第三十一話 奇襲の成否
一行目から戦の空気感ゼロ(笑)
「ほんっっっっっっっっっっっっっっっっっっっとにごめん!!」
地面に正座して合わせた両手を上にあげ頭を下げる男と、おぞましいものを見るような目で男を見下す二人の男女。
三人の大人たちは林の中にいた。
これから酒井忠次率いる織田・徳川奇襲軍が武田へ奇襲するための作戦を決行するところであった。
寧々子はそれに内緒で紛れ込み、同伴する予定で半兵衛はそれの見送りにきていた。
「――私をギャフンと言わせるつもりだったのでは?」
「俺っちがギャフンですわ……」
「なにかあったの?」
「いやぁ猿飛佐助が実は女だったと知って……」
「「女!?!?」」
半蔵が任務失敗したことも焦るが、あの有名な忍びが実は女性であるという事実にも大層驚く。
この世界の忍びは半蔵といい、予想外なところを攻めてくるな。
これは越後の上杉謙信も実は女である可能性が高いような気がしてきた。
「でも情報が漏洩したとなると、このまま決行するの危険じゃない? 半兵衛」
「そうですね。少なくとも成功とまでは……いや」
半兵衛が少し悩む素振りを見せたあと、何かいいことを思いついたかのように表情をパッと明るくさせる。
「半蔵殿、汚名返上の機会がさっそくきましたよ」
「へっ?」
そういって半兵衛は半蔵になにか耳打ちしだす。
半蔵はそれを聞きながらうなずいたり表情を怪訝そうにしたり考えるものになったり最後には明るくとコロコロ変化させた。
「なるほどね。今の武田なら成功するかもねぇ」
「肝心なのは側近二人の耳に入れることですよ」
「承知。任せときなっ!」
生き生きと返事をしたあと、半蔵は素早くその場を駆けだしていった。
「なんて言ったの?」
「ふふ。寧々子殿はこのまま酒井殿について戦へ参加してください。きっと奇襲は成功します。しなかったらあの忍びは無能決定です」
「辛辣だね……」
半兵衛の未来視の事もあるしこのままで大丈夫か心配ではあるが、言う通りに大人しく酒井軍についていったのだった。
――結果。
酒井忠次率いる奇襲軍は無事、長篠城を包囲するために築かれた鳶ヶ巣山砦を全て制圧。
奇襲から一日立たずに長篠城救援を見事に果たした。
元々武田の主力は設楽原にいるため、長篠城付近にはわずかな兵しかいなかったのでとくに激戦になることもなく終えた。
「奇襲がうまくいったということは半蔵、成功したのね。でも何をしたのかしら?」
一人、小声でつぶやいていると後ろから肩を叩かれた。
「お嬢ちゃん」
「その呼び方半蔵!? なに兵士になってるの」
「軍師殿に頼まれたことを実行したあとそのまま酒井軍に紛れていたのさ。そしてお迎え。お嬢ちゃんが持ってる道具で設楽原にひとっとびしてっ」
「移動を楽したいだけじゃないの」
「部下からの連絡によれば設楽原も戦況が動いてる」
「すぐ行こう。あ、でもワープするにはねねさまが起きないといけない……」
「ああ、そのままだと起こせないんだっけ。まぁお嬢ちゃん以外にいないか。影を脱ぐよ」
そういうと半蔵はなにかを払う仕草を取る。
すると、
“ むっ!? なんじゃ。昨晩からよく眠れていたのに急に妨害されておる ”
「おはようねねさま。さっそくなんだけどワープして」
“ ええい。人使いの荒い未来人じゃ。こんな起こされ方するくらいなら今度からチャンと呼べるよう計らってやる ”
「最初からそうしてよね。ほらほら」
生意気な、と悪態つきつつもねねさまはすぐにワープするために力を使ってくれた。
次に視界に映ったのは、設楽原で武田がまさに織田・徳川へ騎馬隊を用いて攻めに行こうとする直前であった。
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いよいよ長篠の戦い本番か!?(予定)




