#2 冒険者ギルド
しばらく歩いて、あることを思いついた。
「あ、魔法使ってみよ」
手のひらを前に出し、炎を出すイメージをしてみる。
「こんな感じか?」
微かに、手のひらに温かみを感じ始めてきた。その途端、手からボワァッと炎が放出された。
「うおっ、すげぇ」
他の属性も試し、同じようにできることが分かった。
「ふー、初めての割にはできたほうかな?よし、人がいる街を目指すぞ~」
といい、俺はまた歩き出した。
******
歩きながら、スキルの能力を確認しておくか。
俺は、スキルの鑑定を使い自らのスキルを鑑定していく。
『無詠唱』:魔法やスキルを声に出さず発動する。
『詠唱実現』:放った詠唱の通りになる。
『精神攻撃無効』:精神的な攻撃が効かない。
『状態異常無効』:状態異常にならない。
『無限収納』:アイテムを無限に収納できる。
「って、結構チートなんだな、俺。」
詠唱実現ってのは、虎を倒した時の奴か。ていうか、このチート具合はあの虎を倒しただけじゃならないだろう。
(おそらく、神、か)
そんなことを考えながら何時間か歩いていると、前方に巨大な壁が見えてきた。
「進撃の…おっと誰か来たようだ」
なんて言いながらその壁の入り口に進む。
入り口の両端には、槍を持った門番がいた。
「おい、ギルドカードを出せ」
は?なんだそれ
「何をしている。早くしろ」
「あの、持ってないです」
「そうだったのか、ならば入国金を払え。金貨2枚だ」
「すみません。持ってないです。」
「な、なにをしにお前はここに来たんだ。よしじゃあギルドに行きギルドカードを作ってもらえ。種類は何でもいい。だが30分以内にだ。そうしなければお前を牢屋へぶち込む」
「お、おう。わかった。すぐに持ってくる」
やべ、急がねえと。
俺は猛ダッシュでギルドを探す。
しばらく走り『冒険者ギルド』という看板が置いてある建物を発見した。
「ここでいいか…」
キィー…
建物のドアを開ける。するとそこには、身に防具をまとった人間たちがいた。他にも耳のとがっているものや、ケモ耳のものもいるが、『人間』でまとめさせてもらう。
俺は感心しながら、受付へと進んだ。
「すいません、ギルドカードの発行いいですか?」
「はい、初めてですか?」
「はい」
「それでは確認のため、この水晶に手を置いてください」
「なんですか。これは。」
「登録されている方の記録帳のようなものです。既に登録されていると赤に光ります」
当然登録なんてしていないので、安心して手を置く。
「はい!確認できました。初回ですので発行は無料となります。では、こちらに血を一滴お願いします」紛失した場合は、銀貨5枚の支払いとなりますのでご注意を。
と言われ針が渡される。
「冒険者としての登録でよろしかったでしょうか。」
「はい」
(ま、いっか)
「はい!では登録が完了いたしました。」
といい、鉄の板が渡された。
「初めての登録ですので、Eランクからとなります。ランクの上げ方は主に依頼掲示板に貼ってある依頼をやっていくと、上がります」
「わかりましたありがとうございます。すみません変なこと聞くんですが、お金の単位って教えてもらえますか?」
「はい。この国での通貨は、銅貨というものが一番低くなっており、そこから10ずつ増えていくと、銀貨、金貨、白銀貨、白金貨となります。ここらの町一帯では、
同じ通貨が使用されていますのでご安心を」
「あ、ありがとうございます」
(何の疑問も持たずに教えてくれたな。こういう人も珍しくないのかな)
よし、早速あの門番に見せに行くか。
******
さっきは急いでて気にしなかったが、西洋風の建物でこの辺りはできてるっぽい。
「おい、そこの兄ちゃんこれ一本どうだ?」
突然、並んでいる中の一つの屋台の店主に止められる。
「これなんですか?」
「なにって、ゴブリンの串焼きさ」
「っ、ゴブリンってあの緑色の?」
「あったりまえよ!今ならおまけで5本で銅貨5枚だが、買うか?」
「悪い、今ちょうど無一文なんだ」
「おう、そりゃあ運が悪かったな。じゃあまたの機会にでも買ってくれよ」
「ああ。」
今の話で通貨の単位が大体わかってきた気がする。日本じゃ屋台の串焼きって、大体200円くらいだろ?
気のいい店主だったら、そこを100円くらいにしてくれるはずだ。そしてそいつを5本買ったらどうなる?そう、5百円だ。
つまり、おまけしてくれた串焼きが5本で銅貨5枚だったら、銅貨1枚が大体日本円でいう100円ってことだ。
そこから10ずつ上がっていく、そうすると必然的に、銀貨1枚=1000円、金貨1枚=10000円、白銀貨1枚=100000円、白金貨1枚=1000000円ってことになる。
「ふぅ、なんだかすっきりしたぜ。」
******
「よし、確認した。入国を許可する…何ニヤニヤしているんだ?」
「フフ…ああ!いや、何でもない」
「そ、そうか?」
「ああ、そ、それより、金がないんだがどうすればいい?」
「…金か…日が暮れるまで時間もあることだし、せっかく冒険者なんだから掲示板の依頼でも受けたらどうだ?」
「ああ、そうだな。そうしてみる。ありがとう」
「ああ。」
そうして俺は掲示板まで向かうことにした。