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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
5章 今日も周囲も人間関係もゴタゴタしていますが、国内の紛争やら暗殺やらで物騒な最中、恋人が出来て戸惑いつつも鑑賞致します。
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「デートって言っても何をするの?」


 って思っていました、はい。

 それに対し、


「二人一緒に出掛けて共に居れば良い」


 と、アッサリ言うニキ。


「えっと、今居るみたいな感じ?」


 有り体に言えば、前世も現世もデートなんて多分した事が無い。

 …多分。

 其処の所どうなの?と言われても霧の様に霞かかってしまってハッキリしない。と言う事はした事は無いんだろうなって思う。


「レナ」


 ん?と小首を傾げると、ニキがやんわりと微笑む。

 その顔可愛い。


「その顔可愛い」


 …。

 なに同じ事思っているんですか、この人。

 そして色気ダダ漏れである。

 そんな調子だからか、先程からカフェにいる女性陣の視線がチラチラとニキの様子を窺っていて鬱陶しい。当然のように私には嫉妬の籠もった…あれ?微妙に違う視線も感じるけど、これはなんだー?その視線の先を見ると、キラキラした顔付きで此方をうっとりと見詰めている子女。

 これはあれですか?恋とかに夢を見ちゃうっとか、憧れるとかって言う感じ?

 言い方変えると妄想女子。


 …何かやだなぁこの言い方。

 そこで何故かパーシャさんを思い出す。


 …もっと残念な気分になったのは何故だろう。


 眼の前のイケメン、ニキをじっと見る。

 そりゃニキは綺麗ですよー。

 見た目イケメンだし?オマケに高位貴族のご子息様だし?

 この世界のこの国の王都位しか私はわからないけど、高位貴族はほぼ美男美女ばかりだって言うしね。それに対して庶民は色々。時折目も疑う程な美人さんも居るけど、その場合は先祖に貴族の血が入っている事が多いって言う…

 没落した貴族の末裔とか、諸外国の人の血とか…まぁ、ほんと色々。

 何かと言うとね、私ほんっと場違いな気がするんだけど。

 目の前の人の事を好きになったし、結婚了解したし、婚約も了承したけどって、順番逆って言うのが私達っぽいなぁ。


「レナ、何考えてる?」


 可愛いって言われてから返答に迷って無言を貫いて居たから、少し不審に思われたみたいで伺うように此方を見詰めて来る。


「ん?順番が逆だったなって」


「順番?」


「そ。結婚の申し込みされてから婚約の申し込みだったから、逆だったな~って」


「あー…それは、その、何か悪い…」


 ガリガリガリと後頭部を焦った様に片手で掻き、「うー」とか「えーと」とか唸っている姿を見詰める。

 ニキって困ったらよく頭を掻くよね。

 ふふ、一個新たな発見。なんて、じっくり見詰める。

 前々からも気が付いていたけど、特に困惑と言うか困ると唸りながら頭を掻く姿は中々可愛いって思ってしまう。これって好きになっちゃったからかな?もしかして私の頭も残念になってる?

 うう、それはちょっとヤダ…


「お待たせしました」


 と私達の目の前には注文した品が並ぶ。

 私の前にはアイスティー。9月も末で秋になって来たなぁって感じだけど、ここ港町カモーリの気候が結構暑いのか、少し歩いていると冷たい物が欲しくなって来るんだよね。それにココのカフェで人気商品って書いてあったので気になったってのもある。


「あれ?」


 でもこれって見たことある~…様な。

 アイスティーの中に入っている果物。


「それ、学園のカフェテラスでも見たことあるな」


 学園のカフェテラスではアイスティーの中に桃を入れた桃のアイスティー(季節により生の桃と煮た桃のコンポートの二種類)、とオレンジのアイスティーがある。それによく似ているが、入っている果物が違う。

