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今日も学園はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。【連載版】  作者: 柚ノ木 碧(活動休止中)
4章 今日もお屋敷も学園もゴタゴタしていますが、働いて・学んで・そして何故か陰謀に巻き込まれつつ何とか奮闘致します。
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50 ユウナレスカ・アナジスタの思惑2

 未だ音楽が奏でる会場の最中、一人グラスに口を付ける。

 紅い色の液体は一口含むと酸味が微かに口内に広がる。その後を追う様に甘味の味がし、次いでこの赤身の元のフルーツ、真っ二つに割ると真っ赤な果肉が特徴のルビーオレンジとグレープフルーツの匂いがする。

 レナとユリアが先程幾つか飲んで居た飲み物の一つだ。


「へぇ~レスカが珍しいね。甘い物を飲んでるし~」


「ケイン」


「お疲れってことかな~?ん~と、レナちゃんはグッタリ消耗してたから部屋に置いて来たよ~。ついでにユリア様もね。レスカずっと物思いに耽ってたから、彼女心配してたよ~」


「ニキはどうした」


「あはは、あの鈍臭いのはレナちゃん達と一緒。もう少ししたら部屋から追い出されるんじゃないかな~?」


 レナちゃんコルセットがキツイって言ってたし、部屋に帰ったら即着替えるだろうし?と笑うケイン。

 確かにレナはコルセットに締め付けられるのを苦手がって居たからな。

 ユリアは平気な顔をして普段から付けているらしいのだが、そんなに苦しいのだろうか?やはり慣れか?



 …男の私には分からない話だな。



「レナちゃん貴族の令嬢なのに迂闊だよね~でもそこが初心でちょ~可愛いんだけど」


 えへへへと嬉しそうに言う辺り、何だかな。


「溺れ過ぎるなよ」


「それぇ~レスカが言う?」


「む、そうか」


「自覚してよ~まぁ良いんだけどね。僕としては以前のレスカとユリア様の関係は不自然過ぎてて何か妙に嫌だったし~。元に戻って、ん~違うか~アツアツ過ぎて困っちゃうぐらいの今の関係のが僕は好きだな~。と、そうそう。明日は街へ行くみたいだよレナちゃん達~。レスカはどうする?」


 このどうすると言うのはアイツ、つまりアレスの捜索の事だ。


「何かわかったか?」


「今日来たばかりだよ?って言いたいんだけどね~」


 んーと唸ってからニヒヒと小さく悪戯っぽく笑い出すケインに、ああまたかと思い視線を潜んでいる相手にあわせ無い様に窓辺に向ける。


「(ひーふーみーよー…居るね)」


 こっそりとケインが同じく窓辺の目線を向けて囁く様に小声で良い、


「んー取り合ず塩買いにいこ~それからお魚!海鮮!貝類!僕楽しみにしてたんだ~」


「そうだな」


 四人程私達二人の周囲に何時の間にか来たのか、影の様に忍び寄る者達。

 さて、どうしようと思案しようとするが、何時の間にか私の周囲に居た筈の近衛兵二名、内一人は近衛兵見習いだが姿を消しており、代わりに今回の護衛に連れて来た腕っぷしの良い騎士が三名程配置されていた。


 これは今暫く動きがあるまで動かない方が良いな。


「楽しみだなぁ~」


 ケインの言う楽しみとは、ジーニアスとコリンの腕前拝見って事だろう。









 * * *









「ご苦労」


「「は!」」


 私が労いの言葉を掛けるとジーニアスとコリンの両名は軽く頭を下げて一歩下がる。

 コリンは兎も角、ジーニアスは『仕事』の時は公私混同しない。

 …レナが居なければ。

 他にもコリン曰く他の姉妹、次女のデュシーと四女の末っ子であるオルブロンの時も中々なシスコン振りらしい。だが面白い事に長女には頭が上がらないらしく、少し苦手がって居るらしい。

 その姿、是非一度見て見たいものだ。


 そう言えば次女のデュシーは産まれたばかりの娘が居るという事だったな。

 今度デュシーの体調が良ければ是非見せて頂きたいものだ。勿論ユリアを連れて。私がガルニエ家を何度か訪問した際にはまだ万全の体調では無いらしく、使用人達からも遠ざけられて居たからな。

