第十七話 始めの準備
だんだん本戦へと繋がってくるようになってきました。
やはり盛り上がり部分を書いていくのが楽しいですね。
ヒュン――――――――――ガサガサガサガサッ。
岐阜城のとある武家屋敷にその音は響き渡った。
家康の前から消えた寧々子がそのまま秀吉と半兵衛がいる岐阜城の秀吉に与えられた武家屋敷の庭へと落ちたのだ。
音を聞きつけて近くにいた三吉と半兵衛が真っ先に駆け寄ってくる。
「なんの音!? ……姉さ、おねねさま!?」
「これはこれは随分派手な帰還ですね」
「…………そういう設定じゃないの」
寧々子はうまい形で木の枝に服が引っかかってぶら下がっていた。
頭や体にはたくさんの葉がついている。
「空間と空間を繋げているだけなので、着地は本人の腕次第ということなんですね」
「実験体にしたわね半兵衛! 主の嫁をもっと敬いなさい!!」
中身が本物のおねねさまではなく、未来人であると知れてからより扱いに問題がある気がする。
これは抗議し続けていかなければ。
「それで守備はいかがでしたか?」
「半兵衛さん、その前に姉を木から下ろしませんか?」
「この場にまともな発言をしてくれる存在がいて助かった……」
三吉と半兵衛は寧々子を木からゆっくりと下した。
そこまでしてもらったあとに寧々子は秀吉が現れないことを不審に思う。
「旦那様は?」
「今は信長様の元に行ってるよ。また招集されたそうで」
三吉の返事に寧々子は安堵の表情を浮かべる。
「それは不幸中の幸い。こんなところ見られたらなんて説明すればいいか」
「あまり頻繁に使わないことと受け身をうまくとれるように練習あるのみですね」
他人事のように半兵衛が言うのを白い目で見る寧々子。
それを流しつつ先程の問いを再び寧々子へ投げかける半兵衛。
「いい報告よ。これを」
「これは家康殿の書状? ……援軍要請。なるほど、寧々子殿が言う長篠の戦い、具体的にはきっともう始まっているのですね」
「家康様の元へ行って私もそれを考えました。この徳川と武田の小競り合いの果てに長篠の戦いがある。現に、今取り合っているのは明智城と高天神城ですが」
「その近くに長篠城がある。ここには確か最近、家康殿の策で武田を裏切り徳川へ降った奥平貞昌親子が配置されているはずです」
「明智城と高天神城が奪われたらいよいよこの長篠城が最前線となるわけね」
「ええ。そして歴史に名高い戦が起きる、という流れでしょう。 ……家康殿はまだこの二か所を奪われていないのですね?」
「まだ耐えていたわ」
寧々子の返事を聞くと、半兵衛は考え込む。
しばらくそのままでいるとふいにバッと半兵衛が顔を上げた。
「今度は佐吉殿が家康殿の元へ行って伝言をお願いします」
「えっ」
「伝言はこうです。明智城と高天神城、この二か所をうまく敵へ渡してください」
「あえてあげるのですか? 武田へ?」
「はい。そして、その後再び援軍要請の書状を書いてもらってそれを受け取ってから佐吉殿は帰還してください。あ、行き帰りは馬でお願いします」
「姉との扱いの差!!」
三吉への扱いを見るとまだ自分は優しい方なのか? と一瞬歓喜してニヤニヤする寧々子。
不服ではあるものの、ワープで帰還するために必要なねねさまの手が三吉にはないので仕方ないと受け入れてさっそく出立の準備をするために走る。
「僕は佐久間殿の元へ行き、長篠城付近の情報収集をさせます。佐久間殿の情報、家康殿の書状、この二点を以て再び信長へ例の案を秀吉様へ提出させます」
「家康様の書状だけで十分では?」
「いえ、佐久間殿に信長の命令なしで動かせることに意味があるのです。まぁ後で分かるときがきますよ」
そう言うと半兵衛はニヤリと不敵に笑った。
読了ありがとうございます。
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次回、信長は動くのか!?




