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5. 大小ゴロゴロミートボールパスタ


本日の気まぐれご飯はミートボールパスタである。

そう、知る人ぞ知るル○ン飯。


年に最低一回は地上波で放映されている気がする国民的(?)泥棒のあのご飯である。

ピンとこない方はごめんね、でも美味しいからお気になさらず!


私はあれを見て、食べたい…!と思いたち居ても立ってもいられず速攻自作してみた国民の一人だ。

居るだろう?作った人。

分かる、分かるよ!

ミートソースよりも目が幸せなんだよ、ミートボールパスタは!


当店のミートボールパスタは牛豚合挽き。

みじん切りにした玉ねぎは火を通さずにそのまま混ぜるのがポイント。食べたときに玉ねぎがシャクッとするのが良いんです。

大小ゴロゴロと謳っているのは、多分それぞれ若干大きさ違う気がするから。

大雑把でごめんなさい。

一応大きさと数は配分気をつけながら盛り付けております。


肝心のソースは玉ねぎの甘みを最大限出せるよう原型無くなるくらいクツクツ煮込んだ上に、トマトやブイヨン、はちみつ…あとは企業秘密さ!


パセリを散らしたら…なんてことでしょう、

赤と緑のコントラストが食欲をそそられます。


付け合せはしつこい程に語ってしまったさつまいも君。

〜プチトマトを添えて〜

玉ねぎの甘さを活かしたオニオンスープもお召し上がり下さい…っと。



「お待たせいたしました…。今日はさつまいもなんです」


「え?」


「ごゆっくりお召し上がり下さーい」


ポテサラ君にお届けする際に一言付け加えて、食べている反応は見たいけど…さすがにそれは失礼か。

厨房に戻り客席を見回す。

本日もランチタイムは盛況です。


たまにカウンター席のお客様から、「うまいね、この肉団子!」なんて声をらかけられつつ。


懸念していたさつまいも問題(甘いのにおかず?サラダ?イヤー!問題ね)もお客様のお残し状況を見る限り大丈夫なようだ。

意外と癖になるんだよね、甘じょっぱいのって。



「お会計お願いします」


「はーい、900円です」


千円札を渡され、百円のおつりをレジから出しつつテーブルチェック。

ポテサラ君も大盛りパスタも付け合わせもキレイに完食してくれたご様子。良かった。


「100円のお返しです。いつもありがとうございます」


「……うまかったです」


おつりを渡しつつ貴重な常連さんにお礼を伝えると、すごーく小さめの声で感想もいただきました!

シャイか!照れているのかポテサラ君!


「ありがとうございます!またいらして下さいね」


そりゃこっちはニヤけますよ。

美味しいって言われたら嬉しいものです。

ポテサラ君は小さく会釈して帰って行った。

午後もお仕事頑張れー!


こうして嬉しい事があるお仕事は、心が満たされる。


…会社員時代は、あまり嬉しい事とか無かった。

粛々と仕事をして、パソコンを見つめていた。

隣のデスクの同僚も先輩も、悪い人じゃ無かったけれどお互い妙に線を引いていたような気がする。

誰が出世したとか、仕事の失敗を誰かのせいにしたりだとか。

仲が悪いわけでは無いのに、ふとした拍子にそんな話題がよく出でくる職場で、モヤモヤとしたはっきりしない不快感が胸の奥にいつも在った。

誰かと比べないといけないのだろうか。

自分が上とか下とか、決めないと居られないのだろうか。

何故、女だからって…


「おっと!」


厨房で思わず大き目の声を挙げた私に、カウンター席のお客様が驚いて顔を上げた。


「失礼いたしましたー!」


笑って誤魔化すと、お客様もそれ以降は気にせず食事を続けた。

いかんいかん。

悪い事を考えたらご飯は美味しくなくなってしまう。

『ご飯は愛情が隠し味』なんて言うわけではないけど、やっぱり晴れた気持ちで作ったものをお客様には食べていただきたい。

そのために私は、春眠亭を始めたのだから。


美味しいものを食べると、幸せな気持ちになる。

小さな幸せだけど、それって凄い事だ。

自分が誰かを幸せにできるって凄い事だ。

そんな私は幸せだ。






カラカラカラ!

勢いよく引き戸が開かれて3人のお客様が入店。

あ、初日の四人掛テーブルのポテサラ君組じゃない方の方々だ。


「お姉さん、まだランチあるー?」


「ありますよー!今日はパスタなのでおかわりないけど大盛り無料でーす」


「大盛り3つ!」


「はーい!少々お待ちください」


「昼飯の時間ずれる事が重なってさ、売り切れましたって黒板何回も見てたんだよー!やっと来れたよ」


「あー、ありがとうございます!来ていただいのに申し訳ないです」


嬉しい言葉に厨房から返事をするも、足を運んでもらったのに閉店してるとか申し訳ない…。


「大丈夫だって!俺らのタイミングが悪いんだよなぁ」

ワハハと笑いながら、会釈を返した私にフォローまで入れてくれる3人組。

よし、美味しく食べていただこう。


きっとル○ン飯を知ってる層な気がする。

喜んでもらえるだろう。





小さなお店の、それぞれの話し声笑い声とカチャカチャと小さな食器の音。



改めて幸せを噛みしめたミートボールパスタの日。



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