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23. 麻婆豆腐丼


コーヒーの香りがまだ残る店内。

今日の営業はこれからなのに、少し疲れてしまった。

最近難しいこと考えてなかったから、脳がびっくりしてるのかも知れない。老い、とは…。いやいや、まだ大丈夫、なはず!


さて、今日の気まぐれご飯は。



『メニューはこれだけ!

 本日の店主の気まぐれご飯


 麻婆豆腐丼

 ミニサラダ

 たまごスープ

 ※今日はご飯多めです※

 ※さらに大盛りも無料


 900円

 食べごたえあり!』



今日は麻婆豆腐丼。

豚挽き肉と木綿豆腐、生姜ににんにく、豆板醤、甜麺醤も少々。

お醤油と鶏ガラスープ、水溶き片栗粉と…鷹の爪。

最初にごま油を中華鍋に入れて、生姜・にんにく、挽肉を炒める。ちなみに、にんにくはすりおろして、生姜は小さくみじん切りだ。

お肉の色が変わったら、鶏ガラスープをはじめとする調味料を投入!隠し味はハチミツです。

くつくつ煮込んで木綿豆腐も入れて。

最後に水溶き片栗粉を入れたら完成。

白いホカホカご飯にたっぷりかけて召し上がれ。


ちょっと辛くてご飯が止まらない!

硬めの木綿豆腐でボリュームアップ!

食べごたえバッチリの丼である。


たまごスープは鶏ガラスープにふわふわ溶き卵が入っている、とろみのついた王道中華スープだ。

とろみのせいで全然冷めない、猫舌泣かせのスープである。

猫舌の皆様、ごめんね!


ミニサラダはレタスときゅうりとトマト。

自家製すりおろし玉ねぎドレッシングをかけてどうぞ。

ちなみに、自家製すりおろし玉ねぎドレッシングは、すりおろした玉ねぎとごま油、塩・胡椒、お醤油。お好みですり胡麻入れてもいいです。あと、ごま油をオリーブオイルに帰るだけで風味が変わって美味しいんだよね。


黒板も表に出したし、暖簾を掲げて…

さて、今日もしっかり働くぜー!







*****






カラカラカラ


「いらっしゃいませー!」

「ランチ大盛り」

「はーい少々お待ちください」


今日もなかなかの盛況ぶり。ありがとうございます!


「お待たせしました」



カラカラカラ


「いらっしゃいませ!」

「四人なんだけどいい?」

「はーい、テーブル席にどうぞ〜」


あっという間に満席になってしまった。

お冷出して、作って出す、作って出す出す作って出す。

あばばばばばば!急げ私!


カラカラカラ


「いらっしゃいませ」

「あれ?満席?」

「すみません!席があくまでお待ちいただけますか?」


と、思ったらいつもの三人組。

せっかく来てくれたのにすぐ案内できなくてごめんなさい…。

でも、多分最初に入ったお客様がそろそろ食べ終わりそうなんだよね…


「もう少しで、席が空きそうなので、まだお時間に余裕があれば…」


三人組にかけより声を潜めてお伝えする。


「まじすか、待ちます」

「ちょっと待って下さいね」


予備のパイプ椅子を入り口側に持っていく。


「これに掛けてお待ちいただけますか?」

「はーい!ちなみに俺ら三人大盛りでお願いします!」

「かしこまりました!」


店内の様子を見回しながら、厨房に戻る。

すばやく提供出来るようにやれる準備だけはしておかないと!


「お会計お願いします」

「はーい!」


お会計のタイミングって何故か重なるよね。

何でだろうか。

お一人様が三組、次々とお会計をしていったのでカウンター席が空いた。

すばやくカウンターを片付けて入り口の三人組に声をかける。


「カウンター席でも良いですか?」

「全然オッケーです」

「では、どうぞ〜」



どんぶりに大盛りご飯、その上に麻婆豆腐。

白髪ねぎを添えて、と。


「お待たせいたしましたー!」


どん

どん

どん

と、三人の前にどんぶり、スープ、サラダの載ったお盆を置いていく。


「「「いただきまーす」」」

「はーい、お召し上がり下さい」


三人は相変わらず元気である。

入り口でお待たせしてしまったのにも関わらず、気分を害した様子もなくバクバクとご飯を食べている。

…なんてありがたいお客様。


「うまー。俺、麻婆豆腐って混ぜるだけのレトルトしか食べたことないわ」

「意外と食べないよな、麻婆豆腐。そもそもどうやって作るんだ?」

「…俺はコンビニでたまに買う」


ワイワイとカウンター席でいつもの様に話し出す三人組。

…本当に仲いいな。



「すいませーんお会計ー」

「はーい」


お会計対応を済ませて厨房に戻ると、カウンター席の三人組はかなり食べ進んでいた。

食べるのはやい。


「…店長さん」

「はい、どうされました?」


珍しい、というか初めてチベスナ君から呼びかけられた。

いつも彼は相槌をうつとか、会話の合間に少し入ってくるくらいなのに。

メガネ君もミート兄貴も、チベスナ君を珍しそうに見ている。


「…この、ドレッシングすごくうまいです」

「え?あ…、ありがとうございます。自家製なんですよ」

「…そうなんですね、すごくうまいです」

「ありがとうございます」


いや、ありがたいけど、褒めるの下手か。

『すごくうまい』二度言ってくれてありがとう。


「はは、確かにドレッシングうまいよなー。これ肉にかかっててもいいよな」

「あー、分かる。食欲増す系の味してる」


話に入ってきたミート兄貴とメガネ君。

なるほど、そういう意見大事。

今度家でやってみて、イケそうならメニューに採用だ。


「ありがとうございます、ちょっと他に流用できないかやってみます」

「え!本当に?メニューになっちゃうかも?」

「はい、もしかしたら」

「おおー楽しみっす!」

「…楽しみ」


チベスナ君、ドレッシング相当気に入ってくれたんだね。

ありがとうございます。

油が市販のドレッシングに比べて強くないのが良かったのかな?

個人的に、市販の油が強い、少し置くと油と分離しちゃうようなドレッシングは苦手だから、そこらへんは完全に私の好みである。

ドレッシングひとつにしても、好みって分かれるよね。

自分好みのものを気に入ってもらえることは非常に嬉しいことである。


…電動のすりおろし器買おうかな。

手動はやっぱりツライ。



そんなことを考えつつ

本日も平和に過ぎていくのであった、まる






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