閑話 レスカside
本日二度目更新。
前回も文字数が少なかったのですが、今回も少ないです。
注)今回の話は女性が読むと不快に感じる一文が御座います。
m(__)m
* * *
落ち着け。
何度この言葉を言い掛けたか。
レナが爆発しそうな程真っ赤な顔をし、部屋から脱兎の如く去って行った後。私の婚約者であるユリアが私の手を振り解いてレナの後を追い駆け出しそうになった。
その度に手に力を入れて引き留める。
知って居る。
ユリアが心から信頼を置ける人や友人が少ない私を思い、レナを第二夫人の座に付かせたがって居た事を。そう言う事はレナ当人の許可を得るべきだし、何より私はユリア以外の女性には手を出す気は無い。
だがユリアの考えは私とは違って居た。
自身の心が許せる親友としてもレナを傍に置いて置きたい様だし、何よりレナの過去の家名であるアレイ家の状態、それと此れからの事も危惧しているのも分かっている。
それに未来の事。
ユリアの家系の女性は残念ながら子が産めない女性が多い。また産まれても一人と言う女性が多く、その後は流れると言う例が多いのだ。偶々ユリアの場合は兄が居るが、それは外からの女性であるユリアの母の血のせいだと思われるし、そう言った噂も貴族の間でひっそりと囁かれている。
その事をユリアはとても気にして居る。
私としてはそれは運でしかないのだから気にしなくても良いと思うのだ。子が出来ても出来なくてもユリアを愛して居る事には変わらないのだし、どうしても子が必要ならば養子を迎えれば良い。今後私が成人した暁には新参の公爵家を興し、国王と第一王子で王太子である兄の元に付いて家臣となるだけなのだから、その後新参の公爵家等特に家が続いても続かなくてもどっちでも良いのだ。
更に言うと兄上の子が多かったら継いで貰っても良いな。
この件は後にきちんと言葉にして言わねばと思ってはいたが、今がその時では無いと思って居る。
結婚後言えば良い言葉であり、それまではユリアの口から発せられた時かさもなくば気にして居る風な時に言うつもりだ。何せ今は成人して居ない14の子供なのだから。
だから私にはユリアだけで良い。
他はいらない。
ユリアの事だ、他にも気に為って居たのかも知れない。
レナのあの状態はかなり混乱して居る様に思えたし、それを心配もしても居るのだろう。
レナ自身男兄弟も女兄弟も多くその中に居て、今迄芽生えたことが無い感情に戸惑っていた様に見受けられたし。
だがな、ユリア。
私の数少ない気が許せる友人の長年の恋の成就が出来そうな大事な時なのだ。
だから頼む。
そう言った気持ちを込めてユリアの瞳を覗き込んだら、小声で「(だって、頼りないんですもの)」と少しばかり拗ねた声。
ぷ。
不謹慎にも少し笑ってしまったら、握っていた手に爪を立てられた。
これは少し痛い。
だがとても可愛い。
普段は凛として清楚な婚約者のユリアはどうやら、ニキが早々に追い掛けなかった事に拗ねてしまった様だ。
これは可愛い。
滅多にない表情だ。
出来ればこのまま見て居たいのだが、ケインの状態がちょっと、だな。
その状態で何時までもユリアとイチャツク訳にも行かない。
だが手は、握った手は離さないぞ。これは絶対だ。




