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第三十二話 また会ったね

忍びの争いが続いてます。


影の存在なのにめっちゃ日の目見てる!





 ワープを使い、奇襲先であった長篠城付近から一気に設楽原に飛んだ寧々子と服部半蔵。


 設楽原上空に突如現れた二人はそのまま真下へ落下していく。




「またかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「お嬢ちゃんッ!」




 今度は体を受け止めてくれそうな木や草は一切なしの戦場に落下途中なため、なんとか受け身をとらねばと高速で体制を考えていたが、側にいた半蔵が寧々子をお姫様抱っこする。




「紳士」

「それが本当の俺っちだよ! 見直した!?」

「少し」

「少しかよ!」

「ところで何をして奇襲を成功させたわけ!?」

「それはぁ!」




 半蔵が答えを言う前に二人は地上へ足が着く。


 ドカン! と、戦場にひと際大きな音と衝撃波が広がり、近くにいた兵士たちは飛ばされていく。




「信じさせない、だ」




 着地と同時にキメ顔で答えを発する。

 落下成功に感嘆したのか、半蔵の答えに感嘆したのか、寧々子は「ほぉ……」とどっちともいえる声を漏らす。


 着地の衝撃波によって二人の周辺に発生した砂煙がだんだん落ち着いてくると、目の前に短刀を構えて身を庇うように立っている者がいた。




「やぁ。昨晩ぶり。板のお姉さん」




 のちの真田昌幸である武藤喜兵衛に仕える忍び・猿飛佐助であった。


 佐助は声をかけてきた声主が半蔵であることを認識すると、




「――殺す」




 ただ一言それだけを発して音もなく二人に短刀で斬りかかってくる。




「おっと」




 半蔵は背後に大きく跳ぶことによってそれをギリギリでかわす。


 眼前まで刃の切っ先がきたのを見た寧々子は「ヒェッ」と声を漏らす。


 半蔵はそのまま寧々子を宙に高く投げ、佐助の二撃目を素早く抜いた短刀で受ける。


 キン。

 金属のぶつかる音が響く。


 そのまま二人の忍びは高速で斬り合いをするもお互い一歩も引かず。

 先に切り上げたのは半蔵。

 佐助の刀を弾き、宙に投げていた寧々子を回収してまた距離をとるために後ろに下がる。




「半蔵~!」

「ごめんよ、お嬢ちゃん。怖い思いさせ――」

「あなた戦えるのね!」

「お嬢ちゃん、長篠城で俺と信玄の弟が斬り合ったの、見てたよね!?」




 茶番劇を繰り広げながら寧々子は半蔵の手を下りて近くにあった、先に落ちて地面に突き刺さっていた自身の槍を抜き、構える。




「あれが猿飛佐助? 全然女子に見えないし、なんかすごい殺気放ってるよ。絶対殺すって後ろに文字見える」

「もう一回脱がせれば分かるってもんだぜ」

「てめぇ……まだ挑発するかッッ!!」




 佐助の堪忍袋の緒をすでに切れているのだが、別のものも共に切った気がするくらいには殺気が強まった。




「あのクソ役立たずの家臣に嘘を吹き込みやがって。主様は、オレは、間違ったことなんて言っていないのにッッ!」

「でもあんたらが使える武田勝頼はそっちを信じたわけだ。俺っちは何も悪くないねぇ。嘘を信じたあの二人の家臣と武田当主を恨みな」

「……うーん、なんとなく話が掴めるようなないような」


「俺っちが説明するよん!

 まず板の姉ちゃんが織田で見た事実を報告。それを受けて武藤自身または彼含む古参の家臣たちが奇襲を防ぐための案を勝頼へ奏上する。これは当たり前の筋書きだろう。

 だが、勝頼は古参の言葉より新参者である跡部と長坂を主に信じている。軍師殿はこれに思い当たり、賭けたんだ。

 跡部と長坂に武田兵として接触して武藤や古参の一部家臣に怪しい動きがある、とだけ告げた。あとはこのとおり~!」




 事実の情報を嘘だと信じ込ませる。

 それが、半兵衛が半蔵に化した策だった。


 そして奇襲が成功したということは、見事に勝頼は跡部と長坂を信じ、まんまと追い込まれているわけだ。




「戦は数でするだけじゃない。頭でもするもんだ。そのために俺っち達みたいな存在がいる。そうだろう?」




 佐助をさらに煽るように告げる半蔵に、佐助は鋭い目つきで睨む。

 言っていることは正論なのだが、今は何を言っても相手の神経を逆なですることしかできないだろう。




「お前の言うことは最も。主様を信じてくださらなかった当主が、オレは嫌いだ」

「だが、主命とあらば家臣は従わざるを得ないし、忍びもそれに準ずるまで。まぁ、人を見る目がなかったってことだね~」

「――お前をここで仕留める。お前は今後絶対に主様にとって害となる」

「――それはこちらの台詞」




 それまでへらへらした態度でいた半蔵が、佐助の言葉に気配を鋭くした。

 完全に外野状態の寧々子はどうしようかと考えていると、佐助の背後から馬の音が複数聞こえてきた。




「お嬢ちゃん。こいつは俺っちに任せて軍師殿の元へ戻りな」

「分かった」




 余計な心配や掛け声はせず、寧々子は一つ返事だけしてそこを走り去った。




「……お前、さっきからあの兵を “ お嬢ちゃん ” とまるで女子であるかのように言っているが、あれは男ではないのか」

「気になるなら俺があんたにしたように確かめればいいんじゃない?」

「――下衆が」




 佐助は毒を吐くように告げると、また音もなく地を蹴った。

 半蔵も同じタイミングで地を蹴る。


 身を隠す草木もない戦場の真っ只中で、二人の忍びが殺し合いを始めた。


読了ありがとうございます。

ブクマ・ptありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします!


主役が忍者になりがちですが、そろそろメインキャストにも出番を!!



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