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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
5章 今日も周囲も人間関係もゴタゴタしていますが、国内の紛争やら暗殺やらで物騒な最中、恋人が出来て戸惑いつつも鑑賞致します。
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閑話 とある港町カモーリに居る、兵士のつぶやき。

今回は短めです。

 Side.とある兵士のつぶやき。



「そっち何体だー?」


「ばっか、数体のワケねーッス」


「シカタネーだろ、こっちは現場に居なかったしがない文官だぜ?現場の状況なんて知らねーから。頼むから文句言わないで数だけ教えてくれよ~」



 俺達は普通じゃない会話をしている。

 その会話を横目に、死体の数を…かぞ、数えられるのか?

 因みに、文官は死体を見ないように顔を背けている。

 おいおい、仕事だろ?と同僚の一人が言うと、「吐く。しかも手に持った大事な書類に」と脅迫?めいた台詞を言うので、仕方なく現場に居た俺達兵士が数を数える事になった。



「こういった仕事ってさぁ、俺達の仕事じゃあなくね?」


「今は人が足りないからさぁ、文句言うなってー」



 因みに、死体と言っても人間の遺体だけでは無い。

 と言うか、遺体以外の魔物の遺体がかなりの数混ざっている。

 どさくさに紛れて襲って来たのかと思ったが、其処のトコロは良くわからない。俺達兵士には知らされて居ないから仕方がない。


「なぁ、何故こんなに魔物の死体が混じっている?」


 そこら中に転がっているのは何故?と文官が聞いてくるが、誰も答えられない。


「それはコッチが聞きたいっスヨ!」


 仕方がないので俺が答える。


「現場に居たヤツは?」


「ジーニアス・アルセーヌ・ガルニエ男爵とそのコンビの…あー何て名前だったっけ?すっげー強いけど、騎士なのに剣使わないで蹴り技炸裂しちゃう非常識な強さの人ッス」


「成程、コリンさんか」


 俺の拙い説明でコリンさんってわかってしまうのも結構凄い気がする。でもアノ人ぐらいだからなぁ、この町で武器を使わないで、ほぼ蹴り技で戦況を圧勝してしまう人って。

 同じく鬼神と呼ばれているガルニエ様は近衛兵なのに何故か両手剣を片手で使って振り回しているって、両手剣って結構重い筈なのだが。それに噂だとガルニエ様の両手剣は30キロ以上の重量があると聞いたが、それを軽々と片手で振り回すってどれだけ…。

 鬼神って異名は伊達では無いってコトなのかね?

 と言うより、第二王子の近衛兵、下手するとこの国の王太子より腕節がやたら強いのが揃ってないッスか?あ、一人見習いだった?

 下手な近衛兵より強すぎる気がするけど。おまけに足を使うから、腕節じゃ無かった。

 うーん、言っていてワケわからなくなったッス。


「そうそう、準男爵様ッスね」


「後で状況を聞きにいかないと駄目だなぁ…怖いけど」


「それ、わかるッス」


 何せ家柄でも武力でも威圧でも俺等には足元にも敵わない人達ですからね。

 凄すぎて卑屈にもなれないですよ~!

 それ以前に相手にはされていないけど。

 視界にもきっと入っていないッス。

 男前ですからねぇ、お二人とも。あ、顔ではなく性格で。いや、決してお二人のお顔がって言うわけでは無いッスよ。何せガルニエ様は遠目から見てもお近くで見ても目が潰れるって程の美麗な人で、それで性格もとても良い。何せ俺達の意見をちゃんと聞いてくれるって言う人ッスからね。普通お貴族様は俺等庶民の其処らに居る兵士の言葉等聞いてくれません。って、領主のバーネット様はちゃんと聞いてくれるよ?其処のトコロはちゃんと俺等は主張しておきます。

 だからガルニエ様もバーネット様もとても珍しい貴族様で、俺等は尊敬して居るッス。更にコリンさんも「様って柄じゃないから」って照れ笑いしながら俺等に呼び捨てで呼ぶように言って来た、とても珍しい貴族です。お顔は普通…すまねぇッス。でも、とても格好良い人で、俺等若い兵士は尊敬して居るッス。

 庶民出身の兵士に、礼儀もお礼も挨拶まで言えるって素晴らしいッス。

 しかも強い。

 だけど、コリンさんって不思議です。何故か武器を持つと強いには強いッスけど、武器を持つ前の方が強すぎて、あれ?って思ってしまう。

 何故ッスかね?

 呪いッスか?ガルニエ様に聞いてみたら、


「あれはコリンの七不思議だ」


 と言われた。

 コリンさん、7つも不思議を持って居るのですか…。

 不思議な人ッスね。


「コリンも頑張っているのだが、如何せん私も似たような者だからなぁ」って、確かにガルニエ様は近衛騎士の正式な武器である盾と片手剣を手に戦うよりは、両手剣の方が扱い易いみたいですし、対人も強いですよね?と言ったら苦笑いをされた。


「実家にいる時に使っていたからな」


 く…その笑い方格好良いッ。

 照れ笑いと言うヤツですか?

 苦笑している様にも見える、これは…って思えてしまうッスよ!

 まともに見てしまったと思われる女兵士達が、バタバタ周囲で卒倒してしまって居る音が聞こえて来るのも納得出来るッ!俺が女だったらきっと同じく卒倒して居たと思うッス。

 今でもちょっとだけクラっと来たッスけど、俺にその気は無いから無問題!

 良かった!女が好きで!

 って、オイ!何故か数名の男まで倒れているって、大丈夫なのかーっ!


「いや、俺達『色々』と修行が足りないからさ」


「そうだな、『色々」当てられたなぁ」


「俺、仕事終わったら娼館に行くわ…」


 顔を真っ赤にしてフラフラしながら起き上がって来たけど、意味わからないッス!そして何だか怖いッ!

 と思っていたらぶっ倒れた女子達が倒れた兵士達を見て、何名か「ヤバイ」「萌える」と言い出して戦慄き、地面をゴロゴロしていて非常に気持ち悪かったッスよ!

 一体何が萌えるッスか!

 益々意味がワカラナイッスよ!




 回想は一旦終わりにし、数えながら会話をしていると、



「コッチは39体。ウチ、魔物は36体。って、多いな~」


「此方は20。魔物だけだな」


「これって噂の王都での魔物を誘導したって言うヤツッスかね?あ、コッチは42体。40は魔物ッス」


「殆ど人は居ないってどういうことなのだろうな」



 これはやはり魔物を誘導して来たってコトなのですかね?と思っていたら、



「おい、この魔物達おかしくねぇか?」



 一人の兵士が魔物の死体の首元を見て、それから魔物の首元を此方によく見えるようにしながら覗くように手でジェスチャーをして促して来た。


「おかしい…?」


「ほら、首元。変な紐みたいなモノで括られていないか?」


「え、あ、本当ッス。何ッスかこれ?」


 俺が指で触ろうとすると、スッと伸びて来た先程まで書類に記載していた文官の手がフルフルと震えながら遮る。



「あの、文官さん?」


「触ったら駄目だ、それはーー従属の首輪だ」




兵士の喋り方が「ッス」と出るのは彼の癖。口に出さない時にまで出るのは、我を忘れている時と思って下さい。

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