第三十三話 長篠の戦い、終結
いつもより早い投稿になります!
長篠の戦い、本戦、終幕!
今回忍者活躍回になったな。
半蔵と別れ、ひたすらに味方本陣めがけて駆けていると馬防柵が見えてきた。
まだ鉄砲隊が銃口を上にあげているので鉄砲隊と騎馬隊の戦いはまだ始まっていないようだ。
「鉄砲隊、構え!」
呑気に間に合ったと一安心したのも束の間で、織田家家臣・滝川一益が鉄砲隊へ命令する瞬間であった。
そのままの位置では弾が当たるかもしれないので左方面にズレていきつつ走っていると、秀吉の持ち場付近へと近づいていた。
そこに半兵衛とわずかな手勢しかいないことを視界で確認して、長篠名物である鉄砲隊と騎馬隊の衝突を見たかったが、気になったそちらへ寄った。
「半兵衛~!」
「――ん? ああ、おかえりなさい」
寧々子に気付いた半兵衛がこちらを向いて優しく微笑む。
「一人? 旦那様は?」
「武田軍に不審な動きがあると奇襲を警戒して軍を率いて出たのですが、私はそれを罠だと予想して止めたのです。しかし秀吉様はそうではないと僕とは違う考えを示して出ていかれました」
「それで半兵衛はここを守るために残ったのね」
「ええ。確証がないのでどちらが正しいともいえません。寧々子殿は好きに行動してかまいませんよ」
「うーん、じゃあ少しだけ馬防柵のあたりまで行ってていい? 何かあれば近くだから駆けつけられる」
「分かりました。間違って馬にけられたり流れ弾に当たったりしないでくださいね」
「ありがとう!」
こうして寧々子はようやく長篠名物を見ることができるのだった。
設楽原織田・徳川軍本陣前。
馬防柵と堀、鉄砲隊が並ぶその地では煙立つ砂埃や激しい銃声、馬の叫び声が響き渡っていた。
織田と武田の勝敗は誰がどう見ても明らかで、騎馬隊が次々に堀に落ちていく様子がうかがえる。
途中まで勢いよく走ってきても銃声を聞くと馬が暴れ出し、その時点で馬に乗っていた兵士が振り落とされたり、うまく立て直してもすぐそこに馬防柵があってそれに刺さって馬が死んでしまうことも。
あまりに一方的で悲惨な光景に、寧々子は初めて戦場に出た日のことを思い出して無意識のうちに手足が震えていた。
「――去れ」
「忠勝殿」
一人それを見ていると、本陣近くで家康を守るために控えていた本多忠勝がいつのまにか近くにいた。
言葉はぶっきらぼうだが、目を見れば心配していることがわかる。
優しい目だった。
それに少し安心したのか、手足の震えが止まった。
「――辛くなるだけだ」
「忠勝殿は平気なのですか?」
「――時代の終わりを、感じた。これよりは恐らく武士は衰退していく」
「今日はいつもに比べると饒舌ぎみですね。ちょっと、いや、確かにあまり見ていられるものじゃないですけど、戦場にこれからも身を置く以上は慣れなくては」
「――戦は慣れてはいけない」
短い言葉だったが、忠勝の言葉は重かった。
「鉄砲撃ち止め!」
遠くから今度は明智光秀の制止の声が聞こえてきた。
どうやら武田軍をあらかた片付けたようだ。
「――某は行く」
「はい。ありがとうございました」
忠勝が行くのを見届けると一人の兵士が寧々子に向かっていた。
「治殿ですか!? 竹中様が呼んでいます。不審な動きをしていた武田軍が陽動でやはり竹中様の持ち場のあたりまで戻ってきて攻められています!」
「おっと。ではそろそろ私の出番かね。了解です」
伝令兵と共に寧々子は半兵衛の加勢をしに持ち場へと戻っていった。
戻ると、半兵衛がわずかな手勢でなんとか武田軍をさばいていた。
寧々子が戻ったことに気付くと、表情がパァッと明るくなる。
仮にも上司の妻が来て「助かったー!」という顔をするのはいかがなものだ。
私そんなに強くないはずなんだけどな。
「いやぁ~! これで秀吉様が戻る前に片が付きそうです。そしたら秀吉様を完膚なきまでにギャフンと言わせられますね」
「ギャフンと言わせたかったんだ。まぁ旦那の不始末を拭うのも妻の役目ってことで」
寧々子は持っていた槍を構えて前に出ると一薙ぎする。
数名の武田軍がそれだけで振り払われる。
「――すぐに片そう」
先程設楽原中央でビビっていたとは思えぬ身のこなしぶりで襲い掛かる武田軍を蹴散らしていった。
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