 ちなみにカフェテラスが発祥と言われていて、王都でも最近流行って来ている飲み物である。


「もしかしてこれも…」


「レナ発案?」


 正確には私が発案者ってワケではないんだけど、このやり方って学園のカフェテラスで私が休憩の最中にやっていたら、何時の間にか厨房で流行。

 更に何時の間にかカフェテラスのメニューに並んでいて、授業が終わった放課後特に女学生に大人気のメニューの一つとなったんだよね。

 そう言えばコレもレスカ様が気に入ったらしく、ユリアと共にのんびり過ごしている時に二人で飲んでいる時があった。


「ええーと、厨房の皆に出したら何時の間にか…」


「成程な。発案料とか貰ったか?」


「発案料?」


「…わかった。後で学園側に聞いてみる」


「ええと、お手柔らかにね?」


 コレぐらいでお給金とか特に要らないし。アレンジだって入っている可能性もあるし?

 そう言うとニキが「それは良くない」と見詰めて来る。

 大したことじゃないし、何より前世では普通にメニューとしてあったから逆に申し訳無いんだけど。


 そんなニキの前にはお茶。

 外国から輸入して来ている葉を使って居るらしく、紅茶のカップに淹れられているけど、この匂い……

 煎ってません?そしてほうじ茶っぽい匂いがするんだけど!?


「へぇ、初めて頼んだけど結構いい匂いがするな」


 正直元日本人としては心が惹かれます、その匂い。

 うう、私もソレ飲みたいなぁ。でもアイスティーもあるし、流石にお腹が水分で一杯になりそう。更に言うと私のアイスティーは中に入っていたのは洋梨っぽいモノで、お腹にも少し溜まる。

 うう~…そのお茶とっても気になる。お茶っ葉売ってないかなぁ…


「そんなにこのお茶見てるって事は気になるのか?少し飲むか?」


「え、いいの?」


 ジィ~と見ていたからニキが苦笑しながら此方へとカップを寄越して来る。

 そのカップをワクワクしながら手に取り、口元に持って来て匂いを嗅ぐ。


 ほうじ茶そのままの匂い。


 葉を煎じたのかな?

 前世の知識の通りなら専門の器具があった筈だけど、ここは異世界。魔法とかで煎るのかも知れない。

 昔何度かやったことがあるのだけど、紙を使って少量ずつ茶葉を火で煎るって方法もある。煎る時間は掛かるのだけど美味しいんだよね。特に出来たて。ただ火から目を離せないから手間が掛かるので滅多にやらなかったのだけど。


 一口飲む。

 匂いも伴って、喉越しがさっぱりする様な味。


「美味しい」


「気に入った?」


「うん」


「会計の場所で茶葉が売ってあったな。帰りに買っていくか?」


「うん!」


 思わぬお土産が購入出来るなぁって浮かれていたら、ニキが仕切りと返したカップを眺めてて…

 位置確認しなくていいからっ!て、ちょと、なにしてるのっ!


「間接キス」


 にーっこり微笑んでって学生かっ!って学生だった!しかも14歳!

 悪戯っ子みたいに笑んで、口角を上げてクスッと笑うって小悪魔かー!


「俺が小悪魔ってのは違うと思うが、レナが俺にとっての天使ってのはあってるな」


 うんうんって頷かないで欲しい。

 そしてカップに口を……ぁぁぁああっ!


「レナ真っ赤、可愛い」


 って、色気!何だか色々溢れてる!







 * * *







 羞恥で死にそうになりながらも戻って来た護衛のコリンさんと合流し、店で茶葉を購入。先程同様ちゃっかりと手を恋人繋ぎをされながらも町を並んで歩き、終始ニキはご機嫌。私はと言うと…恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなくて、誰も居なかったらきっと「うわああああああああああっ」と叫んでいるって程悶えていて、道端でもゴロゴロ転がって居たと思う。

 ソレぐらい終始顔が自覚しているけど真っ赤な状態。

 多分顔だけじゃなくて耳や首筋まで赤いんじゃないだろうか?

