私が黒い血を吐いた理由
私の朝の行動はいつも同じ。
何度も鳴り響く目覚ましのスヌーズと戦い、目を覚ますとトイレに直行。
それが終わると、朝食。
朝食もいつも同じメニュー。
甘い菓子パンひと袋で、脳にブドウ糖を送り、コーヒーで完全覚醒。
残ったコーヒーでタバコを吹かし、テレビで天気予報と占いのチェックだ。
タバコを消すと、出掛ける準備。
歯磨き、寝癖を直し、服を着替え、バイクにまたがり会社に、ゴー!!
休日以外は毎日同じ。なんの事は無い、いつもの日常だ。
だがある日、その日常は狂わされた。
その日も、いつものように、目覚ましと戦い、トイレに食事、コーヒー片手にタバコを吹かした。
ここまではよかった。
いつものように歯を磨き、ガラガラ、ペッ!
「え……?」
歯を磨き、口に含んだ水を吐き出すと、水は黒かった。
「コーヒーのせい? いや、毎日飲んでいるけど、こんな色じゃない。じゃあ……血?」
私は考えた。血の可能性。たまに歯磨きをした時には、歯茎を傷付けたのか血が混ざる。吐き出した水は歯磨き粉の白と混ざりピンクに色付く。
だが私が吐き出した水は黒い。歯磨き粉と混ざって灰色になっているが、それは混ざったからであって元は黒。私の血は黒いのか?
「そんなわけない!」
私は微かな可能性を便り、歯磨き粉のチューブを見る。
残念ながら、炭の入った黒い歯磨き粉では無かった。
私の血が黒い……決定だ。
血が黒くなる病気? だとすれば、食生活が悪いのか? いや、外食も少ないし、家族と同じ物を食べているから大丈夫なはず。
となると、原因不明の病。血がここまで黒いなら私の余命は……
その時、歯ブラシを握りしめたまま立っていた私の心臓は高鳴り、視界が端から黒くなり、狭くなっていった。
そして、走馬灯……
ん? 待て待て! 逆回し!!
「な~んだ。そういうことか」
吐き出した水が黒かった謎の解けた私は、いつもの日常に戻っていった。
その日、私はいつもの行動をひとつだけ変えていた。
甘い菓子パンの変わりに、お菓子の「オレオ」を一袋食べていたのだ。
皆さんも「オレオ」を食べた後の歯磨き、うがいは気を付けてください。口に残った黒い「オレオ」は吐き出した水を黒く変色させます。忘れていると驚きますからね。
おしまい。
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