第十九話 武田勝頼
昨日あげた十八話に細かな手直しが入っております。
真田兄弟、長篠の戦い時点ではまだまだ少年でした。勉強不足申し訳ないです。
俺の名は武田勝頼。
戦国最強とされる武田騎馬隊を従える、風林火山の軍略で名高い武田信玄の息子だ。
三年前に父・信玄が亡くなり、家督を継いだ。
しかし父の遺言により、父が亡くなったことは死後三年間秘匿することとなっている。
そして天正三年、信玄の死から三年の月日が経過していた。
「三河を攻める」
俺はそれを決意し、家臣たちに告げた。
この決意に至るまでに我が武田は徳川領に侵入し、明智城と高天神城を陥落させて城将・を降し、東遠江をほぼ平定した。
さらにその数か月後、天竜川を挟んで家康と対陣、その後家康の居城・浜松城に迫り、浜松城下を放火した。
ここまでやれば武田の勝利は揺るぎようがない。
あの織田信長もこれまで徳川に一切の援軍を送っていない。
織田信長がいない徳川家康など恐るるにあらず。
「確かに、約二年前に徳川へ降った奥平親子への鉄槌を下すときがきたということでしょうな」
「であろう!?」
家臣の一人が俺の意見に同調する。
しかし比較的武田の古株にあたる家臣たちは皆難色を示している。
「俺の意に賛同せぬ者はなにが不満なのだ? 東遠江を制し、家康の居城目前まで迫った今がまたとない好機であろう! さらには織田が万が一援軍を送ったとしても織田家臣の一人・佐久間が裏切る手筈となっている。それも真田に調べさせ、報告では嘘をついている様子もないというではないか」
「そうですとも。老将の皆々様、ここは武田の新当主様に大きな功績を一つあげる好機。信玄様がおらずとも武田は戦国最強であることを天下に知らしめるのです」
先程俺の意見に賛同を示した比較的新参者である家臣より強い演説を受け、難色を示していた者たちも一理あると言わんばかりの反応を示している。
あとは俺が命ずるだけだ。
「命令だ。徳川との決着をつける。支度をせよ!!」
「はっ」
「……はっ」
一瞬反応が遅れた者もいたが、当主の決定である以上は逆らえない。
これでようやく長きにわたる徳川との因縁に決着がつけられる。
我が武田を裏切り、徳川へ降った奥平親子にも後悔させてくれる。
こうして俺は、武田の主力含む一万五千の軍を率いて徳川領である三河へ侵攻した。
道中の町や村を荒らしては焼き、真っ先に奥平親子のいる長篠城へと向かう。
「とうとう着いたぞ、長篠城。待っていろ、奥平貞昌!! 今すぐお前の首を取ってくれる!! 進めー!」
「おおーー!」
俺の一声を皮切りに戦開始の報せである法螺貝の音が響き渡る。
武田軍一万五千、長篠城に駐在する徳川軍は五百。
その程度の寡兵など、すぐに蹴散らしてくれる。
奥平貞昌の次は、徳川家康。
貴様だ。
三方ヶ原で父・信玄に手痛い敗北を喫したにも関わらず、これまで生き永らえてきた。
父が成せなかったことを俺が成し遂げ、天下人として父以上に名を上げてみせる。
父よ、どうか見ていてくだされ。
俺が武田を大きくし、あなたが成せなかった上洛を果たし、天下統一を成しましょう。
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