 …事情も事情だしな。

 この次屋敷を訪問した際には何か手土産でも持参しよう。

 その辺りも今度ゆっくりとユリア相談するとしよう。




 閑話休題。


「ふ~ん二名自決に一名死亡で一名捕縛、計四名ね」


 あれから数分後、動きがあった為に会場を後にして退出して宛てられた部屋にケイン共々移動した。途中ケインの予想通りレナが着替える為に追い出されたらしいニキも合流し、サザーランド家の執事から渡された報告書を読み上げる。


「やーっぱりアレクサ様の刺客みたいだね。言葉に微かにウィックロー国の訛りが見受けられるみたいだよ。とは言え生き残って居るのが『ワザと』やってるかも知れないし~、まだ吐いて居ないから信用度は微妙だけどね~」


「そうか、アレクサはどうしてる?」


「部屋から出て来てないよ~。当人も「初日は危険だろうから」って籠って居るねぇ~」


「難儀な奴」


 ニキ、そんな面倒臭そうな顔して呟くな。

 まぁお前にとっては隣国の王子等正直どうでも良いのだろうがな。


「あはは、ニーキー仕方ないよ~アレクサ様は今、迂闊に本国に帰れないみたいだし~?おまけに王城に護衛付けて詰めて置けば、どういう訳か妾の筈のキャメロン様がにじり寄って来るし~。ひやひやしっ放しみたいだしね~」


 そうなのだ、あの妾のキャメロンが等々アレクサに色目を使い始めて来た…らしい。私は見て居ないのでハッキリとはして居ないが、何人も使用人達が目撃し、アレクサ自身も迷惑している様だ。

 当人にも問うてみたら、


「母より年上なんじゃないですか、あの人…」


 とグッタリ消耗して居た。

 気持ちは分かる。だがキチンと対処しないと泣くのは自分だ。


「と言うかですね、国王様が本来なら対処すべき案件です」


 それを言われると辛いのだが、どう言う訳か父上は放置の姿勢を崩さない。

 私もだが、現在一番の迷惑を被っている兄上も何度か告げたのだが、梨の礫で返事が一向に返って来ない。仕方ないのでハリントン魔法大臣に告げて護衛を増やして貰って居るのだが、そのお陰でケインから「ねぇレスカ、僕の仕事が増えてるんだけど!?」と言う苦情が来た。

 彼方を立てれば此方が…と言う悪循環。

 いっそキャメロンに魔道具でも極秘に付けて、何処に居るか把握する様にするか?と迄思ってしまった。高価な魔道具だから使いたくは無いのでその案は即却下したが。


「一先ず部下に拷問をさせて吐かせて居るが、口を割るかどうかは微妙な所だな。何せ猿轡を取ると即舌を噛もうとするから難しい」


「難儀だな」


「ああ、今はこんな時間だから出来んが明日医者を連れて来る」


「自白剤か」


「効くかどうか分からんがな」


「やらないより良いんじゃない~?と言うか魔術は?」


「魔法抵抗が思ったよりも高くてな、抵抗されて出来なかった」


「ありゃ~それはまた」


「質の良い刺客を送って来たって事だな」


 バーネットが呆れた顔付で報告書を纏め、封をしてから執事に渡して居る。


「今日の所は一先ずコレでお開きにしよう。済まなかったな、初日からこんな騒動に合わせて」


「いや、ユリア達が無事なら良い」


「お?…おいケイン、何時の間にこんなにレスカは恋に盲目になったんだ?」


「ん~最近。お陰で僕は退屈しなくて気に入ってるよ~」


「そ、そうか。ニキは?」


「前よりは良い」


「おう、そうか。何だかこう、寂しいやら虚しいやら、無性にむず痒いのは何なんだ…」


 五月蠅いバーネット。

 調子に乗って私の頭を撫で回すな、崩れる。いやもう崩れたか。


「お兄ちゃんは寂しいぞ~!こんな可愛いユウナレスカが何時の間にか大人に…」


「そう言うならさっさと相手見付けて結婚しろ」


「レスカが冷たい…」


 五月蠅いぞ。

 そこ、ニキ、腹抱えて笑うな。

 ケイン蹲って爆笑するな。

 明日もあるのだからさっさと部屋に帰って寝るぞ!!


バーネット様がレスカを可愛がって居ると言う…。

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