらいでしょうか。でもちゃんと休めばそれなりに落ち着きます」

「なら、まだ結核まではいっていないのかしら。だとするなら今のうちに薬を探して半兵衛にはできる限り自宅療養ね。仕事は全部旦那様に丸投げして、どうしてもなときに私が相談しにくるわ」


「そこまで徹底しなくても……」

「ダメよ。私、半兵衛に死なれては困るもの。長篠で、鳥居殿を救えたし、今度は私が、あなたが生きる未来をつくる」




 強い決意を秘めた瞳でそう語る寧々子に、半兵衛はこれはもう何を言っても聞くまいと判断して「分かりました」と了承だけした。















「とはいったものの、病かぁ。そういうのも治せる系のヒーラーみたいな能力者とかいれば一発なんだろうけどなぁ」




 あれから七日ほど、秀吉が帰還したことで暇ができやすくなった寧々子は仕事の合間に結核に関する情報を探したが、この時代だと治すことは難しいことばかり思い知らされた。




「有名な医者にアポとって聞いてみるしかないのかなぁ」

「入るよ、姉さん」




 それまでほぼ外野であった寧々子の弟・三吉が寧々子の自室を訪れて問答無用で入室してきた。




「三吉? どうしたの」

「今日は秀吉様がほとんど仕事回されていたから姉さん暇かと思って」

「相手しにきたみたいな? 出来がいい弟に感心だけど、悪いけど、今、そういうのはいらないわ」

「いや、なんで弟が常に姉のご機嫌取りみたいな扱いにされてるわけ。聞きたいことがあって来たんだよ」




 三吉はそのまま寧々子に対面するように胡坐をかきながら座り、寧々子の机に積まれた書物にチラッと目をやる。




「姉さん。最近医学書漁ってるらしいと書庫の人に聞いたんだけど、何かあった?」

「まぁ、そんなとこ」

「病気? 秀吉の奥さんて病持ちだったっけ? まぁ史実と違うこともあるか、もしなにか病があるなら少しなら力になれるかもよ」

「どういうこと?」

「え、僕、医者か公務員なれって親に言われていたじゃん」




 ・・・。


 そうだっけ。




「なにその顔。てか、姉さんだってそれ言われていたじゃん。看護師か公務員て」

「あー言われてみればそうだったような。もう親と喧嘩したときにその選択肢全部捨てたから。 ……ん? てことは医学も勉強してたの? 三吉」


「少しだけ。公務員になるなら役所かなと思っていたから医者のことを知って自分に向いているのはどちらかと判断しようかなと。材料は多い方がいいでしょう?」

「ほう。三吉死んだときっていくつだっけ」


「中三で受験期間だったから……十六歳になる前?」

「その年齢で分かることも少ないような。まぁ聞くだけ聞いてみるか。結核について詳しい?」

「ああ、結核ね」




 そんな常識だよみたいな返事されても。


 まさかの身近に病について詳しい者を発見。













読了ありがとうございます。

ブクマ・ptよろしくお願いします!


次回16日昼更新!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