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33 . 辛いそぼろ


ザー

ザー

ザー




雨が強い。

風が強い。

台風が直撃。

そんな日曜日。

そう、私の休日です。

朝方から雨の音で目を覚まし、せっかくのお休みなのにとぐずりつつ二度寝。

起きてテレビを見ても『不要不急の外出は控えてください』って言ってる訳だけど、勤労な日本人にはその呼びかけって無駄なの知ってるか?って言ってあげたい。

むしろ政府が『危ないから皆お休みしてね!』って言ってほしい。


今は自営業な私だから、もしこれが平日ならお休みにしちゃうけど、以前のように企業に勤めてたら普通に駅に行って、電車止まったらバスに乗り換えてっていう感じて会社に行っただろう。

会社も『台風だからお休みね』とかならないんだなぁこれが。


公共交通機関が停止して帰れなくなったら、ただひたすら大混雑の駅で待つか、会社に泊まるか、自腹でタクシーもしくはビジネスホテル泊まるんだぜ?

どうかしてるぜ!

日本人はドM民族なんだと心の中でひっそり思う。


でもなぁ、今は自由だからこんな事思うけど、実際会社員なんてものやってると、当たり前の事として受け入れちゃうんだよね。

融通効かなくて真面目過ぎて損してる日本人、愛しくもある。



「さて」


ボーッと窓の外を眺めていても仕方がないので、冷蔵庫を充実させようと思います。

台風くるって予報だったので、昨日の仕事終わりにスーパー寄って買い物済だぜ!

今日は引きこもるんだぜ!





******






パタッと冷蔵庫を開け、昨日買ったひき肉を取り出す。

よく使う豚さんと牛さんの合挽きです。

そして、長ネギ。

長ネギは上の緑色部分があれば、そちらを使います。

ただし、よく洗ってね。

汚いからって捨てがちな部分ではあるんだけど、時間があればキレイに洗って使うのだ。

先端から中に土や小虫が入ってたりするから、すぐに輪切りにせずに包丁で開いてからさらに洗って、刻むのが私流ワタシリュウです。

みじん切りにしたら準備オッケー。


フライパンにごま油、油が温まったらニンニクチューブ!

…いや、本当はニンニク刻んでやるのが正しいけど、正直そんなたくさんニンニクって使わないし、刻むと手が臭いし、何より面倒臭いし。

良いじゃん家ごはんくらい!ってことで、よくあるニンニクのチューブです。

油はねに気をつけてニョロっと適量をフライパンへ。

そして鷹の爪。無ければ一味唐辛子でも良いよー。

そして刻んだ長ネギを投入!

ジュッと音がして、香ばしい匂いがする〜!

焦げないようにかき混ぜつつ、しんなりしたらひき肉もフライパンにどーん!

そして素早く調理酒投入。無ければ水だっていいよ。

ちなみに、先にひき肉を炒めるとパラパラにならないで塊が多くなってしまうんだよね。


あ、ちなみに水分は入れすぎないように。フライパンの底の部分を覆うくらい。

水分が蒸発しないうちに、鶏ガラスープのもとを適量。

パラパラっとね。

ひき肉は粘りが出ないように切り混ぜつつ、水分と馴染ませる。

全体に火が通ってきて、ひき肉がパラパラしてきたら、甜麺醤と豆板醤の出番。

割合とか聞かれても困るのが家庭料理である。

ちなみに甜麺醤は中華味噌的なもので、豆板醤が何か辛い美味しいヤツっていう私の認識です。

味を引き締めるのはお醤油少々。

クツクツしてる水分が全部飛ぶまで混ぜる。

茶色いおかずの完成です。


ちなみに日持ちさせたいから辛め濃いめの味付けです。

冷蔵庫で大体4日くらいはイケる、個人的な感覚だけど。

こいつは優秀で、温かいご飯にそのままのっけても良いし、冷奴や納豆に合わせても良い。

母のお弁当のオムレツにも使えるしで、辛いものが嫌いじゃなければなかなか優秀なおかずなのである。



「なーんかいいにおいー!」



リビングにいた母がパタパタとキッチンに入ってくる。


「辛いそぼろ作った」

「お腹空いたわ」

「え?食べる?」

「食べようよ!」

「うーん…」


チラリと時計に目をやると、10:50。


「時間が中途半端だ《ピピーッピピーッピピーッ》


母への意見を電子音に遮られた。

なんというか驚きのタイミングで、お米が炊けたようだ。

そういえば炊いたんだったとここで思い出す。

自然と母と私、二人の視線は炊飯器へ。



「これは神様も食べろって言ってるわ」

「…そうだね」


母のよくわからない確信に、私の食欲も便乗してしまったのは仕方がないことだと思う。





******





「いただきます」


いつもの食卓テーブルには、シンプルに小鉢。

炊きたて白米の上に、作りたて辛口そぼろを載せてある。

そぼろとご飯の接地面がほんのり赤いのが辛そうに見えて、ゴクリと唾液を飲み込んだ。


湯気のたつ小鉢を手に取り、お箸でご飯とそぼろを口に運ぶ。


炊きたての白米が熱くてハフハフしてしまう。

そしてそぼろか辛いのでさらに熱いような気になる。


「あっつ、からうま!」


自画自賛とはこのことです。


母ももぐもぐと口に含んで私の言葉に頷いているのだから、熱いけど美味しいのだろう。


「これ、上に半熟の目玉焼きとか温泉卵とか載せてもいいね」


応用編を口にすると、まだ熱いのか母は発言せずハフハフとしなから頷く。


「チーズもいいかも…」


食べながら色々春眠亭で応用できないか考えつつ、チーズなんてトロリさせて出したら、春眠亭唯一の女性の常連、矢崎さんに喜ばれつつもカロリーについてクレームを受ける様が浮かんだ。





「おかわりしていい?」

「え」


考えこんでいたらしく、あれだけ熱がって食べていた猫舌の母は、いつの間にか小鉢を空にしておかわりしたいらしい。

その表情で、とても美味しい!と言ってくれてるのが分かり、プッと吹き出してしまう。


「私のご飯で体重増えたって気にしてなかった?」

「いいの!」


笑いながら席を立ち、今度は小鉢ではなくお茶碗に白米をよそう。


「じゃあ、せっかくお互いお休みだしね、しっかり食べよ」

「ありがとー」





結局、作り置きおかずのはずが食べきりおかずになってしまったことは予想外だったけど。

また作ればいいか。




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