 だって、


「レナ可愛い」


「好きだ」


 とか言って来て、頻りに甘い言葉を呟いて甘やかそうとして来る。

 ウチの兄さんも大概私達姉妹と言うか『妹枠』であるデュシー姉さんに私、それとオルブロンとこの三名に大甘だと思うけど、それ以上で馴れない。


 何だろうこの人、私を悶え殺す気なんだろうか?

 溺愛状態ですか?!溺れ死にそうなんだけど。

 今もその手腕を遺憾なく発揮している最中。

 偶々見付けたちょっと気になった雑貨店に入って、可愛らしい感じのペンダントが目に入り、うっかり「可愛い」と漏らした瞬間店員を呼んで、即購入。

 そしてその場で私にプレゼント。


 …ちょっと、悶えた。

 あうう、何かゴメン。


 だって、似合うって言った途端髪の毛を一房手に取りキスを落して来たから。


 ひぃ~~~!

 あわあわあわと内心プルプルしつつ羞恥に悶えていたら、背後に控えていた護衛のコリンさんまで真っ赤っ赤。


 何だかご免なさい羞恥プレイ見させてしまってぇ!

 そして終始ご機嫌状態のニキ。

 くっ、このっ!仕返しがしたい!この羞恥心を返したい!

 んが、やると絶対に『私が羞恥でのたうち回って死ぬっ』。

 と言うかどうして平気なのよニキ!と睨んでいたら、


「多分今迄の反動?」


 小首を傾げながら言われるってどういう事だ。そして何故にハテナ状態。


「もしかして明日になって冷静に為ったら羞恥に陥るって奴?」


「…かも」


「所謂自爆」


「かもな。正直俺、今すげーはしゃいでるの自覚してる」


 クッ、何ですかこのイケメン可愛いっ!

 そしてチラッと此方を見たその顔があざといんですが!

 惚れた弱みですか、弱みですね。有り難うございますっ(混乱中)!

 自覚しているがすっかりニキの魅惑?に混乱の極みに陥っている状態なんだけど、あれ?んー…何だか雑貨店の中から何だか視線?しかも一人じゃなく複数?


「(やっと気が付いたか)」


 ってニキが苦笑しつつ腰に手を回し…って、近いちかいちーかーいーっ!

 最近やたら近いよニキ!

 とか心の中で思いつつ、文句の一つもまともに言えないんだけどさ。


「レナ、早速プレゼントしたアクセサリーを身に付けてくれて嬉しいよ」


 と多分当人が冷静に為った後に恥ずかしくなる台詞を述べた後、コッソリと私の耳元に顔を付け、


「(今雑貨店にいるのが恐らくガーフィールド様の密偵。一応俺レスカの側近候補だからね、何名か顔だけは知ってる)」


 その後も王家の影やらナニヤラ…何人キテルンデスカ?って問いたい位の人が来ていて驚いた。ニキ様曰く、「(密偵の密偵かな。ガーフィールド様の密偵を王家所属の影が調査してるな)」って、そんな簡単にニキ様に見破られていて良いのか密偵&影。まぁ此方も特に隠す様な事は無いから別にいいんだけど。

 するとついっとコリンさんがニキに寄って来て、何やら耳打ち。

 チラリとコリンさんが此方を見て、それからニキを見てから頷いて雑貨店を出て行く。


「何かあったの?」


「表がやけに騒がしいからって見に行った」


 騒がしい?

 何だろう、また人攫いでも出たのかな?等と思って店舗の窓から外を眺めて居たら、



「え、嘘」


 窓の外、其処は城壁に囲まれた領館から火の手が上がっていた。


デート?編やっと終了。

偶にはねとニキにサービスしてみたら、思いっきり筆者の心を抉った。


カップで何して…←原因そのいち。

髪の毛を一房…オイ←原因そのに。


画面前で悶絶。(・(ェ)・;)…。

ヨシ、コンドガンバッテモラオウ。

そんな言葉が頭を過りました。

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